【概要】
■国内ロボティックシステム市場は、2022年まで年間平均成長率23.1%で成長し、市場規模は2兆8,395億円まで拡大
■「RT/IT コンバージェンス」によるロボティクスのインテリジェント化が加速し、2018年以降は製造、ヘルスケアおよび流通で協働型/自律移動型ロボット需要が増加
■エンタープライズドローンは商品配送、製造業での検査、点検用途に加え、建設現場や家畜監視でも活用が進む
IDC Japan株式会社は、国内商用ロボティクス市場(※)における産業分野別/ユースケース(用途)別支出額予測を発表した。これによると、国内商用ロボティクス市場を形成するロボティックシステム市場は、2017年~2022年において、年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)23.1%で成長し、2022年の支出額は2兆8,395億円まで拡大するという。
※商用ロボティクス市場はロボティックシステム市場とエンタープライズドローン市場で構成される。ロボティックシステム市場は産業用ロボット市場とサービスロボット市場から構成される。
産業用ロボットとサービスロボットからなる国内ロボティックシステム市場は、ロボットによる労働代替需要が拡大している製造/資源セクター、公共セクターおよび流通/サービスセクターが市場を牽引している。
セクター別に2017年の支出額を見ると、製造/資源セクターで8,219億円、公共セクターで995億円、流通/サービスセクターで713億円だった。国内ロボティックシステム市場で最大の産業分野である組立製造では、従来型の産業用ロボットに加え、現場労働者の作業負荷を軽減するロボットの需要が拡大している。
また、プロセス製造では、需要に応じた生産ラインの変更が求められることから、現場環境の変更に柔軟に対応でき、現場作業者を支援する協働型ロボットの需要が拡大。今後、RT(Robotic Technology)にITを活用する「RT/IT コンバージェンス」によってロボットのインテリジェント化が本格化し、協働型/自律移動型ロボットの導入が製造業だけでなく、ヘルスケアや流通といった産業分野でも進むという。
ロボットの高度化/インテリジェント化と共に国内ロボティックシステム市場は拡大し、2022年には2兆8,395億円まで拡大すると、IDCは予測している。
IDCは、商用ロボティクス市場を形成するもう一つの市場であるエンタープライズドローン市場に関しても、産業分野別/ユースケース別予測をしている。
政府は、2018年に山間部や離島でエンタープライズドローン利用に関する規制を緩和し、2020年以降の都心部における利用解禁に関する検討を始めている。このような市場環境の中で、エンタープライズドローン市場は2022年までCAGR:9.4%で成長し、2022年の支出額は418億円になるという。
産業分野別に見ると、商品配送のドローン活用に代表される流通業に加えて、それに続く製造業では組立製造における検査工程でのドローンの活用や、プロセス製造におけるパイプラインの破損などの点検用途でのドローンの活用が高い割合を占める。そして、資源における家畜放牧監視や、建設における建設現場での点検、監視、航空写真撮影でのドローンの活用も支出拡大が期待されるユースケースとなっている。
IDC Japan コミュニケーションズ シニアマーケットアナリストである藤村成弘氏は「ITサプライヤーはユーザー企業のロボティクスの導入ニーズに応えるべく、ロボティクスを活用した業務改革コンサルティング事業に取り組むべきである。ロボティクスサプライヤーは、ロボティクスの適応領域の拡大を見据えた協働型ロボットの開発や、ロボティクスのインテリジェント化にITを積極的に活用し、RTとITの両軸でロボティクスの進化を推進すべきである」と述べている。
【関連リンク】
・IDC Japan
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