近年、AIやIoTなどの先端技術の普及が広がっているが、現在運用されている建物の大半は、AIやIoTなどが登場する前に構築されたものだ。こうした建物に最新のICTを適用し、利用者や居住者の満足度を維持・向上しながら、建物管理の最適化や維持管理コストの削減を図ることは、ビルオーナーにとって大きな課題となっている。
建物の運用データは、監視装置の容量に限りがあるため、一定期間しか保存できない。また、建物は規模や使用方法が異なることから最適な設備運用も異なり、設備機器の異常把握などを含め、運用管理の多くをベテラン管理者の経験に頼っている。さらに、IoT技術の発展により、機器の運転状態などを把握するセンサーを後付けして、これまでにない新たなデータの取得が容易になったが、取得したデータを蓄積、活用する基盤は十分に整っていないのが現状だ。
そこで、鹿島建設株式会社(以下、鹿島)と鹿島建物総合管理株式会社(以下、鹿島建物)は、日本マイクロソフト株式会社と連携し、建物管理プラットフォーム「鹿島スマート BM(Kajima Smart Building Management)」を開発、サービスの提供を開始した。
空調や照明などの稼働状況、温度や照度などの室内環境、エネルギー消費量など、建物に関する様々なデータを、IoTを活用してマイクロソフトのクラウドプラットフォームMicrosoft Azureに蓄積する。そして、同プラットフォーム上でAIを用いて分析することで、設備の最適調整や省エネルギー支援によるランニングコストの削減、機器の異常や故障の早期把握などを実現する。
今後、2018年に策定した「鹿島スマート生産ビジョン」の主対象である建物の施工段階と運用段階のデータ連携を図るため、鹿島は、鹿島建物および日本マイクロソフトと引き続き連携して同プラットフォームのさらなる発展・活用を目指す。
併せて、建物の使用方法や利用者の行動などに関するより多くのデータを取得し、建物利用者の利便性や快適性の向上につながるサービスを新たに開発することで、スマートビルやスマートシティの基盤サービスとしても拡張していく考えとした。
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