中小・中堅建設企業では、建設現場だけではなく、事務作業の効率化や生産性向上、働き方改革を目的として、工事書類の一元管理や工事原価の管理など経営管理のICT化を進めている。しかし、実際は各々の仕組みが独立しており、リアルタイムにつながっていない状況がある。
そこで、株式会社NTTドコモ(以下、ドコモ)、SAPジャパン株式会社は、中小・中堅建設企業向けのクラウド統合基幹業務システム「ランドログERP(仮称)」の共同検討の開始に、本日合意した。「ERP」とは、Enterprise Resource Planningの略で、企業を運営するのに必要なすべてのコアプロセスである経理・財務、人事、製造、サプライチェーン、サービス、調達・購買などを1つのシステムに統合したものだ。
同システムの検討は、現在各々が独立している工事原価管理・財務会計・販売管理・購買管理・顧客管理などの経営管理情報をクラウド上で一元管理することでさらなる生産性向上を推進する取り組みだ。両社は同システムに、ドコモとSAPジャパンが出資する株式会社ランドログの建設業界向けのIoTプラットフォーム「LANDLOG(ランドログ)」が持つIoTデータを連携して、工事の進捗状況をプロジェクト管理システムや会計システムにリアルタイムに反映する。
これにより、月中での予算進捗状況をリアルタイムに確認できる機能や、建設業界特有の会計機能をSAP Business Oneをベースに追加開発して搭載すること、さらに同システムを中小・中堅建設企業が導入しやすい価格で提供することを目指す。
SAP Business Oneは、SAPが提供する統合型の中堅中小企業向けERPパッケージで、完全リアルタイム処理による企業経営の見える化を実現する統合基幹業務システムだ。
両社は、同システムの2020年度下期の提供を目指して連携を強化し、現場での導入検証に協力する試験導入企業と統合システム拡大にむけた連携パートナーの募集を「ランドログパートナー制度」を通じて開始する。試験導入による効果検証では、福島県会津若松市の「SAPイノベーションフィールド福島」を活用して、地元建設企業による実証実験も検討している。
また、第1弾の連携パートナーとして、東京海上日動火災保険株式会社と、同システムから収集されたERPデータを利用して損害保険引き受けに関するサービスの高度化や保険金支払い業務の効率化、人事・労務システムとの連携などについて検討開始予定だ。
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