近年、様々な業種業態でインバウンド消費の取り込みや顧客体験向上が求められている。一方で、常に変動する外国為替レートの影響により、エンドユーザーは現地通貨表記での決済後に一定期間をおいて発行される請求書などにより外貨での支払い額が判明することが一般的であり、想定していた金額とは異なる請求が発生するなどの不安があった。
今回、NTTコミュニケーションズ(以下、NTT Com)は、シンガポールのフィンテック・スタートアップ企業M-DAQ Pte.LTD.との協業により、レート保証型外国為替情報と取引情報のデータ流通サービス「Home Currency Anywhere(以下、HCA)」を、2019年11月下旬から、日本で提供を開始する。
レート保証型外国為替とは、常に変動する外国為替レートを24時間などの一定期間(※1)保証するものだ。
これを飲食店、小売店、ECサイト、旅行代理店および電子マネー事業やキャッシュレス決済事業などクロスボーダービジネスを展開する企業(以下、ミドルB)が利用することで、例えば24時間中の為替変動にかかわらず外貨での一定した価格表示が可能になる。また、外国人の旅行者や居住者などのエンドユーザーは決済前に自身が選択した通貨での価格が分かるため、安心して買い物や飲食をすることが可能になる。
HCAは、「Smart Data Platform」との連携によってデータ利活用を実現するアプリケーション群「Apps on SDPF」の1つだ。M-DAQが保有する独自の外貨需要予測アルゴリズムによる外国為替レート情報と、NTT Comが持つ安心安全なデータ流通環境を通じてミドルBの取引情報を流通させるサービスである。流通した情報にもとづく実際の外貨両替はM-DAQが実施する(※2)。特長は以下の通り。
- 一定期間の外国為替レート保証
NTT Comが提供する一定期間保証された外国為替レートにもとづき、ミドルBはその日の外貨価格をエンドユーザーに提示することが可能になる。エンドユーザーは決済の際、自身で選択した通貨での外貨販売価格を決済前に確認することが可能になる。加えて、商品購入後、返品などが発生した際、90日間などの一定期間(※3)は購入した時点の価格での返金を保証する。 - ミドルBのシステムに組み込み易いAPIで提供
NTT Comが通貨の外国為替レートを、一定期間毎にAPI経由でミドルBに提示する。ミドルBは、NTT Comから提示されたレートをベースに、エンドユーザーへの外貨での販売価格を設定しサービスを提供することが可能となる。ミドルBの外貨取引情報はAPI経由でM-DAQに流通し外貨両替を実現する。 - 安心安全なデータ流通環境を提供
秘匿性の高いミドルBの取引情報は、NTT Comが提供する安心安全なデータ流通環境を通じて流通する。
NTT Comは、ミドルBとの共創により、将来的に、自国の電子マネーを日本の電子マネーにチャージできるようになるなど、店舗やECサイトで自国通貨による決済を実現する予定とした。
※1 決済のレート保証期間は、企業の要件により個別に変更可能。
※2 サービス提供時にはミドルB、NTT Com、M-DAQにて三者間契約を締結する。
※3 リファンドのレート保証期間は、企業の要件により個別に変更可能。
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