SDGs(えす・でぃー・じーず)は、「Sustainable Development Goals」の頭文字をとった略語である。近年、積極的にこの取り組みを行っている企業が増えたが、取り組むにあたってどのようなメリットがあるのだろうか。
取り組みをスタートしたいという企業、担当者へむけて今日は、SDGsに取り組むメリットや留意点について紹介したい。
外務省によれば、SDGsは下記のように説明されている。
持続可能な開発目標(SDGs)とは,2001年に策定されたミレニアム開発目標(MDGs)の後継として,2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された2016年から2030年までの国際目標です。持続可能な世界を実現するための17のゴール・169のターゲットから構成され,地球上の誰一人として取り残さない(leave no one behind)ことを誓っています。
貧困や飢餓、環境問題、経済、ジェンダーに至るまで幅広い課題がこのSDGs内では網羅されている。MDGsでは、発展途上国に限定するゴールが多かったこともあって、先進国では積極的に取り組まれてこなかった。
しかし、SDGsでは豊かさを追求しながらも地球環境を守り、そして誰一人取り残さないことを目標とし、2030年にむけて先進国も含め各国が取り組みを行っている。
SDGsに取り組むにあたってのメリット
SDGsに取り組むメリットは何だろうか。もともと環境に対する働きかけ、雇用促進は国が率先して取り組む課題であったが、SDGsでは、民間企業が積極的に活動を行っている。
ビジネスを展開するにあたって、コストやどのような可能性があるかポイントをおさえたい。
社会課題解決によるビジネスチャンス
世界経済フォーラムの2017年レポート「Better Business Better World」(レポートの日本語版はこちら)によれば、「SDGsを達成することで、2030年までに世界で年間12兆ドル以上の市場経済がもたらされる」とある。
その巨大なビジネスチャンスに期待が高まっているというわけだ。
ビジネスパートナーとの関係性発展
SDGsへの取り組みによって、期待されているのは市場規模によるチャンスだけではない。ビジネスを推進、または拡大するにあたってのパートナーとの接点が増え、そして関係性がどんどん発展していくであろう部分にも価値が見いだせる。
1つの目的に向かって賛同できる仲間が集まりやすくなる。
ESG投融資による資金調達へ有利に
SDGsへの取り組みは、資金調達を希望する企業に有利に働く。世界の投資家に浸透しているESG投融資※は、そういった企業にむけて非常に朗報だろう。
※環境(Envioment)、社会(Social)、企業統治(Governance)に配慮する企業を重視して行われる投融資をさす。
SDGsに取り組むにあたっての留意点
さて、SDGsに取り組むにあたって、確認しておきたい前提がある。
企業がSDGsに取り組む際、経営理念とSDGsを統合し、企業活動の中核に位置付けする。そして、中長期的な視点をもって推進することが理想とされている。
加えて、
- 各ステークホルダーに与える、ポジティブもしくはネガティブな影響を把握していること
- ステークホルダーへ上記の影響について、今後どのように対応しているか明らかにすること
- ステークホルダーが抱いている期待に応えられているか、対話などを繰り返し、常に確認していくこと
を満たしていればより理想的だとされている。
上記3点の前提を理解したうえで、取り組む際に留意しておきたいのは以下の4点だ。
- 自社の能力にみあっているものか
- 取り組みによる成果が明確かつ、途中経過や結果を一貫した指標で報告できるか
- 持続可能な取り組みであるか
- 「自社ならでは」の必然性があること
また、そのほかにも留意しておきたいのが取り組む最中に発生する予期せぬトレードオフについてだ。
たとえば、貧困撲滅を目的とした開発が、自然環境にマイナスな影響を与えるなど、課題間の予期せぬトレードオフが発生することがある。
SDGsの取り組み内ではそういった、考慮すべきポイントのほかに社会課題を広く見渡す視野の広さも必要となってくる。
そこで、IGES戦略的定量分析センターはSDGsの各目標の統合と政策の一貫性を実現する実践的なツールとして公開している「SDGsの各目標の相関性がわかるデータ可視化ウェブツール」だ。
このウェブツールでは、WEBの環境さえあれば利用が可能だ。現在、アジアの9つの国(バングラデシュ、カンボジア、中国、インド、インドネシア、日本、韓国、フィリピン、ベトナム)について、SDGsの経年的な進行状況を比較検討しながら相関を視覚的に分析することが可能となっている。
SDGsへの取り組みへ向けて、より多くの企業が参入することを期待したい。
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