川口市とSBドライブ株式会社は、国際興業株式会社や三菱スペース・ソフトウエア株式会社(以下、MSS)などの関係企業の協力により、2月25日から28日まで川口市で自動運転バスの実証実験を実施する。同実験では、地震発生時に揺れが到達する前に車両を停止させるシステムの検証の他、歩行者がボタンを押した時にだけ歩行者用信号が青になる押しボタン式信号機と車両を連携させる検証などを行い、自動運転バスの実用化に向けた課題を整理する。
同実証実験では、日野ポンチョをベースに改造された自動運転バスが、川口市立科学館や映像ミュージアムなどの複合施設「SKIP シティ」と鳩ヶ谷駅前の広場間の往復約3.4キロメートルを運行する。
自動運転バスの運行状況は、国際興業の営業所に設置したSBドライブの自動運転車両運行プラットフォーム「Dispatcher」の利用により、国際興業の運行管理者資格保有者が遠隔で管理して、安心・安全な運行と乗客の利便性向上を実現するための課題を確認する。主な検証内容は以下の通り。
- 地震の揺れが到達する前に車両を停止させるシステムの検証
車両の位置情報と、気象庁の緊急地震速報を組み合わせて、地震の揺れが走行中の車両に到達する時刻とそのエリアにおける震度を、MSSの「移動体向け地震予測システム」で予測する。その情報を「Dispatcher」と連携させることで、地震の揺れが到達する前に車両を自動で減速・停止させることを目的とした検証を敷地内で行う。今回の実証実験では、疑似の地震発生情報を活用する。 - 災害発生時に危険レベルや避難所の情報を乗客に提供
車両内に設置した全球測位衛星システムであるGNSS受信端末で「みちびき」から配信される災害・危機管理通報(訓練用信号)を受信し、MSSの「リアルタイム危険度通知システム」でその情報を川口市が持つ防災データベースと車両の位置情報に照らし合わせ、車両内のタブレットで災害の危険レベルや適切な避難所の情報を提供することができるかを検証する。
- 押しボタン式信号機と車両の連携
押しボタン式信号機の情報を車両が取得して、車両が急制動を行うことなく横断歩道前で停止するデモンストレーションを行う。
内閣府が公募した「近未来技術等社会実装事業」に、川口市は「先端技術体験がもたらす地域振興と人材育成および公共交通不便地域の解消」をテーマにした取り組みを応募して、2018年に同事業に選定された。同取り組みの一環として、今回の実証実験を踏まえて、鉄道の駅から離れた場所に位置する「SKIP シティ」と鳩ヶ谷駅間で自動運転バスを実用化して、「SKIP シティ」の来場者や勤務者の利便性向上を見据えている。
また、川口市は、端末交通の利便性向上に向けた取り組みとして、日本工業大学と共同で、敷地内において利用者による呼び出しに応じて自動走行するパーソナルモビリティの実証実験を、株式会社福山コンサルタントの協力で行う。端末交通とは、バス停と自宅などの出発地や最終目的地間での利用を想定した、スムーズな移動を実現するための新しい交通手段で、川口市は自動運転バスとこのパーソナルモビリティを組み合わせることで、移動がより便利になるまちづくりを目指すとした。
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