物流業界では、ドライバー不足や低い積載率、長時間労働、温室効果ガスの排出や騒音等の環境問題、廃棄ロスといった様々な課題を抱え、「物流クライシス」と呼ばれている。公益社団法人鉄道貨物協会の発表によると、2028年には、トラックドライバーが28万人不足する見込みだ。また、国土交通省によると、営業用トラックの積載率は直近では40%まで低下したといわれている。
IoTとクラウドを統合した物流情報プラットフォーム「MOVO」を提供する株式会社Hacobuは、物流に関する社会課題を解決するために、「Sharing Logistics Platform」構想を発表した。「Sharing Logistics Platform」は、IoTとクラウドを統合したオープンな物流情報プラットフォームで、会社・業種の枠を超えた多業種企業との取り組みを通じて、ビッグデータが蓄積・利活用されることで、社会最適を実現する事を目指す。
Hacobuはこれまで、パートナー各社とそれぞれのアセットを活かした取り組みを推進してきた。
大和ハウス工業株式会社とは、2017年5月の業務提携以降、「MOVOバース管理ソリューション」を活用したトラック待機時間の削減や物流現場のデジタル化について協力関係を築いている。2017年11月に大和ハウス工業はダイワロジテックを設立し、先端テクノロジーを駆使して物流構造の変革を実現するために、Hacobuをはじめとしたスタートアップ企業8社と資本業務提携契約および業務提携契約を締結している。
また、2018年4月には、大和ハウス工業とダイワロジテックが開発したAI・IoT・ロボットの先端テクノロジーを導入した物流施設「Intelligent Logistics Center PROTO」内において、「MOVOバース管理ソリューション」を試験導入している。
2019年8月には、マルチテナント型物流施設「DPLシリーズ」全拠点に、「MOVOバース管理ソリューション」のトラックの入場予約システムとオンラインチェックインシステムの導入が完了し、物流の最適化を通じた社会課題の解決を推進している。
アスクル株式会社とは、テクノロジーカンパニーとして、物流課題へのテクノロジーの活用に積極的に取り組んできた。その一環として、「MOVOバース管理ソリューション」をAVC関西に導入、当該拠点ではトラック予約システム導入前と比べて、待機時間の削減とともに入荷の生産性向上を実現した。
今後、「MOVOバース管理ソリューション」の全センター導入を予定しており、ソリューション利用を通じて得られるビッグデータ分析により、入荷の生産性向上のインパクトを拡大していく方針だ。
Sony Innovation Fundは、資本提携を通じてHacobuをサポートしている。ソニーグループのネットワークを活用しつつ、技術を活かしたエコシステムを作り上げる点で相互に共感、協力している。Hacobuは、IoT、センシング、AI技術の活用に関して、ソニーのアセットを活かすことを検討している。
日本郵政キャピタル株式会社は、日本郵政グループのネットワークを活用し、Hacobuの価値向上に向けた様々なサポートをしてきた。
日野自動車株式会社とは、2019年9月に資本業務提携契約を締結した。「MOVO」に蓄積された車両や荷物、倉庫といった物流関連のデータと、日野自動車が構築を目指す「商業物流・人流プラットフォーム」上のデータを連携させることで、物流プロセスの全体最適化を図るとともに、CASE時代を見据えたソリューションの検討・開発を目指す。
そして今回、三井不動産株式会社とも、社会課題の解決に向けて、物流拠点というハードとデジタルプラットフォームを連携させる試みを加速させるため、資本業務提携契約を締結した。資本上の提携として、三井不動産が第三者割当増資の形式でHacobuの新株を引き受け、約187百万円を出資する。
最初の取り組みとして、三井不動産が開発・運営を手掛ける「三井不動産ロジスティクスパーク」への「MOVOバース管理ソリューション」の導入に向けて動き、中長期的に、両社は、物流に関する顧客の課題解決に向けて、ビッグデータ活用につき相互検討する。
Hacobuは、資本業務提携で得た成長資金をもとに、多業種企業との取り組み提案を加速していくと共に、様々な外部システムとの連携を見据え最新のウェブ、サーバー技術を実装した基盤の開発加速、大量のデータを蓄積し活用するIoTソリューションの高度化に向けた研究開発等を行う。また、パートナーシップ拡大によりプラットフォーム構築を加速させ、ビッグデータ活用による社会最適実現を目指すとした。
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