もう進化なんてしないのではないかと思っていた、イヤホン。
bluetooth対応のものが登場して以来、ワイヤレスになり、スポーツしながらでもつけられるものや、音質を追及するもの、骨伝導タイプのものなど様々なタイプの製品が登場したが、爆発的に売れるというものはなかった。
しかし、11月に発売され、先日より手元に届きだしているAirPods Proだが、目玉機能となっている「アクティブノイズキャンセリング」の機能が話題になっている。
ノイズキャンセリング機能というと、装着すると外部の音が聞こえなくなる機能のことだが、AirPods Proの場合、ほぼ無音になるからすごい。
では、どうやって外部の音を遮断しているというのだろう。
AirPodsの場合、まず外向きにマイクがついていて、そのマイクが外部の音を認識する。
そして、逆位相の音をぶつけて外部の音波を遮断するのだ。
そもそも音波というくらいなので、音は波状に耳に伝わってくる。これを上下逆さにした音波を作り、外から入ってきた音波にぶつけることで波形がなくなり無音状態になるのだ。
外の音がうるさい時や集中したい時などに耳栓をしたくなるケースがあると思うが、そういう場合でも使える。
さらにappleによると、AirPodsの場合は、耳の内側の音にも逆位相をぶつけて内側の音も消しているというのだ。しかも、この調整を毎秒200回やっているのだという。

上の写真のappleロゴがついている部品が、アンプとなって逆位相を生み出し、ノイズを除去する部品だ。そして、この部品が今度はiPhoneから受け取った音楽を高音質で耳に伝える役割をする。
このチップを「H1チップ」と名付けているのだが、実はこのチップが今回のAirPods Proが話題になっている重要な要素だと筆者は思う。
というのも、イヤホンですることは音楽を聴くだけではない。通話もするし、Siriにも対応しているから軽快な反応も必須となる。
ヒトは、不自然と感じる「遅延」をとても気にするものだ。
例えば、日本語音声の海外映画を見ていて、口の動きと不自然な吹替があった場合、とても気になるという経験をしたことがある人は多いのではないだろうか。
AirPods Proはこの遅延を極小化しているから、使っていて多くのユーザが心地よいと感じるのだろう。
「ユーザが求めていること」にストイックに向き合い、このチップをはじめとする製品の開発したapple。
今回の盛り上がりの結果、この機能は、他のイヤホンでも搭載されていて、今後登場する製品にも搭載されていく可能性が高いが、開発コストを考えると、チップレベルまで自社で追求することができる企業はそれほど多くはないはずだ。

IoTNEWS代表
1973年生まれ。株式会社アールジーン代表取締役。
フジテレビ Live News α コメンテーター。J-WAVE TOKYO MORNING RADIO 記事解説。など。
大阪大学でニューロコンピューティングを学び、アクセンチュアなどのグローバルコンサルティングファームより現職。
著書に、「2時間でわかる図解IoTビジネス入門(あさ出版)」「顧客ともっとつながる(日経BP)」、YouTubeチャンネルに「小泉耕二の未来大学」がある。
