昨今、労働力人口の減少や労働時間に関する規制強化により、働き方改革が推進されている。オフィス以外でも仕事ができる環境を利用するなど、ITを活用して個人が時間や場所を選び、業務をより効率化する取り組みが活発になっている。特に、工場や屋外作業などの現場では、管理者は作業内容の把握に加えて、現場作業者の安全確保のための配慮が求められている。
日本電気株式会社(以下、NEC)では、さまざまな領域で活用できるヒアラブルデバイスの開発を進めており、耳を通じた新しいコミュニケーションと、人とモノがAIと繋がる新しい業務スタイルを提案してきた。
そして今回、耳音響認証技術で個人を特定して、様々なセンシングデータを紐づけ、一括管理・分析ができるサービス「NEC ヒアラブルデバイストライアルキット」を販売した。耳音響認証技術とは、ヒアラブルデバイスに搭載されたNECの生体認証「Bio-IDiom」の1つであり、人間の耳に聞こえない音によりユーザが意識することなく継続的に個人認証できる技術だ。
同サービスは、耳音響認証をはじめとする多彩な機能が搭載されたヒアラブルデバイスとクラウド上の分析環境を用いて、顧客の職場や業務環境に合わせたトライアルを6ヵ月間実施できるものだ。耳音響認証技術の活用や、各種センサーで計測・収集したバイタル情報などの可視化により、いつ、だれが、どのような状態かを把握することができる。具体的なサービス内容は以下の通り。
- ヒアラブルデバイス装着者の体調や状態を可視化
ヒアラブルデバイスに搭載した外耳道温度センサーからバイタル情報、加速度センサーから活動量情報を計測・収集するとともに、耳音響認証技術で個人を特定し、取得したデータと個人を紐づけて一元管理ができる。また、ヒアラブルデバイスの通話アクティブノイズキャンセリングと音声メモにより、騒音環境下での作業内容などの音声データをクリアに保存できる。さらに、Bluetoothヘッドセットとして活用することで、クリアな音声通話も可能だ。 - データ分析ツールにより業務課題の解決や新たな価値の創出
ヒアラブルデバイスで計測・収集し、蓄積したデータを分析するクラウド環境を提供する。このクラウド環境上に送信されたヒアラブルデバイスで計測・収集したデータと、インポートした顧客保有のデータや天気などのオープンデータを組み合わせて分析することで、業務が可視化され、業務マニュアル作成や業務改善ポイントの把握に活用できる。
以下、同サービスの活用例だ。
- 製造現場などの現場改善・有資格者確認
有資格者等の本人確認や、作業者ごとの作業内容、時間をタイムリーに記録できるため、業務改善ポイントの把握やマニュアル化が可能だ。これにより作業者スキルの平準化や生産性向上を支援する。 - 公共インフラなどの屋外メンテナンス作業者の安全管理
高所やカメラが設置できない場所で、作業者の作業内容や時間をタイムリーに把握する。また、防護服着用時や一人作業の場合、作業者の状態を把握することにより、注意喚起を促すなどの応用が可能だ。 - 倉庫内作業者の検品作業効率化
手作業で管理している荷物計測結果や作業リストのチェックを、作業を継続したまま、音声で記録できる。 - 医療現場の遠隔コミュニケーション
メガネ、マスクや手袋を装着した状態で入退室する際の本人確認や、遠隔のナースステーションや他の専門医との円滑なコミュニケーションにより、医療現場を支援する。
今後、ヒアラブルデバイスを活用した業務スタイルの実現と幅広い市場への浸透加速に向けて、サービス事業者やデバイスメーカー、システム構築者などの産業パートナーと、共創や実証実験を進めるとした。
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