キリンホールディングス株式会社は、Celonis株式会社のプロセスマイニングソリューションをアビームコンサルティング株式会社と共に導入することで、調達・購買業務における検収処理の業務滞留検知と督促業務を自動化し、年間160人日の工数削減を達成した事例を発表した。
キリンホールディングスの調達部では、キリングループ全体の調達・購買業務を担っており、2023年に間接材向け調達システムとして「SAP Ariba」を導入した。
しかし、毎月約2万件に及ぶ取引の中で、請求書登録や承認といった検収処理の業務滞留が課題となっていた。
支払遅延による下請法抵触等のリスクを回避するため、同部門では全取引のステータスを確認し、取引先や社内担当者への督促業務を行っていたが、この業務に用いていた内製開発の独自システムには複数の課題があったのだという。
具体的には、業務開始前の早朝に対応が必要なことや、締日前に業務負荷が著しく高まること、さらにシステムは高度な専門性を持つ一部のメンバーしか維持管理できない属人化した構造であったことだ。
これらの課題を解決するべく、同社のデジタルICT戦略部がCelonisのプロセスマイニングソリューションを導入。これにより、「SAP Ariba」のデータから業務滞留を自動で検知し、督促メールを自動送信した。
また、従来の独自システムでは実現できなかった「サプライヤーへの発注未受領・請求書登録のリマインド」「社内発注者への承認リマインド」「異常値や承認者の検知」といった機能を実装した。
その結果、導入から約半年間のモニタリングで、年間160人日程度の工数削減を達成するという定量的な効果が確認された。これまで属人化していた業務のロジックが明文化され、データ加工から督促の自動送信までが一つのシステムに統一されたことで、業務の持続性が大幅に向上した形だ。
さらに、現場の請求者が対応する一連の業務における滞留やミスが減少し、管理する調達部においても業務がスムーズに進むようになった。
今後キリンホールディングスは、Celonisの適用範囲を営業・生産・財務など他部門へ拡大することも視野に入れているのだという。
具体的には、SalesforceやServiceNowといった他の業務システムとCelonisを連携させることで、グループ全体の継続的な業務プロセス改善を推進していく方針だ。
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