株式会社NTTドコモは、複数のAIエージェントが連携してデータ分析業務を代行する「データ分析エージェントシステム」を開発したことを発表した。
このシステムは、役割の異なる複数のAIエージェントが協調してタスクを遂行する「マルチエージェントアーキテクチャ」を採用している。
主に、ユーザの指示を解釈し全体を統括する「意思決定エージェント」、社内データベースから情報を抽出する「データ取得エージェント」、そして結果をグラフ化し戦略を提案する「データ可視化・考察エージェント」の3種類で構成される。
例えば、ユーザが「過去3年間の行動データから、3月によくライブに行く人の傾向を知りたい」といった自然言語を入力すると、意思決定エージェントが過去の分析パターンデータベースと照合し、最適なワークフローを自動で選択する。
その後、各エージェントが自律的に連携し、必要なデータの定義、SQLによる抽出、可視化、そして分析結果に基づく考察までを一気通貫で実行する仕組みである。
また、バックエンドでは「機能群サーバ」が動作する。これは、エージェントからの指示を受け、実際のデータベース操作やグラフ生成を実行する基盤だ。
その一つであるデータ取得機能では、「データ取得エージェントからのプロントによる指示に基づき、社内データベースから必要な情報を抽出する役割を担う。指示には、分析パターン、抽出対象カラム、パラメータ値が含まれている。
この機能では、抽出対象カラムの名寄せにLLMを使用しており、従来データベースからの抽出に必要だった正確なカラム名(項目名)の指定が、今回のシステムでは「スマホの営業実績」といった曖昧な日本語入力を、データベース上の正式なカラム名に自動変換する。
これにより、SQLの専門知識がない社員でも、裏側で複雑なクエリを生成させ、正確なデータを引き出すことが可能となった。
一方、「機能群サーバ」のもう一つの機能である「データ可視化機能」では、取得したデータとユーザが希望する可視化手法に基づき、4種類のグラフを作成する。
ユーザは自然言語で出力したいグラフを「帯グラフ」「積上げ棒グラフ」「棒グラフ」「箱ひげ図」の中から指定することができる。
なお、各分析パターンにおいて縦軸は固定としているが、横軸はユーザが選択肢の中から任意に選択できるとのことだ。

同社が実施した社内実証評価によると、データ分析の実務担当者が同システムを利用した場合、平均して1.4〜1.6回の指示入力で目的とするデータを取得できることが確認された。
なお、全てのケースにおいて3回以内の試行でデータ取得に成功しており、専門スキルを持たない担当者でも実用レベルで分析業務が可能であることが示された。
今回の開発により、分析業務の属人化解消と工数削減に一定の目処が立った形だ。一方で、定性評価では「グラフのカスタマイズ性が低い」「より専門的な社内用語への対応が必要」といった課題も浮き彫りとなったのだという。
NTTドコモは今後、対応する分析パターンの拡充や、対話を通じて分析条件を深掘りする機能の実装を進めるとしている。
将来的には、より広範な業務に対応できる全社的なデータ分析基盤として、システムの高度化を目指す方針だ。
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