堀場製作所、AIで燃料電池触媒の混合分散プロセスを自動最適化するシステム開発を開始

次世代エネルギーとして期待される燃料電池の製造において、心臓部となる触媒層の品質は最終的な性能を大きく左右する。

触媒層の製造プロセスには触媒インクの調合や塗布・乾燥など複数の工程があり、要求性能を満たすためには材料の混合比率や方法、乾燥条件など多様なパラメータを最適化する必要がある。

これは、「お好み焼き」を作る際、同じ材料を使っても混ぜ方や焼き加減によって味や舌触りといった出来栄えが大きく変わるのと同じであり、微細な製造条件の違いが燃料電池の性能に直結する構造となっている。

従来、こうした製造条件の探索は、大型の生産ラインにおいて人が試行錯誤を繰り返しながら行われており、膨大な時間と材料コストを要することが課題となっていた。

こうした課題を受け、株式会社堀場製作所は2026年3月16日、東京大学大学院工学系研究科および金沢大学理工研究域と共同で、触媒層製造における「混合分散プロセス」の条件をAIが自動かつ自律的に探索し最適化するシステム「混合分散ROPES」の開発を開始したと発表した。

なお、同プロジェクトは、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の委託事業の一環として進められるものだ。

新たに開発される「混合分散ROPES」は、大型の生産ラインで生じる現象を小型の装置上で再現しつつ、堀場製作所が強みとする粒子径分布測定装置などの多様な分析・計測機器を用いて触媒インクの混合・分散状態を評価するシステムだ。

最大の特徴は、この評価データに基づき、AIが少ない試行回数で最適なプロセス条件を自動かつ自律的に導き出す点にある。

これにより、従来の人手による実験や試作のプロセスを大幅に省力化し、混合分散プロセスにおける生産技術開発の効率を従来比で100倍以上に高めることを目標としている。

プロジェクトにおける役割分担として、東京大学がシステム構想と要素技術開発を、金沢大学が混合分散メカニズムの解明を担い、堀場製作所が複数の分析機器とソフトを統合する独自のインテグレーション技術を提供する。

研究グループはすでに2025年3月、先行して塗布・乾燥プロセスを最適化する「塗布乾燥ROPES」を共同開発し、探索効率の100倍超化を実現している。

同プロジェクトはそれに次ぐステップとして位置づけられており、将来的には「塗布乾燥ROPES」と「混合分散ROPES」を組み合わせることで、燃料電池の触媒層製造に関わる一連のプロセス全体を最適化する統合システムの構築を目指すとしている。

堀場製作所、燃料電池触媒インクの混合分散プロセスを自動最適化するシステム開発を開始
お好み焼きの製法に例えた燃料電池触媒層製造プロセスのイメージ

堀場製作所はこれらの取り組みを通じて、生産技術開発の高度化と効率化を強力に推進し、燃料電池のコストダウンと本格的な普及拡大に貢献していく方針だ。

なお、同プロジェクトの詳細は、2026年3月17日より開催される「スマートエネルギー WEEK」にて初公開されるのとことだ。

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