株式会社カインズは、Google Cloudが提供する「Vertex AI Agent Builder」などのAI基盤を導入し、需要予測から発注・在庫管理に至る一連の業務プロセスを自動化・統合するデータ処理基盤を構築したと発表した。
同社ではこれまで、システムから出力される190万行に及ぶ膨大なデータを、表計算ソフトの作業用シートに書き出すだけで丸2日を要していた。
さらに、1つのファイルに収まりきらないため20万行ごとに分割して管理し、現場担当者が手作業で在庫データのフラグ立てや、関数を用いた他システムとのマスタデータ紐付けを行っていた。
また、これらの数式変更や列の追加には専任エンジニアの対応が必要であり、列ずれの確認などで多大な工数がかかっていた。
この「表計算ソフトへの依存」という限界を突破するため、今回AIエージェントを活用した基盤を導入した形だ。
この基盤は、現場のユーザ自身がAIエージェントに対して「この条件でデータを抽出してほしい」と自然言語で指示を出すことで、BigQuery上の統合されたデータを直接操作・抽出する。
これにより、従来2〜3日かかっていたデータ抽出や表計算ソフトでのメンテナンス作業が劇的に削減された。
さらに、需要予測の後工程として非常に負荷が高かった酒類などの「車建発注(在庫回転日数をコントロールしつつトラック積載量を最大化する発注)」においても、数理最適化を使ったアルゴリズムを新たに開発した。
これまで取引先に依存していた複雑な計算プロセスを自社内で自動実行できる体制を整え、業務の抜本的な効率化を実現している。
また、データが複数のファイルからBigQueryという単一のソースに統合されたことで、属人的な数式ミスやローカル保存の不安が解消されたとのことだ。
カインズは同取り組みを通じて、点在していた業務プロセスをクラウド上で統合し、AIが単に予測値を出すだけでなく、実務における判断や複雑な計算を肩代わりする「需要予測のその先」の価値を創出したとしている。
今後は、現在ローカル環境で行っている数理最適化計算のリクエスト処理なども順次AIエージェント上へ移行していく予定である。
さらに、シーズン商品の最適化や棚割の最適化といった、より複雑な変数が絡む領域への数理最適化の適用も視野に入れているとのことだ。
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