PCB(プリント配線板)への部品実装において、近年のAIの急速な進化と普及を背景に、実装される半導体などの電子部品は、大型化・微細化・積層化が一段と進んでいる。
特に、AIサーバをはじめとする最先端機器の基板では、大型部品や端子間隔が数ミクロンという極めて狭いピッチの部品が多数実装されるため、はんだ不良の発生を検知する難易度が上昇している。
こうした状況下で、自動光学検査(以下、AOI:Automated Optical Inspection)装置が誤検出したはんだ不良を、最終的に人間が肉眼で再確認する「目視検査」のプロセスにおいて、確認コストの増大や検査員の精神的・身体的負荷が製造現場の深刻な課題となっていた。
こうした中、沖電気工業株式会社(以下、OKI)は2026年6月29日、AOI装置後の目視検査時間を短縮する「目視判定AI技術」を開発した。
「目視判定AI技術」は、後続の目視検査工程を約8割削減する実装基板専用のAI技術だ。AOI装置の検査判定プログラムに、大型高密度PCBに対応したOKIのモノづくりで培った知見をもとに構築した独自のアルゴリズムを搭載し、「はんだ濡れ」「位置ずれ」「欠品」「浮き」の4項目を自動かつ短時間で高精度に良否判定する。
具体的には、AIがはんだの状態や位置の不整合などを高精度に判定するだけでなく、部品個々の機能に悪影響を及ぼさない特徴まで配慮する仕組みを構築した。
例えば、機能的には問題がない製造番号やロット番号の違い、あるいは表面印刷のかすれなどについて、これまでの単純な画像比較ではエラー(不良)と誤判定されやすかったが、同技術に組み込まれた独自プログラムによって、これらを自動的に「良品」と正しく識別することが可能である。
さらに、多品種少量生産や機器の仕様変更が頻発する「変種変量生産」の現場を想定し、学習用データの取得コストという実務上のハードルにも対処した。
同技術では、あらかじめ不良データを大量に集める必要がなく、少量の良品データのみからAIにその特徴を学習させ、そこからの逸脱度合いに基づいて合否を判定する「良品のみ学習」方式を採用している。
これにより、数万種類の部材や数千種類の機器を扱う複雑な生産ラインであっても、学習コストを最小限に抑えながら、迅速に高精度な自動検査体制を立ち上げられることができるのだという。
なおOKIは、「まるごとEMS」という今回の技術が先行して搭載された受託生産(EMS)サービスを2025年より提供しており、同社は2026年7月1日より、「目視判定AI技術」を顧客企業の生産ラインとなる「まるごとEMS」サービス向けラインへの導入を開始している。
今回のAI目視判定による検査精度の向上と製造工程の短縮化は、「まるごとEMS」を利用する顧客企業の製品供給スピードと品質レベルに直接寄与するとのことだ。
OKIは今後、今回確立した「目視判定AI技術」を基板検査プロセスだけに留めず、他の様々な検査用途へ応用展開していくとしている。

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