マイクロソフトは、FY17の法人向けクラウド事業が189億ドル、FY18には200億ドルを達成する目標ということだ。
その中でもクラウドサービスは前年比で見ると、Azureが97%増、Office365が43%増, Dynamics 365が74%増と、「デジタルトランスフォーメーション元年」として全営業部隊が目標を達成することができたと好調さを伝えた。
インパクトが大きかったのは、「働き方改革の推進」に関する取り組みがクローズアップされた年となったということ、Office365でのテレワークだけでなくMyAnalyticsを使った働き方改革が進んでいる状況だという。また、下半期にはAI/MRという領域が注目されたということだ。
コグニティブサービスとして、博報堂やリクルート・トヨタ・日産にサービスを提供し、チャットボットは、三井住友銀行、ディープラーニングではプリファードネットワークスとの協業、りんなでは、ローソンとの提携など、要素技術が実ビジネスにつながっていった年だったと振り返った。
スマートフォンの翻訳アプリ、Translatorも発表され、MRヘッドセットである、Hololensも米国に次ぐ第二の出荷数があったということだ。
平野氏が社長に就任した2年前は、クラウドの売上比率がまだ7%であったが、これも2年間で47%まで伸びてきたと述べた。
FY18に向けてのマイクロソフトの取り組み
テクノロジーの世界観としては、これまではモバイルファーストとクラウドファーストというパラダイムで語ってきたが、テクノロジーやクラウドの使い方が、マルチデバイス、マルチシナリオ、マルチユーザの時代がきているのだという。
例えば、生活していて何かを指示するとしても、スマートフォンでの入力やボイスでの指示など、複数のデバイスがつかわれてきているし、インテリジェントなクラウドやインテリジェントなデバイスも増えてきている現状だ。
インテリジェントクラウド・インテリジェントエッジでの要点としては、以下の3つがある。
マルチデバイス・マルチセンサー
何かをすると、別のデバイスが動くなど、
エッジ側にもデータがたまるので、今後はエッジのAIも必要となるだろう。
人工知能
いろんなものに、AIの要素が含まれてくる。
例えば車のようなデバイスも短時間で膨大なデータを集めてくるのでAI活用が必要だ。
分散協調型コンピューティング
アプリケーションの開発や、管理の手法自体も変えていかなければならない。
マイクロサービスや、コンテナなど仮想化サービスだけでなく、それ以上に分散協調するテクノロジーも必要となる。
では、こういったテクノロジー面ではなく、実際にテクノロジーを利用するユーザから見るとどうだろう。
ユーザ側からみた市場とマイクロソフトのアプローチ
「デジタルトランスフォーメーションの必要性はどんどん高まっている。」と平野氏は言う。人口減の時代に、プロセスやお客様とのつながり、働き方などで、どんどん生産性を上げていくに、デジタルトランスフォーメーションのニーズは高くなるのだ。
「社員にパワーを」「お客様とつながる」「業務を最適化」「製品の変革」の4つのキーワードを、マイクロソフトでは、4つのソリューションを使って解決していくということだ。
マーケットを見ると、図、右下の「デスクトップビジネス」という領域がもともとのWindows95の入ったパソコンを売るという市場だ。これが、現在では「インテリジェントクラウド&インテリジェントエッジ」という領域まで市場の広がっていて、その市場規模の差は優に100倍はあり、従来のテクノロジーの市場と見ずに、ビジネスとしてテクノロジーを活用する市場としてみていくことが重要になるのだと述べた。
この大きなマーケットに関して、マイクロソフトが注力する分野としては、「働き方改革」「インダストリーイノベーション」「デバイスモダナイゼーション」「セキュリテイ」があるとした。
FY18は、産業分野ではAzureをつかった業種特化型サービスを作っていく、インテリジェント・エッジのためのデバイス環境の整備や、これらを安心に行うためのセキュリティ対策もやっていくということなのだ。
働き方改革
いつでも、どこでも働けるという、これまで、Skype for Businessを活用したテレワークなどの推進をしてきたが、今後は、AIを使った改革も考えているという。
顧客より先んじて自社の社内制度改革やAIの徹底活用したソリューションを考えているということだ。MyAnalyticsを活用した、個人の時間管理だけでなく、社内の会議室管理や、ビジネスの需要予測などにも、AIを活用していくことを想定しているということだ。ちなみに、マイクロソフトでは今年度の営業の目標の割り振りは、AIが行なっているということだ。
また、Microsoft365による安心・安全な環境の実現、働き方改革推進会社ネットワークの展開も考えているということだ。
インダストリーイノベーション
Azureをベースにした、業種別のソリューションを提供してい、業種ごとのスペシャリストを配置していくということだ。
「IoT共創ラボ」のようなパートナーコミュニティも、今後事業領域に拡大していきたいと述べた。
注力領域としては、6つあって、例えば、金融分野では国際力の向上やフィンテックを使った新規ビジネスの創出、製造業では現場を超えたIoTの実現など、多くの対応を進めているということだ。
インダストリー領域のセールスに関しては、パートナーのサービスをホームページ等でインデックスするだけでなく、一緒に売っていくという突っ込んだ対応を行ったり、自社で対応モジュールを開発したりしていくようなことも想定していると述べた。
デバイス・モダナイゼーション
今後は、クラウドがインテリジェントなだけでなく、デバイス側のインテリジェントも重要だ。
そのために、Windows10は秋にアップデートし、AIや他のデバイスとの連携機能をアップデートする予定があるということだ。
IoTデバイス、センサー、コルタナ搭載デバイスなど、パートナー企業でつくられるデバイスも今後増えてくる流れにあるので、インテリジェントクラウドとの連携によって次の価値が生まれると想定していると述べた。
MR(Mix Reality)の世界も今後発展して行くと考えていて、MRパートナープログラムも秋に開始する予定があると述べた。
MRに関して、これまでは開発者向けのコミュニティはあったが、SIerなどを巻き込んだ法人向けプログラムがなかったので、そういったコミュニティを想定していると述べた。
今後マイクロソフトが提供する様々なサービスに関して、日本語環境や特有な使い方、業務フローなど、いろんな角度でのローカライズを進めている同社だだ。AIに関しても、「『みんなが使えるAI』と呼べる内容にしていきたい」とし、さまざまなデジタル・トランスフォーメーションの場で活用できるサービスに取り組んでいく、という考え方を示した。
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IoTNEWS代表
1973年生まれ。株式会社アールジーン代表取締役。
フジテレビ Live News α コメンテーター。J-WAVE TOKYO MORNING RADIO 記事解説。など。
大阪大学でニューロコンピューティングを学び、アクセンチュアなどのグローバルコンサルティングファームより現職。
著書に、「2時間でわかる図解IoTビジネス入門(あさ出版)」「顧客ともっとつながる(日経BP)」、YouTubeチャンネルに「小泉耕二の未来大学」がある。