日本の農業は、生産者の高齢化、減少にともない、今後の供給力への懸念が叫ばれている。農林水産省が行った調査では、農業就業人口は2018年に175万人で、これは2017年より6万人減っており、1976年と比べると573万人も減少している。この減少は今後も続いていくことが予想されている。
株式会社天地人は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)職員と農業IoT分野に知見のある開発者が設立した宇宙ベンチャーである。これまで地球観測衛星のデータを活用した独自開発の土地評価エンジン「天地人コンパス」を使って、目に見えない気候風土の情報を解析し、果物をより美味しく育てより収量も見込める新たな場所(ポテンシャル名産地)を発掘するプロジェクトなどを行ってきた。
株式会社神明ホールディングスは、基幹事業である米穀事業に加え、無菌包装米飯・炊飯米等の加工食品の製造販売、水産品や青果流通への参入、外食事業の展開など、食に関わるビジネスを展開している。
そして今般、天地人と神明ホールディングスは、宇宙技術を活用した農業の確立を目的に業務提携契約を締結した。
同提携により、蓄積された衛星データを「天地人コンパス」で解析し、収穫量が増える圃場や、より美味しく育つ可能性のある圃場を見つけ、米農家と協力して栽培した米「宇宙ビッグデータ米」を2020年9月頃に収穫し、まずは神明ホールディングス傘下の飲食店で提供予定だ。
また、将来的なコメの生産増につながる農業施策として、宇宙の技術を活用した農業を確立するプロジェクトを立ち上げることを発表した。例えば、衛星データで収穫量が増える圃場やより美味しく育つ品種などを見つける、年々増加している耕作放棄地の有効活用、品種に応じて最適な気象条件の場所や自然災害が少ない場所を見つける等のプロジェクトを行う予定だ。
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