近年、AIによる顔認証技術の急速な発展により顔認証関連ビジネスの世界市場は、2019年から2024年までの5年間で2倍以上の急成長が見込まれている。顔認証技術により、画像や映像から個人の特定が可能となり、昨今では個人のプライバシー情報が流出する事案も発生している。
セキュリティ面などで大きく貢献し社会に不可欠な存在となる一方で、SNSにおける写真投稿など自分以外の顔画像公開を通じ、情報漏洩の加害者側になるリスクも顕在化している。誰もが意図せず被害者・加害者に成り得る社会となっている。顔写真画像の流出が世界中で課題となり、欧州GDPRをはじめとする各種プライバシー保護規制が採用される中、データ利活用とプライバシー保護の両立が社会的にも求められている。
これらの背景から、凸版印刷株式会社はイスラエルのDe-Identification, Ltd.(以下、D-ID)と戦略的パートナーシップ契約締結を通じ、顔認識技術で個人が特定できる要素に独自の加工を施すことで個人のプライバシーを保護する顔画像の非識別化サービスの提供を12月より開始する。
同サービスは、個人を特定する識別子に独自の加工を施すことにより、顔画像の機械認識率を下げ、顔画像の非識別化を行う。以下の3つの技術を通じて非識別化を行い、AIによる顔認識技術における個人情報の特定・流出の防止やディープ・フェイク(※)対策を実現する。
- 視認類似性を保持した非識別化技術
- 最少属性を保持した非識別化技術
- ぼかしによる非識別化技術
個人の特徴となる要素である輪郭、目鼻立ちなどを加工し、顔画像の非識別化処理を行う。これにより、人間の目では情報を判断できる要素を残しながら、AIでの顔認識による個人の特定を防止する。
顔認識技術に対して、対象の個人とは異なる別の顔を作成しながら、最小限の属性情報(年齢、性別など)を残す形で顔画像及び動画の非識別化処理をすることが可能である。これにより、企業の技術開発やマーケティングなどにおいて、安心・安全なデータ利活用に貢献する。
自動的にぼかし処理を入れることにより、顔画像及び動画の非識別化を実現した。映像内の人物プライバシーの保護にも有効だ。
同サービスを活用することで、個人の識別情報を保持しない顔画像を作成することができる。なお、同サービスの料金は200万円~(PoC実施費用)である。
※ 個人に紐づいた多数の画像・映像から機械学習を活用して合成生成された、偽物とは容易に見抜くことが困難な画像・映像合成技術の通称。
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