IDC Japan株式会社は、企業におけるAIシステムに関する企業ユーザー調査結果を発表した。同調査結果から、AIシステムを全体的に利用している企業は16.0%となり前回調査から3.7ポイント上昇の結果となった。
同調査では、企業のAIシステムを把握している経営層、およびIT管理者を対象としたアンケート調査を2020年3月に実施し、524社から有効回答を得た。IDCではAIシステムについて「推論と学習を通じて自己修正するシステム」と定義している。AIの成長は各分野でみられ、国内企業のDXへの取り組みを促進するきっかけとなっている。
同調査の結果「全社的に利用」している企業は16.0%となり、2019年調査(2019年2月に実施)から3.7ポイント上昇した。また、「利用していない」企業は8.2%となり、2019年調査から4.0ポイント減少した。2018年調査(2018年4月に実施)時から、実証実験の範囲や調査/情報収集の状況など状況による上下はあるものの、企業のAIシステムの導入状況は、同期間において概ね上昇している。
また、AIシステムを実際に利用している企業に対して、利用目的であるユースケースについて質問した結果「品質管理」が15.0%と、最も多い回答になった。品質管理のユースケースでは、AIが製品やサービスの仕様外の変更認識や、品質目標外の検出や助言を行うものと想定しており、同調査ではプロセス型/組立型製造などの業種にて利用が多いことが判明した。
2番目に多い回答が「ITオートメーション」で13.4%、そして「高度なプロセスオートメーション」と「自動顧客サービスエージェント」が、それぞれ10.0%と続いている。同調査においては、ユースケースはこれらを含めた全16種類に対して利用している、との回答を得ている。このことにより、AIシステムはDX活動による企業の内部変革、および外部変革を通じて、広範囲に展開されていると考えられる。
そして、企業のAIシステムの導入時における課題について質問したところ、上位5つに意識されている課題のうち「IT環境が複雑」が17.0%と前回より2.8ポイント、「スキルと人材が不足」が11.5%と前回より7.3ポイント、それぞれ2019年の同調査よりも上昇する結果となった。これは、AIシステムの活用が企業全体で進み、事業活動とより一層関連し始めることで、AIシステムの継続的な利用に関する課題が浮き彫りになってきたことを示すものであると考えられる。
IDC Japan ソフトウェア&セキュリティ リサーチマネージャーの飯坂暢子氏は「AIはDXを実現する注力テクノロジーとして日常社会のあらゆる側面に浸透する。連続的なAIのジャーニーを実現するには、AIシステムの継続的な導入の視点に立ち、企業資産としてハイブリッドにAIの最新技術と人的リソースを形成し続けることが重要である」と述べている。
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