FRONTEO、ハッシュ化した機密情報を自社開発AIエンジン「KIBIT」で解析する新技術を発表

セキュリティ対策として活用されるハッシュ化は、インターネット上で安全にデータを保管・通信するために開発された技術です。ハッシュ関数によってデータを不規則な文字列「ハッシュ値」に変換する手法で、ハッシュ値は不可逆的であるため元データを割り出すのは技術的に非常に困難とされている。

一方、「暗号化」もデータを読み取られないよう暗号アルゴリズム「暗号鍵」によって元のデータを変換する手法だが、これは可逆的であるため、暗号鍵によって復号し元データを閲覧することができる。量子コンピュータの開発が世界的に進む昨今、この暗号鍵が量子コンピュータによって解読されてしまう恐れが懸念され始めている。

国際訴訟におけるeディスカバリ(電子証拠開示)では、1案件当たり数テラバイトに及ぶこともある膨大な文書データを海外のデータセンターに送り、保管することがある。その場合、機密情報が含まれるデータを復号可能な状態で持ち出すことになり、社外はおろか国外で機密情報が悪用されるリスクが高まってしまう。

また、経済安全保障上の観点からも、機密情報が汎用性のある方法で閲覧や復号可能となる状態で移動することは、技術流出のリスクやそれによる国際競争力の低下などにつながる可能性があり、重大な影響を与えかねない。

株式会社FRONTEOは、ハッシュ化したデータを自社開発AIエンジン「KIBIT」で解析する新たな技術を開発した。

同技術は、ハッシュ化データをKIBITが解析し、データ一式から調査目的に必要な情報のみ(例えば、ドキュメントの証拠との関連度合い、ドキュメント内の注目箇所、あるいはAI解析モデル)を獲得する。獲得した情報を元データと照合し、必要な部分を特定すれば、企業・専門家は情報流出のリスクを減らし、かつ、膨大なレビュー作業を効率的に行うことができる。

同技術でハッシュ化された状態での解析が可能となることで、医療や金融、経済安全保障など、情報管理上、社外や国外への持ち出しが制限されている機密情報についても、管理区域外への安全な送信・解析が可能になる。

なお同技術は、FRONTEOのリーガルテックAI事業にて年内のサービス提供を見込んでいる。

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