近年、カメラやIoTセンサーなどのエッジデバイスが取得したデータを、デバイスに搭載したコンピュータで即時に処理するエッジAIが注目されている。エッジAIは、デバイスの近くにAIを置くことで、サーバとの通信コストを減らしながらリアルタイムでの解析や判断ができるため、自動運転や店舗カメラでの顧客行動分析、工場における異常検知などでの活用が期待されている。
伊藤忠テクノソリューションズ株式会社(以下、CTC)と、マサチューセッツ工科大学発のスタートアップであるLiquid AI, Inc.は、エッジAIソリューションの開発に向けた協業を開始した。
最小限の処理能力で順応性の高い機械学習を可能にする「Liquid Neural Network(以下、LNN)」と呼ばれる手法に基づくLiquid AIのAIを活用して、エッジデバイスでの処理性能の向上を目指す。
今回の協業では、最小限の処理能力で順応性の高い機械学習を可能にする「Liquid Neural Network(以下、LNN)」と呼ばれる手法に基づくLiquid AIの機械学習の技術を活用して、大規模なデータをリアルタイムにエッジで処理するエッジAIソリューションの開発を行う。
LNNは、事前に学習したデータから逸脱した未知の環境や予期せぬ状況に対しても柔軟に学習が可能となるため、ドローンや車両の自動運転への活用に期待されている。一般的な機械学習のモデルでは約10万個のニューロンを必要とする自動運転に関する計算を、LNNでは19個のニューロンで算出し、同等の結果を得ることができる。エッジデバイスや利用者の近くに設置する小型コンピュータで動作するため、これまで膨大な計算コストを必要としていたAIシステム基盤の縮小にもつながり、電力消費量、CO2の排出量の削減が期待できる。
CTCは、カメラを活用したエッジAIソリューションの提供や、データ分析基盤の構築で培ったノウハウで、Liquid AIのAIを活用し、カメラソリューションや自動運転、ドローン管理などのエッジAIソリューションの開発を進める。
今後もCTCとLiquid AIは協業を進め、LNNを活用するためのPoCやデータ分析などのサービス、大規模なAIシステムの省力化に向けた技術検証に取り組むとしている。
なおCTCは、海外のスタートアップとより強固なパートナーシップを構築し、ビジネスの共創につなげる取り組み「NAPP(North America Partnership Program)」を2023年4月から開始しており、今回の協業はその一環である。
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