IDC Japan株式会社は、AIシステム市場における産業分野別・ユースケース別の予測を発表した。
同社は、AI機能を提供するソフトウェア、AIワークロードを実行するクラウド・ハードウェア、およびAIシステムに関わるITサービスに関して、産業分野別およびユースケース(利用方法)別に分析し、5年間の支出額予測を提供している。
2024年8月に発行した同製品によれば、27の産業分野に渡るAIシステム市場の分析結果から、同市場の国内支出額市場規模は2024年に前年比41.6%増の1兆763億円に達し、初めて1兆円を超える規模になると予測している。同市場は、2023年~2028年の年間平均成長率が30.6%で成長し、2028年の市場規模は2兆8,911億円になると予測している。
また、AI市場の中での生成AI市場は2024年に1,016億円に達し、初めて1,000億円を超える規模になると予測した。同市場は2023年~2028年のCAGRが84.4%で成長し、2028年には8,028億円になると予測している。
市場拡大の要因としては、2022年後半から急速に進展した生成AIの影響によってビジネス活用への期待感の拡大や、製品・サービス提供ベンダーからの生成AI組み込みが「アプリケーションソフトウェア」「セキュリティ」「プラットフォーム」「サービス」で進展したこと、AI機能の適用がデータ分析、リスク管理、顧客サービスへの適用などに拡大したことが挙げられている。
さらに、同製品では、生成AIがどのようなユースケースで利用されるかについても予測している。生成AIは要約、検索、翻訳など一般オフィス用途ばかりではなく、目的特化アプリケーションの自然言語利用、エンターテインメントや顧客エクスペリエンス分野での自然言語ボットや音声・画像生成などでの利用方法が想定されている。
加えて、IDCでは、生成AIに適用されると想定できる42のユースケースに対して、各ユースケースの市場規模を予測した。
この結果、国内生成AI市場では短期的にはソフトウェア開発やセールスガイダンスなどが市場を形成し、長期的にはリスク・コンプライアンス管理や詐欺分析・調査、収入・支出管理などの成長率が高いことが判明したのだという。
これらのユースケースでは、コード生成や自然言語対話型の調査分析がワークフローに含まれることから、生成AIの活用に適したユースケースになると予測されている。
IDC JapanのSoftware/Service Solutionsシニアリサーチディレクターである眞鍋敬氏は、「IT市場に対するAIのインパクトは急速に拡大し、社外・社内の業務適用やエージェントを用いたワークフロー自律化などによって、AIと人間が協働することを意識したソリューションが登場している。一方で、AIをビジネス活用する際のコスト、正確性、セキュリティ、生成物の権利・倫理などの課題も顕在化している。企業はAIの効果とリスクを考慮し、どのようなAIモデルを自社のユースケースに適用するかを含めて活用を進めることが望ましい」と述べている。
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