アンケート収集から資料作成までを自動化するには?設問設計やワークフロー構築方法を解説

イベントやセミナーの開催において、参加者の生の声を拾い上げる「アンケート」は、施策の成否を判断し、次回の質を向上させるために欠かせない重要なプロセスです。

しかし、アンケート業務を任された担当者は、単にデータを集計するだけでなく、膨大な自由記述の中から示唆に富んだ意見をピックアップし、改善に向けたインサイトを導き出さなければなりません。

さらに、抽出したデータをグラフ化し、報告用のスライド資料としてまとめ上げ、関係各所へ共有するなど業務は多岐にわたります。

こうした事務的な作業に忙殺され、担当者のリソースは常に逼迫し、肝心の「改善策の立案」といったクリエイティブな業務に時間を割けない工数過多の状態に陥りがちです。

こうした状況を打破しようと、分析やレポート作成を外部の専門業者に委託すれば多額のコストがかかるため、「スピード感を持ちながら、低コストで分析・報告を内製化したい」と考える企業も多いのではないでしょうか。

その第一歩として、以前の記事では、生成AIが「設問設計」や「自由記述の要約・分類」といった定性的なタスクを自動化する方法について紹介しました。

一方で、「正確な数値集計」や「日本語フォントを維持したグラフ作成」などの定量的な処理には、依然として精度の不安定さが残ることが明らかになりました。

以前の記事はこちら:生成AIを顧客アンケートの設問設計・分析に活用するには?ChatGPT・Geminiを活用して精度を検証してみた

そこで本記事では、前回の検証結果を踏まえ、生成AIの「思考力」とプログラム(Google Apps Script:以下、GAS)の「正確性」を組み合わせたハイブリッド型による、アンケート業務の自動化手法を解説します。

数値集計精度の不安定さをどう解決するか?

前回の検証の結果、「AIは確率で答えを導くため、厳密な数値計算や、それに基づいたグラフ作成には不向きである」ということが分かりました。

そこで今回のシステムでは、「計算はプログラム(GAS)に、解釈はAI(NotebookLM)に」という適材適所の役割分担を行うことで、正確性と効率化の両立を目指します。

数値の「正確性」をGASで担保する

アンケート報告において、NPS(商品やサービスに対する信頼・愛着を測る指標)の算出や満足度の平均値に「誤差」は許されません。

前回、AIが行った集計には数パーセントのズレが生じるケースがありましたが、これをGASによる集計処理に置き換えます。

プログラムはあらかじめ定義されたロジック通りに動くため、100%正確な数値を算出できます。AIに計算を「お願い」するのではなく、コードで確実に「実行」させるのがポイントです。

さらに、この集計処理の結果は、GASによって連携したスプレッドシートの集計専用行(テーブル)へと自動的に書き込まれます。

これにより、「回答の収集」から「指標の算出」、そして「時系列データとしての蓄積」までが、一切の手作業を挟まない一連の自動化パイプラインとして完結します。

一次情報のみから資料作成を行う

スプレッドシート上でも簡易な分析はできますが、プレゼン用の資料の作成までを行うために、RAGを誰もが簡単に使えるように設計されたAI搭載のリサーチアシスタント・ノートツールNotebookLMを活用します。

前回の記事では、汎用的な生成AIを活用しましたが、アンケート結果以外の結果を生成する可能性があります。実際に、存在しない数値を生成していました。

そこで、読み込ませたアンケート結果という「一次情報」のみをソースとして洞察を抽出してくれるNotebookLMに、スプレッドシートの結果を読み込ませます。

これにより、アンケート結果にある数値や文章を正確に汲み取った上で、「報告書のストーリー」と「各スライドのメッセージ」を自動的に生成してくれます。

自動化を成功させる「逆算型」アンケート設問術

GASとNotebookLMを活用することで、正確性と効率化の両立が期待できます。

しかし、データの形式がバラバラであると、GASやAIが正しく認識することができず、正しく結果が出力されない可能性があります。

自動化システムにおいて、アンケートフォームは単なる「質問の場」ではなく、システムへの「データ入力インターフェース」と捉えることができます。

そこで、出口である「報告用スライド」から逆算し、GASやAIが処理しやすい形でデータを受け取るための設計ポイントを整理しました。

①定量データ:GASに計算を任せるための「数値固定」

満足度やNPSを測る設問では、自由入力を一切排除し、「1〜5の5段階評価」などのラジオボタンで回答を固定します。

「満足」「普通」といった文言ではなく、あらかじめ「5:大変満足」といった数値付きの選択肢にしておくことで、GASがそのまま平均値や「Top 2 Box(上位2項目の合計割合)」を正確に算出できるようになります。

これにより、スライド上のグラフの数値に「AIによる誤差」が入り込む余地をゼロにします。

②定性データ:AIを「名軍師」にするための細分化

自由記述欄を「ご意見をご自由にお書きください」という一項目にまとめると、AIは「良い点」と「悪い点」を混同して要約してしまうことがあります。

これを防ぐために、「良かった点(ポジティブ)」と「改善してほしい点(ネガティブ)」で設問をあえて分けます。

このように入り口を分けることで、AIは「強みの特定」と「課題の抽出」をより鋭く行えるようになり、スライドにそのまま掲載できるレベルの具体的なインサイトを生成してくれるようになります。

③属性データ:クロス集計を「自動化」する選択式の徹底

「業種」や「役職」「参加目的」といった属性データは、必ずドロップダウン形式の選択式にします。

「製造業」「メーカー」など、回答者によって表記が揺れる自由記述にしてしまうと、GASでの集計前に「名寄せ」という膨大な手作業が発生してしまいます。

選択肢を固定することで、属性別の満足度比較といったクロス集計もプログラムが一瞬で終わらせられるようになります。

④バリデーション:データの「汚れ」を未然に防ぐ

メールアドレスの形式チェックや、必須項目の設定など、Googleフォームのバリデーション(回答の検証)機能をフル活用します。

これにより、正しい形式のデータしか入ってこない状態を作り、エラーなくシステムを走らせることができます。

データの入り口を清潔に保つことが、結果として「手直しゼロ」の自動化を実現します。

このように「出口」から逆算して設問を設計することで、AIとGASが持つ本来のポテンシャルを100%引き出すことが可能になります。

アンケート収集から分析・資料化までのワークフロー

では次に、実際に一連の流れを実行する方法を紹介します。

データの入り口:GASによる自動収集と蓄積の内容

まず、Google Apps Script(以下、GAS)でGoogleフォームの生成と、入力されたデータの蓄積を行なっていきます。

GASにアンケートの設問や選択肢をコードで定義することで、自動でGoogleフォームを生成し、そのURLを提示してくれます。

なお、このコードもGeminiなどの生成AIに生成してもらうことができるので、前章の設問設計を踏まえた内容のコードを書いてもらいましょう。

アンケート収集から分析・資料化までのワークフロー
GASに書き込んだコードにより、GoogleフォームのURLが生成される。

このURLをwebで開くと、Googleフォームの編集画面が開きます。問題がなければ公開し、リンクを共有することで回答者がフォームに入力することができます。

アンケート収集から分析・資料化までのワークフロー
Googleフォームの回答画面

回答者がフォームに入力をすると、連携されたGoogleスプレッドシートへとリアルタイムで1行ずつ蓄積されていきます。

アンケート収集から分析・資料化までのワークフロー
入力された回答が、連携したスプレッドシートに蓄積されている

データの深掘り:NotebookLMによる定性分析

次に、スプレッドシートに蓄積された整理済みのデータを、ソースとしてNotebookLMに読み込ませ、スライドを作成してもらいます。

ソースを読み追加した後に、「スライド資料」というボタンを押すことで、自動で資料を作成してくれます。

アンケート収集から分析・資料化までのワークフロー
NotebookLMが生成してくれたスライド資料

資料の仕上げ:Gemini Canvasによるスライド変換と修正

最終的な微調整を行うには、GeminiのCanvas機能を活用して、Googleスライドに変換することで修正することができます。

NotebookLMで生成されたスライドのPDFをGeminiのCanvas機能に投げ込み、Googleスライドへの変換を指示することで、修正可能なスライドを生成してくれます。

アンケート収集から分析・資料化までのワークフロー
GeminiのCanvas機能により、NotebookLMが作成したPDFを、Googleスライドに変換してくれる。
アンケート収集から分析・資料化までのワークフロー
変換されたGoogleスライドをダウンロードすることで、修正することができる。

アンケート自動化により生まれるメリット

最後に、こうした技術を活用することで、従来のアンケート業務にもたらすメリットを紹介します。

業務時間をクリエイティブな施策立案へ

これまで担当者を苦しめていた「データの集計」「グラフの作成」「スライドへの転記」といった事務的な定型作業がほぼゼロになります。

膨大な作業から解放されることで、浮いた時間を「なぜこの結果になったのか」の深掘りや、「次回の施策をどう改善するか」という、人間にしかできない戦略的な検討に充てることが可能になります。

「100%の正確性」と「嘘のない洞察」の両立

プログラムによる厳密な計算と、AIによる文脈理解を組み合わせることで、報告書の信頼性が飛躍的に向上します。

GASが定義通りに計算を行うため、人間がやりがちな計算ミスや転記ミスによる手戻りがなくなります。

スライド資料においても、NotebookLMがアンケート結果という「一次情報」のみを根拠に分析を行うため、ハルシネーション(AIの嘘)を排除した、自社専用の正確なメッセージをスライドに反映できます。

スピード感のある「分析の内製化」とコスト削減

デザインスキルや高度なデータ分析スキルがなくても、一定の品質のプレゼン資料をAIが作成し、そこから人が修正するというワークフローを組むことができます。これにより、即座にレポート化できる体制が整います。

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