製造現場や社会インフラの領域において、IoTセンサやカメラから得られるデータ量は爆発的に増加している。
しかし、それらの多くはデータベースに蓄積された後の「事後分析」に利用されるにとどまり、刻一刻と変化する状況に対する「瞬時の判断」や「アクション」への活用は、依然として熟練者の経験や勘に依存しているのが実情だ。
こうした課題に対し、Vantiq株式会社は2026年2月6日、リアルタイムデータと生成AIを連携させ、複数のAIエージェントが協調して業務を遂行する「マルチAIエージェント基盤」を実現したと発表した。
同基盤は、単一のAIに全てを任せるのではなく、役割の異なる4種類のAIエージェントが連携し、人間が行う「検知・分析・立案・統制」といった意思決定プロセスを模倣して動作する。
具体的には、センサや映像から異常を検知する「Inspector Agent」、その原因を分析する「Diagnostic Agent」、改善策を立案する「Kaizen Agent」、そして全体の判断を統合しポリシーに準拠しているか管理する「Orchestrator Agent」が構成要素となる。
これにより、複雑な現場判断であっても、専門特化したエージェントが協調することで、精度の高い結論を導き出し、さらにシステムへの操作や機器の制御といったアクションまでを自律的に実行することが可能となる。
加えて、ブラックボックス化しがちなAIの挙動に対し、同基盤では各エージェントが何を検知し、どのように分析・提案を行い、最終的に何が決定されたかといった一連のプロセスを、管理者はリアルタイムで確認することができる。
アクションの実行フェーズにおいては、AIが人を介さずに自律的にシステム制御などを行うことも可能だが、重要な判断には人間の承認を必須とする「人間介入(Human-in-the-loop)」のフローも柔軟に組み込める。
さらに、アクション実行後もシステムがその効果や状態変化を継続的に監視し、期待通りの結果が得られたかを評価する仕組みを備えている。
技術面では、データを受信した瞬間に処理を行う「イベントドリブンアーキテクチャ」を採用している点が特徴的だ。
一般的なビッグデータ分析が「データを保存してから処理する」バッチ処理であるのに対し、Vantiqの技術はデータが流れてきたその瞬間にAIエージェントを起動させ判断を行う。
また、同基盤はローコード開発プラットフォームとして提供され、画像認識AIやLLM、RAG(検索拡張生成)といった多様な技術を容易に統合できる。
利用環境に関しては、クラウドだけでなく、オンプレミスやエッジ環境にも対応しており、同一アプリケーションを環境を問わず展開することが可能だ。
同社はすでに、スマートファクトリーや公共安全、ヘルスケアなどの分野で複数のシナリオテンプレートを構築しているとのことだ。
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