化学分野の研究開発において、特許や学術論文からの化合物情報の収集は不可欠な業務である。
しかし、複雑な高分子や有機化合物の場合、構造式を見ただけで正確な化合物名を特定することは困難であり、研究者が膨大な文献を手作業で照合するために多大な時間と労力を要するという課題があった。
こうした中、三井化学株式会社は、学術文献等に記載された化学構造式から化合物に関する情報を自律的に調査・整理する独自の「生成AIエージェントシステム」を開発し、社内での実証実験を開始したと発表した。
同システムは、これまで技術的に困難とされていたAIによる化学構造式の読み取りを可能にしたエージェントだ。
同社の研究者らが持つ化学の専門知識とAIを組み合わせることで、従来の手法では実現できなかった高度な自動化を達成する。
具体的には、AIエージェントが文献内の画像情報とテキスト情報を統合的に解析し、化合物名の特定に加え、用途や物性、製造方法、実験条件といった関連情報も自律的に判断して抽出する。
さらに、必要に応じて外部の化学データベースやウェブ上の情報を参照し、網羅的なデータを整理されたレポート形式で出力することで、その後の分析や意思決定を支援する仕組みとなっている。

なお、初期段階の検証において、同システムの活用により、研究者の文献調査時間を80%以上削減できる効果が確認されている。
これにより、従来は1カ月程度を要していた調査プロセスが1日程度にまで短縮される可能性があり、創出された時間をより創造的な研究開発活動に振り向けることが可能とのことだ。
三井化学は、2025年度内に同システムの実証実験を完了させ、2026年度からの本格運用を目指すとしている。
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