AI活用で営業・マーケティングはここまで変わる、Anthropic公式ユースケースから学ぶClaude活用法

米Anthropicは、同社が開発するAI「Claude(クロード)」において、自社のウェブサイトで「Claudeで何ができるか」を具体的に示す公式ユースケースを90件以上公開しています。

営業・マーケティングから財務・経理、法務、人事、研究・分析まで、幅広い職種と業務シーンに対し、具体的なプロンプト例や期待できる出力内容が解説されています。

このユースケースでは、単なる機能紹介にとどまらず、「どんな業務課題を抱えた人が」「どのようにClaudeを使えば」「何が変わるのか」という実践的な観点で構成されているのが特徴です。

また、HubSpotやGoogleドライブなど既存ツールとの連携を前提にした事例も多く、「AIを新たに導入する」というよりも「今の仕事の流れにAIを組み込む」というイメージに近いものが多く紹介されています。

今回は、営業やマーケティング活用できるユースケースをピックアップし、競合調査、商談準備、キャンペーン分析、顧客理解、コンテンツ展開という5つの業務シーンにおいて、Claudeがどう使えるかを解説します。

「営業・マーケティング」における課題

営業・マーケティング領域の成果は、売上という数字に直結するにもかかわらず、この領域の業務が「情報量が膨大なのに、かけられる時間が少ない」という矛盾を抱えています。

競合他社は毎日新しい情報を発信し、顧客の関心は絶えず変化し、データは複数のツールに分散しています。

こうした環境でClaudeのような大規模言語モデルは、情報の収集・整理・要約というプロセスを短縮する力を発揮します。

では、具体的にどんなことができるのか、Anthropicの公式ユースケースをもとに、5つの活用事例を詳しく見ていきましょう。

活用事例①:商談前の情報収集を自動化する

──Anthropic公式ユースケース「Prepare for sales deals」より
参照URL:https://claude.com/resources/use-cases/prepare-for-sales-deals

前提となる課題

商談前の情報収集は、重要であるとわかっているものの、この業務に多くの時間を割くことができないのが実情です。

その結果、商談の30分前、急いでCRMを開いて類似案件を検索する。しかし、フィルタの条件をどう設定すればいいかよくわからず、出てきた候補をひとつひとつ確認しているうちにタイムアップとなり、結局うろ覚えの情報をもとに商談に臨むことになりがちです。

つまり、CRMに蓄積されたデータを活用するには時間と手間がかかりすぎる、というのが現実です。

Claudeでどう変わるか

ClaudeとCRMツールを連携することで、こうした準備作業を数分に短縮します。

担当者が自然な言葉で状況を伝えるだけで、Claudeが自動的に類似案件を探し出し、分析して、商談に使える準備資料を作成します。

Anthropicの公式ページでは、次のようなプロンプト例が紹介されています。

今度の商談は医療系の企業で、従業員180名規模、予算は約600万円。患者エンゲージメントプラットフォームに関心があるが、既存システムとの連携や導入期間について懸念している。過去1〜2年で似たような医療系の商談はあるか?典型的な受注までの期間、最終的な受注額、よく出てくる課題を教えてほしい。あと、こういった商談を担当したことがある社内の営業担当者がいれば教えてほしい。また、次の電話会議に臨む前に、万全の準備を整えられるよう、私が確認できる成果物を作成してください。

このような指示を出すと、Claudeは過去9件の類似案件を抽出・分析したうえで、以下のような情報を返します。

受注した案件の平均的な商談期間は87日、平均値引き率は12%で、いずれも初年度にプロフェッショナルサービスが含まれていた。

一方で失注した案件は商談期間が110日以上になる傾向があり、価格が主な反論として記録されていた。

システム連携への懸念は9件中7件に登場しており、過去に特定システムとの連携案件を受注した経験のある担当者の名前まで具体的に提示される。

というものです。

Claudeが提示した分析結果

これにより、担当者は「誰に話を聞けばいいか」「どこに注意すべきか」「どのような話の流れが有効か」を商談前に把握した状態で臨むことができます。

この活用で変わること

商談準備の時間が短縮されるだけでなく、これまで「なんとなく」の勘に頼っていた部分が、蓄積されたデータに基づく準備へと変わります。

経験豊富なベテラン営業担当者が持つ暗黙知を、チーム全体で共有できる形にするという効果もあります。

特に、経験の浅い担当者が大型案件を任されるような場面で、その差が顕著に出ます。

また、Anthropicはこのユースケースで「Skill(※)としてパッケージ化する」という応用方法も紹介しています。

一度このワークフローをスキル化しておけば、毎回の商談前に「いつものように準備してほしい」と伝えるだけで、同様の資料が自動的に生成されるようになり、繰り返し使うことで効率が上がり続ける仕組みを構築することができます。

※Skill(スキル):Claudeに「この手順を覚えておいてほしい」と一度だけ教え込んでおくと、次回からは呼び出すだけで同じ作業を再現してくれる「業務テンプレート」のような機能。Excelで言えば「マクロ」、業務システムで言えば「定型業務のショートカット」をAI上に作っておくイメージに近く、一度設計してしまえばチーム全員が同じ品質で繰り返し利用できるのが最大の特長。

活用事例②:競合対策の資料(バトルカード)を自動で作る

──Anthropic公式ユースケース「Build a battle card library」より
参照URL:https://claude.com/resources/use-cases/build-a-battle-card-library

前提となる課題

商談中に、「競合他社と比べてどこが違うのか?」という質問をされることはよくあるでしょう。

そのため、競合情報をまとめた資料(バトルカード)の作成は重要であるにも関わらず、後回しにされがちなのが実情です。

その理由は単純で、「CRMの失注データを読み込んで競合の傾向を分析し、さらに競合企業の最新動向も調べて、営業が実際に使える形にまとめる」という作業が非常に手間のかかるものだからです。

さらに厄介なのは、こうした資料は一度作っても競合の動向が変われば古くなってしまう点です。更新の手間を考えると、結局使われなくなるというのもよくある話です。

Claudeでどう変わるか

ClaudeはCRMの失注データと競合企業のウェブサイト・レビューサイトの情報、さらには「競合の話題が飛び交う営業チームのSlackチャンネル」や「Googleドライブに眠る過去の調査資料」なども同時に連携させることで、バトルカードの作成を効率化します。

複数のソースを掛け合わせるほど、数字だけでは見えない「現場感のある競合情報」が浮かび上がってくるのが特徴です。

Anthropicの公式ページで紹介されているプロンプト例は、かなり具体的です。

過去6ヶ月のHubSpotの失注案件のうち、競合フィールドに特定競合他社が入っているものを引き出してほしい。各競合についての商談メモを読み込んで、それぞれのパターンを教えてほしい。また、各社のウェブサイト、製品レビューサイト、最新のポジショニングをウェブ検索して追加情報を集めてほしい。そのうえで、複数競合のバトルカードをダッシュボード形式で作ってほしい

これに対してClaudeは、CRMのデータと競合調査に基づいて、競合3社を追跡する競合情報ダッシュボードを作成しました。

具体的には、競合ごとの自社勝率、商談フェーズ別のパターン分析、実際の商談でそのまま使える話し方の台本、競合の弱点を自然に引き出すための誘導質問、よく出てくる反論への切り返し方、さらには「どんな条件の案件は追いかけない方がいい」という撤退の判断基準まで、体系的に整理されたダッシュボードとして出力されています。

しかもこれは、テキストの羅列ではありません。プロンプト例では「Reactベースの競合インテリジェンス・ダッシュボードを構築してほしい」と指示しており、Claudeはチャット画面の右側に、タブやフィルターで操作できる専用のウェブアプリ画面(Artifacts機能)として生成されます。

完成物は「資料」というより「ツール」と呼ぶほうが近いかもしれません。

Vulnerabilitiesタブ(競合の弱点一覧画面)

上図の「Vulnerabilities(弱点)」タブでは、競合の導入の遅さ・コストの不透明さ・サポートの実態という3つの弱点が整理され、それぞれに「この質問を投げると弱点が露わになる」という誘導質問が添えられています。

情報源も口コミ・評価サイトのレビューや商談メモなど、根拠とともに明示されています。

タブを切り替えると、今度は商談でそのまま使える話し方の台本が並びます。

Talk Tracksタブ(話し方の台本画面)

上図の「Talk Tracks(話し方の台本)」タブでは、「競合は複雑さを洗練さと混同している」「導入に90日かかる間、あなたのデータはずっと危険にさらされている」といった、競合との比較でこちらが優位に立てる具体的なセリフが、「どんな場面で使うか」の条件付きで整理されています。

つまり、「弱点を把握する」→「その弱点を商談でどう突くか」という流れを、タブを切り替えることで把握することができます。

この活用で変わること

属人的だった競合対応の知識が、チーム全体で共有できる資産になります。

ベテランの営業担当者だけが持っていた「競合に当たったときの勘所」が、データに裏付けられた形でチーム全員に届くようになり、新入社員の立ち上がりを早める効果も期待できます。

また、競合の動向が変わったときも「最新情報で更新してほしい」と一言伝えるだけで再生成できるため、資料が陳腐化しにくいという点も実務上の大きなメリットです。

活用事例③:キャンペーンの効果を分析し、次の予算配分を決める

──Anthropic公式ユースケース「Analyze campaign performance」より
参照URL:https://claude.com/resources/use-cases/analyze-campaign-performance

前提となる課題

来期の予算配分を考える際、「SNS広告」「検索広告」「メールマーケティング」など、多様なチャネルの中からどこに集中させるべきかを考える必要があります。

この判断を下すために、複数のツールからデータをExcelに手動でコピー&ペーストする作業に何時間も費やしている担当者は多いはずです。

データをやっと一箇所にまとめた頃には、分析に使える時間がほとんど残っていない、という状況は珍しくありません。

さらに問題なのは、チャネルごとの数値を並べるだけでは「どこに予算を移すべきか」という意思決定に直結しないことです。

チャネルのパフォーマンスは、顧客セグメントによっても、事業目標によっても解釈が変わってきます。

Claudeでどう変わるか

Claudeにキャンペーンの実績データ(チャネル別のインプレッション数・クリック数・コンバージョン数・費用)をアップロードすることで、パフォーマンスの高いチャネルと低いチャネルを整理し、次の四半期に向けた予算の再配分案を提示してくれます。

Anthropicの公式ページで紹介されているプロンプト例では、単にデータを渡すだけでなく、自社の事業文脈も一緒に渡しています。

「ROI目標は300%以上。エンタープライズ顧客のLTVはSMBの3倍。業界ベンチマークのROIは200〜250%。パフォーマンスに基づいて予算の最大30%を移動できる」という条件を与えることで、Claudeは単なる数値の集計ではなく、事業目標に照らし合わせた優先順位付きの提案を返します。

公式ページで紹介されている出力例では、「エンタープライズ顧客×メール」の組み合わせが他のセグメントと比べて特に高いROIを示しているという、データを読むだけでは見つかりにくい「隠れたパターン」が発見されています。

こうした複数要因の掛け合わせを短時間で検出できる点が、Claudeを単純な集計ツールと区別する特徴です。

出力はExcelのダッシュボードとWordのレポート形式で、Excelダッシュボードには週次のROIやMQL・CPAの推移が一覧でき、KPI目標との対比も同一画面で確認できる構成になっています。タブを切り替えればチャネル別・セグメント別の詳細分析にも移動できます。

Claudeが出力したExcelダッシュボードの例。週次のROI・MQL・CPAが一覧でき、KPIとの対比も同一画面で確認できる。

さらに、「ヒートマップやチャートを追加して」と指示を出せば、「どのチャネルが機能していてどこが機能していないか」が視覚的に一目でわかる構成にブラッシュアップしてくれます。

この活用で変わること

データ集計・整理の時間がほぼゼロになり、「分析結果をどう解釈して次の施策に活かすか」という本来やるべき議論に時間を使えるようになります。

また、「データはあるが分析できていない」という状態から「データを使って判断できる」状態へのシフトが、特別なデータ分析スキルを持たない担当者でも実現できる点が重要です。

担当者のスキルレベルに依存しない、安定した意思決定のサポートが実現します。

活用事例④:顧客ペルソナをデータから構築する

──Anthropic公式ユースケース「Build customer personas」より
参照URL:https://claude.com/resources/use-cases/build-customer-personas

前提となる課題

「うちの顧客は誰か?」という問いに、感覚ではなくデータで答えられている企業はどれほどあるでしょうか。

カスタマーインタビューの記録、サポートチケット、アンケート回答、営業メモといったデータは、各ツールに散在しており、全てを読み込んで共通のパターンを見つけるのは、現実的に非常に難しい作業です。

そのため多くの場合、「なんとなくこういう人が多い」という経験則に基づいたペルソナで済ませてしまっています。

経験則ベースのペルソナの問題は、担当者が変わると変質し、実際の顧客像からずれていても気づきにくいことです。

マーケティングのメッセージが刺さらない、製品の優先順位が顧客ニーズとかみ合わない、という問題の根本に「ペルソナがデータに基づいていない」ことがある場合は少なくありません。

Claudeでどう変わるか

ClaudeとCRMおよびカスタマーサポートツールと連携することで、複数のデータソースを横断的に分析します。

営業メモ、サポート会話の記録、インタビュートランスクリプト、アンケート回答をすべて読み込み、行動パターンに基づいた顧客セグメントを自動で抽出します。

Anthropicの公式ページで紹介されているプロンプト例は以下です。

「どんな種類の顧客がいるか、実際の行動と課題から見つけてほしい。各ペルソナと彼らのジャーニーが探索できるインタラクティブなアーティファクトを作ってほしい。ゴール、フラストレーション、実際の顧客の声も含めてほしい。丁寧に分析し、アウトラインを作って、内容を検証してほしい」

Claudeはこのデータを分析して複数の顧客セグメントを抽出し、各セグメントについて「誰で何をしようとしているか」「製品をどのように使っているか」「どこで躓くか」「その段階での実際の顧客の声(インタビューやサポート記録から引用)」をまとめたインタラクティブなペルソナエクスプローラーを生成します。

Claudeが生成したペルソナエクスプローラーの例。3つのデータソース・2,847件の顧客データから、行動パターンの異なる3つのセグメントが自動で抽出されている。

各ジャーニーステージはクリックして移動でき、そのステージの典型的な引用コメントが表示される形式です。

「The Adoption Struggler(組織の方針で強制的に導入させられたユーザー)」の詳細画面。導入後2〜4週目に87%が離脱リスクに陥るという見逃せない傾向まで、487件のサポート会話から自動で導き出されている。

ここで重要なのは、このペルソナが「担当者の思い込み」ではなく「実際のデータから帰納的に導き出されたもの」である点です。

Anthropicの公式ページでは「仮定ではなく、実際の行動パターンに基づいたセグメント」と明記されており、これが既存のペルソナ作成手法との最大の違いです。

さらに、Claudeに対して「どのセグメントが最も大きな収益機会を持つか?」「そのセグメントのサポートチケットで最も多い課題は何か?それを解消するにはどんな製品変更が必要か?」という追加の問いかけをすることで、ペルソナ分析をそのままプロダクトロードマップの議論につなげることができます。

この活用で変わること

マーケティング戦略や製品開発の根拠となるペルソナが、担当者の交代によっても揺らがない「データに裏付けられた共有資産」になります。

また、Claudeのプロジェクト機能(特定のテーマや業務ごとに会話・ファイル・指示をまとめて管理できる機能)を使えば、新しいインタビューデータやサポートデータが蓄積されるたびにペルソナを更新することができ、「作ったまま放置」になりがちなペルソナを常に鮮度の高い状態に保てます。

活用事例⑤:1つのコンテンツを複数チャネル向けに展開する

──Anthropic公式ユースケース「Adapt content across platforms」より
参照URL:https://claude.com/resources/use-cases/adapt-content-across-platforms

前提となる課題

ブログ記事やホワイトペーパーを1本書いたあと、「これをLinkedInにも投稿したい」「メールニュースレターでも使いたい」「SNSでも展開したい」となることはよくあります。

しかし実際には、各プラットフォームで求められるトーン・長さ・構成が異なるため、一から書き直すような作業が発生してしまいます。

マーケティング担当者が少ない中小企業では、これがコンテンツ展開のボトルネックになっています。

つまり、「良いコンテンツはあるのに、拡散できていない」という状況です。

Claudeでどう変わるか

Claudeは、1つのコンテンツを複数のプラットフォームに最適化された形式に変換する作業を、一括で行います。

Anthropicの公式ページで紹介されているプロンプト例は包括的です。

AIを活用したマーケティング分析についてのブログ記事を、LinkedInカルーセル、Twitterスレッド、5通のメールナーチャーシーケンス、ポッドキャストのトーキングポイント、インフォグラフィックのアウトラインの5形式に変換してほしい。すべてのコンテンツはブランドとして一貫していながら、各プラットフォームに適した内容にしてほしい。Googleドライブの過去の投稿を参考にしてブランドボイスを理解したうえで作成してほしい。また、すべての成果物をひとつのインタラクティブなアーティファクトで確認できるようにしてほしい

Claudeはこの指示に対して、各プラットフォーム向けのコンテンツファイルを個別に生成しながら、すべてを一覧できるインタラクティブなHTMLショーケースも同時に作成します。

LinkedInカルーセルはPowerPoint形式で、Twitterスレッドはそのままコピー&ペーストできる形式で、メールシーケンスは送信準備済みの5通として仕上がります。

1本のホワイトペーパーから生成されたLinkedInカルーセル(8枚構成)
同じ元コンテンツから、Twitterスレッド(左)とメールナーチャーシーケンス5通(右)などが同時に生成される。

特に注目すべきは、Claudeが各プラットフォームの特性を理解したうえでコンテンツを変換している点です。

公式ページでは「SNSで響くトーン、メールの件名に必要な簡潔さ、ポッドキャストに適した会話スタイル」をClaudeが自律的に判断すると説明されています。

単純なリライトではなく、媒体特性を踏まえた本質的な変換が行われます。

また、Googleドライブと連携して過去のコンテンツを参照することで、自社のブランドボイスを学習させることができます。

毎回「こういうトーンで書いてほしい」と指示しなくても、過去の実績から自動的にスタイルを継承するようになります。

さらに成果物はURL付きで共有できるため、チームメンバーやステークホルダーがClaudeのアカウントを持っていなくても確認できます。

この活用で変わること

1人のマーケティング担当者が、これまでの数倍のコンテンツ量をこなせるようになり、「書く時間がないからSNS投稿が更新できない」という状況が改善され、コンテンツ戦略の幅が広がります。

加えて、各プラットフォームでブランドボイスの一貫性が保たれるため、企業としての発信の質も向上します。

また、Claudeのプロジェクト機能を使って専用のワークスペースを作り、そこに自社のブランドガイドラインや過去のベストな投稿例を登録しておけば、毎回「こういうトーンで」と指示を出さなくても、常に一貫した高品質なブランドボイスでコンテンツを量産し続けることが可能になります。

実践検証

実際に、先週の記事を用いて複数チャネル向けに展開してみました。

参考記事:「この施策、成果につながるの?」と聞かれた時の救世主。AIで「施策の根拠」をリアルタイムに図解・修正する方法

Claudeに対して、記事本文を貼り付けたうえで以下の指示をしました。

以下の記事を、 ①LinkedInカルーセル(スライド構成案) ②Twitterスレッド ③メールニュースレター1通 の3形式に変換してください。 それぞれのプラットフォームに適したトーン・長さ・構成にしてください。 すべての成果物をひとつのインタラクティブなアーティファクトで確認できるようにしてください。

これに対し、LinkedInカルーセル10スライド、Twitterスレッド9ツイート、メールニュースレター1通が、タブ切り替えで確認できるインタラクティブなHTMLとして生成されました。

生成されたHTML

各プラットフォームのトーンは確かに使い分けられており、LinkedInはプロフェッショナルな知見共有の文体、Twitterは口語でフックを重視した書き方、メールは読み物としての構成になっていたため、形式としては十分に機能しています。

しかしよく読むと、どの形式も「AIで施策の根拠を図解する方法を紹介している」という淡々とした説明に終始しており、誰のどんな悩みを解決するのかが直感的にわかりにくいと感じました。

そこで、記事で誰のどんな悩みを解決したいのかを伝えるため、以下のプロンプトを打ちました。

この記事で最も伝えたいことは、「会議で自分の施策の根拠を自信を持って説明でき、その場で飛んでくる質問にも建設的に答えられるようになること」です。Claudeはそのための思考整理・可視化ツールとして紹介しています。この核心メッセージが読者に伝わるよう、以下の3点を意識して各形式のコンテンツを見直してください。①「会議で詰まる」という読者の痛みを起点に置く ②Claudeの役割は「答えを出す」ではなく「議論の土台を整える」と伝える③読後に「自分の会議でも使えそう」と思わせる具体性を持たせる。修正が必要な箇所があれば変更し、すでに伝わっている箇所はそのままにしてください。

すると、LinkedInカルーセルの表紙は「この施策、成果につながるの?に答えられる人になる」から「会議で詰まらない人の準備のしかた」に変わり、「3つのビジネス活用シーン」というスライドも「あなたの次の会議でこう使える」に変わるなど、読者の痛みにより訴求する内容に書き換えてくれました。

修正されたLinkedInカルーセルの表紙

また、Twitterスレッドの締めは「身近な施策ひとつで試してみてください」という一般的な呼びかけから「会議で詰まらなくなるのはAIがすごい答えを出してくれるからではない。自分の言葉で語れる土台が整っているからだ」という、記事全体の主張と一致した一文に変わりました。

Twitterスレッドの初版と改稿版の比較ビュー

メールの件名も「「この施策、成果につながるの」?と聞かれて詰まったあなたへ」から「会議で詰まらない人は、何を準備しているのか」に変わり、開封したくなる引きが生まれたと感じます。

メールニュースレターの初版と改稿版の比較ビュー

今回の検証から、形式の変換そのものは1回目の指示で十分に機能していることがわかった一方、「何を伝えたいか」の核心を言語化して渡さないと、出力は形式的には正しいが、メッセージとしてはやや薄くなるということが分かりました。

なお、公式ユースケースでは「Googleドライブと連携して過去のコンテンツを参照することで、自社のブランドボイスを学習させることができる」とも紹介されているため、過去記事を複数連携させればこの工程も省略できるでしょう。

5つの事例に共通する「Claudeの使い方の原則」

今回紹介した5つの事例を振り返ると、共通するパターンが見えてきます。

①「情報収集・整理・集計」という頭を使わなくていい作業をClaudeが担う

商談準備のための類似案件検索、バトルカード作成のための競合情報収集、キャンペーンデータの集計、顧客フィードバックの整理、コンテンツの形式変換。これらはすべて「やることはわかっているが時間がかかる」作業です。Claudeはこの部分を数分に短縮します。

②人間は「判断・解釈・意思決定」という本来価値のある仕事に集中できる

Claudeが整理した情報をもとに、「どの案件に注力するか」「どのチャネルに予算を集めるか」「どのペルソナに向けてメッセージを磨くか」を判断するのは、あくまで人間です。

Claudeはその判断材料を素早く揃える役割を担います。AIと人間の役割分担が明確である点が、現場への導入を進めやすくしています。

③既存のツールと組み合わせて使える

HubSpot、Google Drive、Intercomといったツールは、多くの企業がすでに使っているツールです。

「新しいシステムを導入する」のではなく、「今使っているツールにClaudeをつなぐ」だけで始められることができます。

大規模なシステム移行や開発工数を必要としないのが特徴です。

④「一度作ったら終わり」ではなく、継続的に使い続けられる

バトルカードは「最新の情報で更新して」と言えばすぐ再生成でき、商談準備は毎回の案件に合わせて自動で行われ、ペルソナは新しいデータが蓄積されるほど精度が上がります。

使い続けることで価値が積み上がる仕組みになっています。これは「ツールを導入したが使われなくなった」という典型的な失敗パターンとは対極にあります。

まとめ

「AIを使いたいが、何から始めればいいかわからない」という声をよく聞きます。

Anthropicが公開したユースケースは、この問いに対する一つの答えと言えるでしょう。

「今の仕事のどの部分に時間がかかっているか」「どこに判断の質を上げる余地があるか」という視点でこれらの事例を眺めると、自社の現場にすぐ適用できるものが見つかるはずです。

特に今回紹介した営業・マーケティングの事例は、成果が数字として見えやすいため、社内でのAI活用の「最初の成功体験」を作るのに適した領域といえます。

CRMデータとClaudeをつなぐだけで商談準備が変わる、というのは、エンジニアがいなくても、プログラミングの知識がなくても、今日から試せることです。

まずは一つの業務シーンでClaudeを試してみてはいかがでしょうか。

Anthropicの公式ユースケースページ(https://claude.com/resources/use-cases)では、今回紹介したユースケース以外にも多数の事例が公開されています。自社の課題に近いものから探してみてください。

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