味の素グループの国内財務経理業務を集約する味の素フィナンシャル・ソリューションズ株式会社は、ファーストアカウンティング株式会社と共同開発した「経理AIエージェント」を、自社の経費精算業務において本番稼働させたと発表した。
同社はグループの業務を集約する中で、年数万時間におよぶ確認工数や判断業務の属人化、ノウハウ継承の難しさ、BPO(外部委託)活用における品質維持の限界といった課題に直面していた。
そこで今回、「経理AIエージェント」を導入。このエージェントは、味の素グループが持つ業務ルールやナレッジに、ファーストアカウンティングの経理特化型AIや証憑処理技術を組み合わせたものだ。
最大の特徴は、従来の生成AI(LLM)の課題であった「事実と異なる内容の出力(ハルシネーション)」を防ぐため、業務の前提条件や手順を綿密に設計している点にある。
これにより、AIが自律的にシステムへログインし、起票内容と領収書などの証憑画像を照合したうえで、承認や差し戻しの判断までを一貫して実行できるようになった。

実証においては、領収書の必須項目確認やインボイス制度への準拠チェック、税務上の交際費判定といった専門領域において、LLM単体の53.3%を大きく上回る93.3%の高い正答率を記録している。
このシステムの導入により、これまで手作業やBPOで1件あたり4〜5分を要していた経理判断が自動化される。月間1万件規模の証憑処理を行う現場に適用することで、年間約1万時間の業務削減効果が期待されている。
また、画面項目などに依存しない汎用性を備えているため、特定の担当者やBPOに依存していた業務品質が標準化され、繁忙期でも安定した処理体制を構築できるとのことだ。
今後味の素フィナンシャル・ソリューションズは、社内の経費精算業務での先行稼働で得られた知見をもとに、同システムを他の受託会社の承認業務へも順次展開していくとしている。
さらに将来的には、請求書処理における前払費用や資本的支出の判定、リース取引判定といった、より高度な経理判断の自動化にも取り組む計画だ。
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