PCやスマートフォンといった従来のデバイスは、アプリケーションの利用を前提としている。
そのため、AIエージェントを特定の業務現場やワークフローに組み込もうとした場合、ハードウェアからソフトウェア、UIに至るまで全てを専用に再構築する必要があり、膨大なコストと時間がかかっていた。
こうした中、Microsoftは、AIエージェントを主軸とした新しいデバイス群を開発・運用するためのクラウド・エッジ統合プラットフォーム「Project Solara」を発表した。
同プラットフォームは、エンタープライズ水準のセキュリティを担保しながら、画面サイズや入力方法の異なる多様なデバイスに対して、AIエージェントをシームレスに展開するための基盤だ。
最大の特徴は、「Just-in-time UI」と呼ばれる機能により、AIエージェントが稼働するデバイスの画面サイズや音声・タッチといった入力手段に合わせて、ユーザインターフェースを動的かつ自動的に適応させる点にある。
これにより、開発者は新しいデバイスごとにアプリやUIをゼロから作り直す必要がなくなり、特定の現場や業務に特化した専用デバイスを安価かつ迅速に市場へ投入することが可能となる。
また、企業での安全な運用を前提として設計されており、Entra IDによる認証や、Microsoft Intuneによるデバイス管理、Hello for Businessによる生体認証などを標準でサポートしている。
これにより、機密性の高いデータを扱う医療や小売り、製造といった現場の専用デバイス上でも、強固なセキュリティとガバナンスを維持したまま複数のAIエージェントを安全に利用できる。
なお、Microsoftは同プラットフォームの柔軟性を示すため、ハードウェアパートナーと連携し、大きく異なる2つのコンセプトデバイス(リファレンスデザイン)を先行公開した。
1つ目は、Qualcommのチップを採用した携帯型の「バッジ型デバイス」である。
これは従業員が日常的に身につけるアクセスバッジ(社員証)を再構想した軽量なウェアラブル端末だ。指紋認証による安全なアクセスのほか、搭載されたカメラやマイクを通じて、現場での記録や情報収集などをハンズフリーで実行できる。

2つ目は、MediaTekのチップを採用した据え置き型の「デスク向けデバイス」である。
顔認証を備えたこの端末は、既存のWindows PCの作業を引き継ぐコンパニオン端末として機能するほか、外部ディスプレイを接続して「Windows 365」のクラウドPCとして利用することも可能である。

このように、首から下げるウェアラブル端末からデスクに置く端末まで、全く形状や用途が異なるデバイスであっても、同一のプラットフォーム上で効率的に開発・運用できることが証明されている。
Microsoftは今後、同プラットフォームのエコシステムを拡大するため、AccuWeather、Best Buy、CVS Health、Levi’s、Targetといった複数の業界リーダー企業と共同で、プライベートパイロットプログラムを開始するとしている。

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