ローム、産業機器用電源のインバータ・コンバータ向け1700VフルSiC パワーモジュールを開発

ローム株式会社は、屋外発電システムや充放電試験機などの評価装置をはじめとする産業機器用電源のインバータ、コンバータ向けに、高水準の信頼性を実現した1700V 250A定格保証のフルSiCパワーモジュール「BSM250D17P2E004」を開発した。

近年、SiCはその省エネ効果から、自動車や産業機器などで1200V耐圧品を中心に採用が進んでいるが、システムの高電圧化が進み、1700V耐圧品の需要が高まってきた。しかし、信頼性の観点から商品化が困難とされ、1700V耐圧品としては一般的にIGBTが使用されていた。ロームは1200V耐圧品で好評だった省エネ性能を維持したまま信頼性を向上させ、1700V定格フルSiC パワーモジュールの商品化を実現した。

特長は以下の通り。

  1. 高温高湿環境で業界最高水準の信頼性を確保
    モジュールは、チップの保護対策として新しいコーティング材料と新工法を導入し、絶縁破壊を防ぎリーク電流(※1)の増加を抑えることに成功。HV-H3TRBをクリアしたことで、1700V耐圧品の商品化を実現した。例えば、高温高湿バイアス試験(※2)において、比較したIGBTモジュールは1,000時間以内に故障の原因となる絶縁破壊が起きうるが、BSM250D17P2E004は、85°C/85%の高温高湿環境で1360Vを1,000時間以上印加した場合でも、故障しない高信頼性を実現している。
  2. 優れたオン抵抗性能で、機器の省エネ化に貢献
    今回モジュールに使用されているのは、ローム製のSiC ショットキーバリアダイオード(SBD)およびSiC MOSFET。SiC SBDとSiC MOSFETを最適に配置することで、同等クラスの一般品に比べて10%オン抵抗低減を実現した。これにより、アプリケーションの省エネ化に貢献する。

なお、同モジュールは、10月から量産を開始。生産拠点は前工程がローム・アポロ株式会社、後工程がローム本社工場となる。今後、製品のラインアップ拡充に加え、SiCモジュールを容易に試すことができる評価ボードなどを用意し、更なる需要拡大を目指すとしている。

※1 リーク電流:パワーデバイスにおいて、絶縁されている場所でわずかに漏れ出す電流のこと。リーク電流を抑えることで、デバイスの破壊や消費電力の増加を防ぐことができる。
※2 高温高湿バイアス試験(HV-H3TRB:High Voltage High Humidity High Temperature Reverse Bias):パワーデバイスを高温高湿の環境下で使用した場合の耐久性を評価する試験。電界や水分による絶縁リーク電流の増加から、絶縁破壊などの故障現象を検出する。

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