日立と日立物流、AI活用した輸送車両シェアリングサービスをタイで提供開始

現在、タイ王国(以下、タイ)は「Thailand 4.0」を掲げ、高度な経済基盤の確立と、さらなる経済発展を目指した政策を推進している。その重要な施策のひとつである、EEC開発計画では、官民合わせて総額1.5兆バーツ(約5兆円)の投資を見込み、重要産業の誘致や育成を進めている。

一方で、貨物量や車両数の増加に伴う慢性的な交通渋滞や頻発する交通事故、排気ガスによる大気汚染、ドライバーの不足や物流コストの上昇などが深刻な社会課題となっている。タイ政府は、2017年~2021年の第12次国家経済社会開発計画で、国内総生産比で2016年に約14%を占める物流コストを、2021年までに12%に低減することを目指している。

このようなニーズに応えるべく、株式会社日立製作所(以下、日立)は2018年9月にアマタシティ・チョンブリ工業団地内に「Lumada Center Southeast Asia(以下、Lumadaセンター)」を開設した。Lumadaセンターでは、データを収集・分析し、ビッグデータやAIなどの高度なデジタル技術を活用して、工場内の製造工程や工場を跨る物流など、さまざまな分野でデジタル化に取り組んでいる。

このほど、日立のASEAN地域における統括会社であるHitachi Asia (Thailand) Co., Ltd.(以下、日立アジア(タイランド))と、株式会社日立物流のタイにおける子会社であるHitachi Transport System Vantec (Thailand), Ltd.(日立物流(タイランド))は、輸送車両シェアリングサービスを開発し、2019年6月からタイで提供開始する。同サービスは、Lumadaセンターにおけるデジタル化の取り組みの一環として提供する。

同サービスは、稼働中のトラックやコンテナ車の運行状況、空き車両などの情報を統合的に管理して、日立のAIを活用したLumadaソリューション「Hitachi Digital Solution for Logistics/配送最適化サービス」と日立物流の運行管理システムを連携させることで、最適な配車を行う。

具体的には、データ解析エンジンを用いて荷主企業から受け付けた輸送依頼の集荷地点に一番近い場所の空車予定情報を検索し、輸送車両の車格や温度管理といった制約条件、スコアリングしたドライバーの評価情報、交通情報などを組み合わせてマッチングすることで、最適なタイミング・条件での配車を実現している。

これにより、従来発生していた輸配送完了後の空車回送を有効利用して、集荷・納品拠点が近い異なる荷主企業の輸配送を一緒に行う共同輸配送を実現する。同サービスを通じて、輸送依頼元である荷主企業の輸送コスト低減や納期短縮を支援すると同時に、輸配送事業者に最適な配車指示を行い、運転手の労働時間や燃料代などの低減に貢献する。同サービスの運用・管理は、日立物流(タイランド)が行う。

両社は、2019年1月から3月にかけてユニ・チャーム株式会社の輸出入コンテナ輸送業務に同サービスを適用して効果検証を行い、コンテナのラウンドユース(※1)を従来の15%から30%まで向上(※2)できたことから、ユニ・チャーム、Siam-Hitachi Elevator Co., Ltd.、Hitachi Industrial Technology (Thailand), Ltd.をファーストユーザーとして、2019年4月から先行的にサービス提供を開始している。

今回、荷主企業および輸配送業者向けのオープンなサービスとして、2019年6月より同サービスを提供開始するとともに、順次コンテナ輸送からトラック輸送にサービス範囲を拡大する。

タイ国内の製造・流通各社やHitachi Consumer Products (Thailand), Ltd.、Hitachi Sales (Thailand), Ltd.、Hitachi High-Technologies (Thailand) Ltd.をはじめとする日立グループを含む荷主企業、および幅広い輸配送業者に対して同サービスを提供することで、さらなる利便性の向上やコストの最適化を図るとともに、車両数減少や積載率向上による物流の効率化により、交通渋滞・事故や大気汚染の低減に貢献していくとした。

※1 コンテナの輸送において、港湾から荷主の拠点までコンテナを運び荷下ろしした後、空になったコンテナをそのまま送り返す(空車回送)のではなく、輸出時の配送に転用する取り組みのこと。
※2 コンテナの配送計画を可視化し、ラウンドユースのマッチング率を検証したところ、従来は約15%の転用率だったものが約30%に向上。

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