エンタープライズで差別化された、先進ARプロダクトVuforia ーPTC LIVEWORX2019レポート2

ボストンで開催されているPTCの年次イベント、LIVEWORX2019で、ARプロダクトの責任者である、エクゼクティブ・バイスプレジデント マイク・キャンベル氏にインタビューすることができた。

Vuforiaを2015年に買収して以来、現在30%のビジネスがARとIoTで占めている状態だという。売り上げとしても200万ドルから3,000万ドルと飛躍的な伸びを示していて、成長率で見ても80%と、すごい成長を見せるPTCのARプロダクトの分野。

ARは、第一弾でも解説した「デジタル・スレッド(糸)」におけるデジタルをリアルに結びつける重要な要素となる。

第一弾「デジタルの糸が紡ぐ、スマートファクトリーの未来

エンタープライズの顧客の場合、必要な機能が揃ったエンタプライズ・スイートを欲しがるものだ。そう言う意味で、PTCは、CADやPLM, IoTといった製造業を支える機能群が揃っている状態と言える。

そんな中、PTCのARビジネスは、デジタルツインを理解し、デジタル・スレッドを活用できると言う意味では、「マーケットでも差別化ができている状態だ」とキャンベル氏はいう。

小泉: ARプロジェクトにおけるROIはどういう場合にあがりますか。

キャンベル氏: まず、PTCでは必ずやることなのですが、プロジェクトの初めに、お客様を巻き込んでビジネス上のチャレンジを確認します。その中で、「ARテクノロジーとしてのユースケース」のどれがマッチしているか、どれが効果がでるかについて、マッピングするようにしています。

ROIの効果が上がりやすい分野としては、「サービス」「製造」「トレーニング」のユースケースです。

また、創出される価値としては、「生産性の改善、正しい情報を必要なタイミングで提供すること」「品質の価値向上が必要で、廃棄品の低減、手戻りの提言など」そして、「安全とコンプライアンスということで、正しい情報を伝えて、正しい手順で作業をできる」ことになります。

小泉: デジタル・ストリングを考えた場合、ARの果たす役割は大きいと思いますが、ARを利用するにあたっての必須の条件はありますか。

キャンベル氏 :最終的には、Vuforiaはデジタル情報がある前提で、物理的な環境でメガネなどをつけて見るものです。ですから、「3Dデザイン」や「構成」、「IoTのデータ」などがあることで、その価値を最大限に提供することができます。

しかし、実際は必ずしもすべて揃っているわけではないと思います。その時は一部でもあれば、ある程度の価値は創出することができると思います。

小泉: ARを見て「これぞデジタルツインだ!」という経営者が多いのですがこれは世界的な傾向でしょうか?

キャンベル氏: これについては、「トレンド」であるだけでなく、ARは「本当にビジネスをドライブするもの」なのだということをメッセージとして発信しています。この考え方が、日本のお客様にも届くと嬉しいです。


また、今後のARにおける拡張性について、キャンベル氏は以下のように述べた。

「要素は2つあって、一つ目が「堅牢性」。特にコンピュータビジョンの拡張を実現したい、使いやすさを実現したいです。

例えば、暗い環境やARが使いにくい環境でも使えるようにしたり、物体をすぐに認識できるような技術を実現していきたいと思います。」

「もう一つが「ユースケース」。ユースケースも広範囲に渡っています。Vuforia Expart Captureの機能など広い範囲の要望に応えていきたいと考えています。」

PTC LIVEWORX2019
Vuforiaは、物体認識にQRマーカーを使わなくても良い機能を開発している。現状ではカメラの角度を機にする必要があるのだが、すでに技術的には物体のどの角度から写しても、その物体の部品などを認識することができるようになっている。(黄色い点群がソフトウエアがAI技術を使って、物体の特徴点を認識している)

熟練工のノウハウを継承するツールである、「Vuforia Expart Capture」のような、特定のユースケースに基づいて開発されたものとしては、他にもに「遠隔支援」「3Dでの作業指示」「IoT診断」といった機能も今後追加していきたいという。

さらに、今後ARユースケースが増えるために必要なことは、「ハードの進化なのか」「ユーザのデータが揃うこと」なのかという質問に対して、以下のように答えた。

「一つは、「ハードウエア」です。アイウエアの進化で、両手が自由になることが重要だと思います。

また多くの会社がデジタルアイウエアに投資をしていて、HoloLensをはじめ、レノボやグーグルなども作り始めています。

何年か前のスマホを考えると、ある人の持っているスマホはカメラの機能がすごい、画面がきれい、キーボードがすごいと、すごいところがそれぞれ違っていました。しかし、今は画一的になってきています。

今後、デジタルアイウエアもその状態になるだろうと思っています。

もう一つの問題は、「コンテンツ」です。ARの体験として「リッチ」で「重要」「使える」情報を準備することが重要だと思います。」

キャンベル氏は、CAD, IoTプラットフォーム、ARと主要プロダクトの責任者を歴任している方で、全体感の戦略の中のARプロダクトの位置付けや今後について明確に考えを示していた。

今後のPTC製品の機能強化とVuforiaの進化、その結果起きるエンタープライズ・スイート全体としての進化に期待したい。

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