NEC・大林組・大裕、土砂の積み込み作業を自動化するバックホウ自律運転システムを開発

建設業では、技能労働者の高齢化や若手就業者の減少による労働力不足が喫緊の課題となっており、省人化による生産性の向上が急務となっている。そのため、建設重機を用いた施工の自動化、特に熟練技能者による重機操作を再現するための技術開発が期待されている。

日本電気株式会社(以下、NEC)と株式会社大林組、大裕株式会社は、建設機械の自律化第一弾として、土砂の積み込み作業を自動化するバックホウ自律運転システムを共同開発した。 同システムは、地盤の造成やトンネル掘削といった土木工事や大規模建築物の地下掘削などにおいて膨大な作業量となる土砂の積み込み作業を自動で行う。なお、同システムは2019年12月に大林組の土木工事現場に適用する予定である。

土砂の積み込み作業は、バックホウのアームやブーム、バケットを巧みに操る熟練技能が必要で自律化が困難である。そこで、バックホウに大林組と大裕が共同開発した汎用遠隔操縦装置「サロゲート」を装着したうえで、対象土砂やダンプトラックの状況に応じた動作計画を大林組のノウハウをもとに作成し、刻々と変動するバックホウの動特性(※1)や応答遅延による影響を加味した制御を行うためNECの「適応予測制御技術(※2)」を適用した。

加えて、熟練技能者による操縦のノウハウとAI技術も活用することで、掘削や積み込み時の機械の動き方を再現することができる。特徴の詳細は以下の通り。

  1. 正確・安全で熟練技能者の動きを模した生産性を実現
  2. 同システムは、掘削範囲における盛土の状況を3Dスキャナにて確認することで、一回に積み込む土砂の量が最大になるポイントを判断し掘削、さらに待機しているダンプトラックへ旋回しベッセル内のカメラで確認しながら積み込みを繰り返し行う。作業の高精度化のために、一連の作業におけるバックホウの最適な動作計画を作成し、バックホウ特有の動特性を加味するためNECが開発した適応予測制御技術を活用して制御している。

    加えて、熟練技能者の大量の作業データを分析することで効率的な動作を数値化し、これを土砂の状況や作業ごとに異なるバックホウやダンプトラックの配置に応じて補正することにより、熟練技能者の動きを模した生産性を実現した。また、積み込んだ土砂がダンプトラックの規定重量に達した時は、作業を停止し次のダンプトラックが入って来るまで待機するため、周辺には一切作業員が立ち入る必要がない。

    万が一作業員が立ち入った場合、大林組が開発した「クアトロアイズ」を搭載するなど、今まで培ってきたフェイルセーフ対策によって接触を防止するといった安全性を確保しているという。

  3. バックホウのメーカーや機種を選ばず後付けで容易に自律化
  4. バックホウの制御は、電気信号などで直接制御するのでなくサロゲートを介して行う。サロゲートは、操作レバー部に装着するアタッチメントで、メーカーや機種を問わず対応可能なため、同システムも装着機種を選ばず、市販のバックホウに後付けで装着できる。また、自動運転とオペレータによる遠隔操縦の切り替えが容易なため、自律運転中に発生した突発的な事象や、自律運転では難しい複雑な作業を要する場合など、臨機応変な対応が可能だ。

  5. 省人化を可能にする統合制御システム
  6. 同システムは、作業エリアや建設機械の姿勢・位置を認識するためのさまざまなセンサを、作業エリアやバックホウなどを認識しやすい場所に多数配置し、それらを通信ネットワークで統合して制御する「ネットワークドコントロールシステム(※3)」によって管理している。

    そのため、搭乗視点のみならず俯瞰的な視点も加えることができ、これらの豊富な情報を管理者が遠隔で確認しながら管理することが可能だ。今後は5Gを活用することで、より高速・大容量・低遅延な通信が可能となり、一人の監視者によって複数種類の建設機械を同時に自律化させることで、さらなる生産性向上と省人化が可能だという。

※ 入力(バックホウではレバー操作)が時間的に変化する場合の出力(バックホウではアームの動き)の特性。バックホウの場合、作業内容によってレバー操作とそれに伴うアームの動き方が大きく異なる。
※ 制御対象の動特性の変化に適応する「適応制御」と制御対象の動きを予測することで応答遅延に対応する「予測制御」を融合したNEC独自の制御技術。
※ 制御システムの一形態。通信ネットワークで制御に必要なセンサデータを収集し、通信ネットワーク経由で対象を制御するシステム

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