アドバンテックの戦略とWISE-PaaS ―アドバンテック・マイク小池氏インタビュー前編

アドバンテックのIoTプラットフォームWISE-PaaSでできること

小泉: ところで、これまでのアドバンテックはどうやって日本に根付いてきたのですか。

小池: 台湾との距離が近いこともあり、1997年〜2011年までは「台湾式ビジネスによる日本市場参入」という形で日本進出を進めていました。

2012年から私が重視したのは、「日本式ビジネスへの対応」ということで、日本企業の厳しい要求、特にCQD(コスト、クオリティ、デリバリー)そしてテクノロジーリーダーシップをアドバンテック・ジャパンでサポートする体制をバイリンガル体制も含めて作ったことです。

これにより大きな成長を果たすことができました。

そして2019年にM&Aを行い、九州にATJもできたことにより、ローカライズされた、日本の地に根を下ろした会社になったと感じております。

雇用に関しても多様な人を雇用し、ヒューマンリソースを多様化することを重視しております。現在従業員の25%が外国人で、今後も増やしていくことを検討しています。

日本のビジネス全体を見ても、グローバリゼーションからローカルゼーションへと流れが変わってきていると感じています。

今後は製造、開発、販売含めて顧客に近いところで開発をしていくサプライチェーンのモデルを作っていく必要があると考えています。

我々のビジネスの考え方は、ハードウェアやソリューションレディパッケージ(業界を意識したソリューションがあらかじめ提供されているパッケージ)は我々が作り、それを市場のノウハウを持っているパートナーの皆さんに対して提供していくというものです。それが「Co-Creation」というモデルです。

アドバンテックの戦略とWISE-PaaS ―アドバンテック・マイク小池氏インタビュー前編

小池: ソリューションレディパッケージとは、当社のPaaS(Platform as a Service)サービスとなる「WISE-PaaS」の上で展開されるソリューションです。その中で代表的なソリューションをいくつか紹介したいと思います。

まず「Equipment Vibration Monitoring Solution」は、モーターの振動などをモニタリングできるので、特に製造工程で産業用モーターなど振動を発生する装置を使っている工場ではニーズが高くなっています。

「AI-Enabled Self-Service Solution」は、小売向けアプリケーションにおいて顧客行動や属性の把握などをインテリジェント化させることができます。カメラなどの入力デバイスをを使って店舗や施設内の様々な情報を投入し、AIを使って分析します。

「License Plate Recognition」は、車のライセンスプレートや車種、歩行者の行動などをAIで自動認識させるソリューションレディパッケージです。様々な場所で防犯上カメラを設置していると思いますが、そういったものをAI化していくものです。

「EV Charging Management」は、エレクトリックビークルの充電ステーションを管理するソリューションレディパッケージで、台湾で実際に採用されたケースです。今後 EVの充電ステーションの増加に伴いこのソリューションのニーズも高まると考えています。

「Street Lighting Control」は街路灯です。街路灯は様々な場所にあるので情報のセンサーとして様々なものをつけられるので、防犯でも使えます。

アドバンテックの戦略とWISE-PaaS ―アドバンテック・マイク小池氏インタビュー前編

こういったものをソリューションパッケージディベロッパーの方々とDFSIの皆様と共に作り上げ、日本で数多くの顧客に届けられるレベルまで作っていきたいと思っています。

その波を起こすことが我々のDXを全産業で進めていく戦略になります。

日本におけるIoT Co-Creation戦略を2018年からスタートし、3年以内に15社程度のDFSI(ドメインフォーカスSI)、そして各ソリューションレディパッケージ開発のパートナー構築をしていき、セクターごとに日本発のものを作っていきたいと考えています。

小泉: 業界別のソリューションをある程度作るという発想はユニークだと思います。

ただ単にセンシングしてデータを集めても、そのデータの見方やデータをある程度まで分析されていなければ、全部SIerがデータを見て、どのように使っていくかを考えなければならず、時間がかかってしまいますよね。

小池: そうですね。我々は経営層、事業経営に直接関わっている人たちの経営課題は何かということを投げかけ、それをAIoTで解決していくということを意識しています。

「どういうボトルネックがあり」、「何を変えたいか」があるからこそ、その課題に対して
「こういうソリューションを出せます」という会話が成り立ってくるのだと思います。

IoTで「できること」が優先されていても、ビジネスに対する経営課題を解決する、あるいはそれを使うことで利益や売り上げが上がるという結果が伴わなければ使う意味がないのです。

経営課題が先にない限り、良いAIoTソリューションというのは生まれてこないのだと思います。

小泉:確かにおっしゃる通りだと思います。

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後編に続く