まるでスパイ映画?AIでハラスメントや不正経理を発見

ハラスメントや談合、不正経理、情報の持ち出し、癒着・・・など、コンプライアンス違反が企業に致命傷を負わすことがある。2018年にコンプライアンス違反で倒産した企業数は、233件にも上る(帝国データバンク調べ)。たとえ、倒産まで至らなかったとしても、企業は大きな痛手を負うことが多いのが現実だ。

これに対して、現在、多くの企業でメールの監査が行われているが、一度に確認できるメールの数が限られていることもあり、労力の割には成果がでないと悩んでいる企業も多い。

実施方法としても、社員のメールを無作為抽出して検査したり、キーワードで検索したりして見つけるという方法が一般的だ。

保存された大量のメールを検索し、例えばパワハラであれば、「辞めろ」という言葉や、「罵倒する言葉を浴びせかけている」メールが、ヒットすればそれを抽出するというやり方しかなかった。

このやり方では、「言葉の揺らぎ」など、日本語独特の難しさを解決するのが困難であった。

例えば、「やばい」という言葉に代表されるように、良い意味にも悪い意味にもとらえられる言葉は、解釈のブレが大きいので、キーワードには使えない。

キーワードでは見つけられない違反をAIが見つける

例えば、以下の例ではどうだろう。FRONTEOのCTO武田氏に、以前の取材でコンプライアンス違反発見の難しいポイントについて解説していただいている。

A:「今日、ラーメンを食べに行こう。」
B:「いいね、どこにする?」
A:「品川で。」

この場合、「いいね、どこにする?」「品川で。」という質問と回答のセットには、「ラーメン屋」という情報が含まれていないため、「品川」が何を指しているのかをソフトウエアが知ることは難しい。

「品川にあるラーメン屋の話題」ということを見つけるには、その一つ前にある「今日、ラーメンを食べに行こう。」といった前後のコンテクストをいかに考慮して解析するかなどが、ポイントとなるのだ。

これは、昨今LINEなどメッセンジャーでのやり取りになれた社員はメールだからといって以前のように紋切り型の書き方をするとは限らないし、コンプライアンス違反をしているという意識がある社員であれば、わざとそのメール単体では、違反がわからないような書き方をする可能性もある。

次の例は、「談合」を見つけるケースだ。

自然言語処理のAIエンジン「KIBIT」のしくみと活用事例 ―FRONTEO取締役CTO 武田秀樹氏インタビュー
「カルテル調査」の事例:KIBITが不正を示唆するメールを見つけだす。

このやり取りでは、「飲みのお誘い」をしているようにしか見えない。これが「談合のやり取りだ」と見つけることは人であっても難しい。

しかし、管理部門が、A社とB社は談合の疑いがあると以前から考えていた場合、「それぞれの企業の営業担当が一緒に居酒屋に飲みに行くのはおかしいのではないか」とあらかじめ仮説を立てて調査するとわかるのだ。

その仮説に基づいて、AIがメールを精査すると、このメールが発見され、「この日にどこで何をやっていたのかを調べる」きっかけとなる。

こういったことを解決するために、先日、AIサービスを提供するFOTNTEOは、「saki-mori」と呼ばれるサービスを発表、少量のサンプルメールを教師データとして、判定することができるのだという。

「コンプライアンス違反」と一言で言っても、様々なものが登場してきていたり、解釈が難しいものもあるので、最後は人の手で判断をしなければならない部分もあるようだが、こういった仕組みを使うことで、予兆を発見したり、社員の不穏な動きを察知することができる。

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