街の課題を解決する「スマートシティ官民連携プラットフォーム」とは

内閣府、総務省、経済産業省、国土交通省は、令和元年6月21日に閣議決定された「統合イノベーション戦略2019」等において、スマートシティ官民連携プラットフォームの構築を行うことを明記している。

スマートシティ官民連携プラットフォームとは、参画する473(令和元年8月8日時点)の企業、大学・研究機関、地方公共団体、関係府省等の団体から構成されており、IoT・ビックデータ等の先進技術を活用し、交通、健康・医療、災害といった都市の課題や、地域格差の解決を図るために立ち上げられた。

スマートシティ官民連携プラットフォームの取り組み内容としては、

  • 各府省が会員に対して、資金面やノウハウ面などでの事業支援する。
  • 実施体制の強化と、技術等の横展開が促進されるよう、課題やニーズに対して各団体とのマッチングを行う。
  • 「交通・モビリティ」「交通×医療」など、共通する課題を抱える会員相互で分科会を開催する。
  • 実際に行われたモデル事業などで得られた知見の普及活動を行う。

としており、今年中に連携基盤を作り、来年度以降に各事業の予算要求時点から、連携を深化させていく予定なのだという。

それに先駆け、各都市がスマートシティ構想を描いたり、実際に実証実験を始めている。

そこで今回は、スマートシティ官民連携プラットフォームに属しており、現在各府省が関わっているスマートシティ関連事業をいくつか紹介する。

「スマート・コンパクトシティ」を大規模展開していく

まずは静岡県藤枝市が行っているスマートシティの取り組みだ。

[参考URL] 藤枝ICTコンソーシアム

藤枝市では、「若い世代の流出」、「中小企業が9割を占める産業構造」、「中山間地域が7割を占める地勢」という特徴のなかでいかに持続可能な都市を作っていくかを考えている。

そこで藤枝市は「藤枝ICTコンソーシアム」を立ち上げ、市の企業に対するICT導入の支援や、ICT人材育成のためのセミナー、公共サービスにIoTを取り入れるといったことを、産学金官一体で行っている。

スマートシティがいよいよ始動か「スマートシティ官民連携プラットフォーム」とは?
ふじえだICTコンソーシアムの概念図

その「藤枝ICTコンソーシアム」をベースにスマートシティ官民連携プラットフォームに参画することで、データ連携基盤の機能拡張を図り、インフラ維持管理や観光、セキュリティ等の各分野のデータを分野横断的に利活用して都市の強靭化などを行い、「スマート・コンパクトシティ」を目指している。

具体的な課題は、「南海トラフ地震など自然災害リスクやインフラの維持管理」、「郊外・中山間地の交通対策」、「交流人口の創出」としており、このモデルを構築できれば、同じような課題を抱えている都市に横展開していくことができる。

AIを活用して自立した健康管理を

次に紹介するのは愛知県豊橋市が提案する近未来技術等を活用した「AIケアシティ」形成事業だ。

[参考URL] 近未来技術等を活用した「AIケアシティ」形成事業

今後高齢化が加速する日本において、医療介護などのコストが国を圧迫するであろうことは容易に想像ができる。

豊橋市も例外ではなく、約11,500人(市総人口の約3%)が糖尿病保有者であり、1人あたりの費用額では40歳以上で愛知県平均を上回る。要支援・要介護認定者数も、平成22年度の10,153人から、平成27年度には13,461人にまで増加している。

そこで豊橋市は、AIを活用したケアプランを作成し、住民が自立して生活できるまちづくりをしようとしている。

スマートシティがいよいよ始動か「スマートシティ官民連携プラットフォーム」とは?
AIケアプラン説明会

現在の取り組みは、

  • 豊橋市民及び豊橋市内の介護事業所等に勤務する専門職を対象とした、自立支援を普及促進するためのセミナーを開催
  • AIを活用したケアプラン作成支援及び実証研究
  • CDI社が提供する、AIを活用したケアプラン作成支援システムの利用権を希望するケアマネへの付与
  • AIを活用して作成したケアプランが要介護認定者等の状態変化に与える効果の検証

などを行っており、今後は現在得られた知見をもとに、AIを活用したケアマネジメント支援システムの本格実装および横展開を行っていくという。

スムーズな移動・観光を目指して

最後に紹介するのは、岡山県倉敷市が提案する、倉敷駅周辺区域の面的な観光渋滞の対策を図る「スマート・ パークアンドライド」モデルだ。

[参考URL] 倉敷駅周辺地区スマートシティ検討ワーキンググループ(岡山県倉敷市)

倉敷市は、倉敷美観地区周辺の観光需要による「駐車場供給量不足」、「駐車場を探すうろつき交通」、「観光渋滞」が課題となっている。

そこで、既存駐車場等にAIカメラ、IoTセンサを設置して、駐車場満空状況、付近の交通状況、人の通行状況をリアルタイム収集し、AIを活用した渋滞リスク予測を行う。

スマートシティがいよいよ始動か「スマートシティ官民連携プラットフォーム」とは?
カメラなどを用いた通行量調査ツール

また、公共交通・観光分野の官民オープンデータと連携して、状況に応じたルート案内を行い、まちなか歩きを誘導するというものだ。

整備済みのデータ管理・連携基盤を活用して、「交通・モビリティ」と「観光・地域活性化」という異なる分野のデータを連携・統合して、現状分析・未来予測に活用する。

収集したデータは標準化し、オープンデータ(有料/無料)として公開するという。

まずはモデルとなる1つ目の駐車場の整備を行い、そこから対象駐車場を拡大して10カ所の整備を行っていく予定だ。そして得られたデータのオープン化と、スマート・パークアンドライドの横展開を順次進めていく方針だ。

ここで紹介した事例以外にも各地域がすでに様々な構想や事業を始動しており、それらの連携や知見の共有が、スマートシティ官民連携プラットフォームを通して今後さらに拡大していくとみられる。

Previous

電通と電通デジタル、データマーケットプレイスとプラットフォームの連携をスピーディーにする「People Driven DMP X(クロス)」の提供を開始

パイオニア、計測可能距離を向上し小型化した「3D-LiDARセンサー」の量産モデルを開発

Next