レノボ、2020年は5Gや折りたたみデバイス等がテクノロジートレンドになると予測

スマートフォンからPC、サーバー、スマートデバイスなどのデバイスを提供するレノボ・ジャパン株式会社は、デバイステクノロジーの知見をもとに2020年以降のテクノロジートレンドの予測を発表した。

  1. 2020年は5Gの年になる
  2. 5Gの通信速度は、最大で毎秒10ギガビットとなり、4Gと比べると100倍以上の速さになる。企業は5Gによるプライベートネットワーク(ローカル5G)を製造拠点に構築し、従業員の生産性向上、生産設備の効率的運用、そして収益力の強化を図ることができるようになる。

    医療分野では医師がロボット装置を操作して遠隔地にいる患者を手術することができるようになり、また日常のビジネスではリモート会議に自分のホログラムを出席させることができるようになるかもしれないと予測している。また、5Gに対応したデバイスは急速に広まり始めるが、5Gのネットワーク、キャリアおよびインフラの普及が進むまでは、消費者は明確なメリットをあまり感じないと見込んでいる。

    5G時代のPCは、モバイル環境でも常にネットワークにつながっている状態になる。バッテリー駆動時間が大幅に伸びるとともに、音声やペンでの入力が当たり前になると予測している。スマホやタブレットなどの小型デバイスには不向きな、大画面やキーボード入力が必要となる業務や「重い」コラボレーションアプリなどの処理はPCの独壇場であり、ネットワークのエッジ側にいるユーザーの生産性を高めるツールになると見込んでいる。

  3. 折りたたみデバイスがモバイル機器の革命をもたらす
  4. 2020年、トレンドへの感度が高い最先端ユーザーが注目する中で、折りたたみ可能なデバイスが登場する。画面を折りたたむことができれば、モバイルデバイスの形状がさらに多彩になるとともに、大画面化が可能になる。つまり、スマートフォンの携帯性を保ちながら、ノートPCの生産性と作業しやすさをあわせ持つデバイスが誕生すると予測している。

    市場の競争環境が激しさを増す中で、企業のトップ層にとって従業員のワーク・ライフ・インテグレーション(仕事とプライベートのバランスを最適にできる働き方)は経営課題の一つだ。

    企業のグローバル化が進みテレワークや出張の機会が増える中、従業員は業務をスピードアップ、効率化・簡素化するテクノロジーを求めており、それには使いやすく、(文字通り重荷にならない)携帯性にも優れた機器が必要である。折りたたみデバイスのような新しいスマートテクノロジーが、そうしたニーズを満たすと見込んでいる。

  5. CX(カスタマーエクスペリエンス)の向上をAIが支える
  6. モノからコトへ消費者の関心が移る中、製品そのものより顧客体験(CX)がますます重要になっている。2020年には、AIへの過大な期待と不安が収まるとともに、AIはもはや最新テクノロジーとして脚光を浴びる存在ではなくなり、日常的なサービスを陰で支える存在になるという。たとえば、2024年までに世界中の高級ホテルの60%以上が、顧客体験を提供するためにAIを活用した対面型のスマートアシスタントを導入すると予測している。

    一方、人間が作っている以上、AIに意図せず望ましくないバイアスがかかっている可能性がある。このため、2020年以降、導入しようとしているAIが例えば反社会的な判断を下したりしないかをチェックするために、企業はAIの利用を統制・監査する専門部署を設置することになるだろう。また、AIをマーケティングのバズワードとして使用する企業がもてはやされる時は過ぎ、AIを活用して社会に貢献しようとする企業が注目されるようになるとした。

  7. プライバシー保護のよしあしが企業の評価基準になる
  8. スマート電球、スマートドアベルなど様々なモノにセンサーが付き、スマートデバイスとしてネットワークに接続されることで、生活の利便性は確実に高まっている。一方、あらゆるモノがネットに接続されていくにつれセキュリティとプライバシーのリスクが高まっていることも事実だ。例えばWorld Economic Forumによる2019年の調査によると、消費者の57%は収集された個人データを企業がどのように扱っているかに不信を抱いている。

    2020年以降、企業はプライバシー保護を重視し遵守することでブランドや製品を差別化することができるようになるという。そのためにテクノロジー企業には、プライバシーを確実に保護できる、セキュリティの高いソフトウェアやデバイスの開発・製造が求められる。同時に、あらゆる企業(GDPRが適用される市場に限らず)は、収集するデータとその使い方に対して、これまで以上に透明性を高める必要があるとした。

  9. 新技術によるワークスタイルの革新が続く
  10. ワークフローの最適化、労働時間の短縮、密接なコミュニケーションなど、性能向上を続ける各種の機器を人間はうまく使いこなし、成果を上げており、2020年もこの流れは続くという。

    AIがリモート会議システムに導入され、自動接続はもとより、その場での議事録作成や翻訳までこなすようになるなど、新しいテクノロジーが新しい仕事のすすめ方を次々に生み出している。これからは、コラボレーションの新たな手法を考え出すことが、新しいビジネスの創造そのものになる可能性があると予測した。

  11. テレワークの安全性をエンドポイント・セキュリティが支える
  12. オフィスの外で仕事をすることが増え、また優秀な人材を確保する目的もあり、いつでもどこにいても仕事ができるフレキシブルな働き方が普及する中、テレワークのセキュリティ確保のためにITの新しい視点が必要だ。それは、ネットワークのエンドポイントであるデバイスがどこにあってもその状態を常にモニタリングでき、必要に応じて対策が打てる環境の実現である。もちろん適切なアクセス権限の設定、認証情報の管理も重要である。

    企業間の相互接続が進み、システムが有するデータの量と価値が増すにつれ、不正侵入を受けた場合の損害は大きくなっている。また、ITインフラが変化する中で各種セキュリティ製品間の役割分担がはっきりしなくなり、セキュリティホールへの不安が高まっている。

    テレワークが一般的になるにつれて、不正アクセスやマルウェアの活動をエンドポイントで予測、防止、検知する機能が、被害を受けた部分の切り離しやシステム修復のために不可欠になった。このために、デバイスの地理的位置やアクセス時刻、普段と違う操作などを総合的に判断するコンテキスト・ベースのAIエンドポイント・セキュリティ対策の導入が進んでいくと予測した。

  13. スマートビジネスがクラウドからエッジに回帰する
  14. ネットワークサービスの主役が従来のデータセンターからクラウドに置き換わりつつある一方、ネットワークの末端、ユーザー側にあるエッジデバイスが、クラウドとお互いを補完するITインフラとなり、さまざまなビジネス領域で利用されイノベーションの新たな基盤となるという。

    エッジへの移行は、機械学習とAIに代表される複雑で高度なアプリケーションの分野でまず進んでいる。200億以上の膨大な数のモノがインターネットにつながると予測される2020年、レイテンシ(遅延)の短縮とクラウド内にあるコアサーバの負荷軽減を目的に、データアナリティクスおよびAIアプリケーションのクラウドコンピューティングからエッジコンピューティングへの回帰が進展し、スマートビジネスの実現に大きな役割を果たすとした。

  15. 医療の地域間格差をスマートテクノロジーが解消する
  16. 在宅の患者が身につけたウェアラブル端末や家庭に設置された各種のモニタ―機器をネットに接続し、医師による診断や介護者による健康状態チェックがリモートから行える、バーチャルなヘルスケア環境が実現するという。言うなれば患者体験(ペイシャント・エクスペリエンス)の変革が実現すると予測している。

    ここでもスマートテクノロジーが大きな役割を果たす。すでに普及している医療用IoT機器に加えて、医療用モバイルIoT機器とサービスのネットワークが広がることで、患者の居住地にかかわらず定期的なモニタリング・診察・治療が可能になり、一人ひとりの患者に合わせたケアを提供することが容易になるとした。

    こうした動きに合わせ、米国メディケアおよびメディケイドサービスセンターは、医療関係者が遠隔からのバーチャルヘルスケアソリューションを導入できるように、2019年に法制を整備した。

  17. 教育にAR/VRが浸透する
  18. 学生にとって、野外活動、観光、文化交流などの体験を通じた学びは貴重だ。そうした機会に拡張現実(AR)や仮想現実(VR)を活用して没入感のある体験をすることで、鮮烈、鮮明な記憶が残る。米国の高等教育機関の60%が2021年までに授業でVRを使用するようになると予測している。教室にいながらもAR/VRを通じ世界中を旅して地理を学び、バーチャル空間内で科学実験を行い、通常では訪れることができない史跡を巡ることも可能になる。

    さらに、こうしたテクノロジーは地域や言語を問わず導入できるため、グローバルな教育の機会均等に貢献するとしている。また、教師が生徒一人ひとりの学習進度を把握することが容易になり、各自の学習ペースに合せた、パーソナライズしたカリキュラムでの指導ができるようになると見込んでいる。

  19. クラウドゲーミングが広がる
  20. 2020年、いつでもどこにいてもゲームを楽しめるようになりたいという消費者ニーズの高まりにあわせて、クラウドゲーミングの普及が進むと予測している。家庭用ゲーム機や高性能のゲームPCが手元にないとき、これまでのようにスマートフォンやタブレットだけでなく、モバイルPCもゲーミング用プラットフォームの選択肢になると見込んでいる。

    また、クラウドゲーミングはプロゲーマーだけでなく一般ユーザーにも広がりをみせ、低価格で高パフォーマンスのハードウェア製品へのニーズが高まるとした。

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