KDDIなど、IoT活用のカキ養殖事業を徳島県海陽町で開始

日本でのカキ養殖は、イカダなどからカキを吊り下げて養殖する「イカダ垂下方式」が一般的である。しかし、徳島県海部郡海陽町の那佐湾では、澄んで綺麗な海洋環境であるため、プランクトンなどのカキの養分になるものが少なく、上手く成熟しないという問題があったため、海に設置したポールの間をワイヤーで繋ぎ、そこに取り付けたカゴの中にカキを入れ、1個ずつバラバラで養殖する「シングルシード生産方式」により、「あまべ牡蠣」の養殖を行っている。

「シングルシード生産方式」では、カキを養殖する際、カゴが波の影響で適度に揺れることが生育に影響を与えることが分かっており、定期的に人の手で、環境にあわせてカゴの浮力を変えることで揺れ具合を調整している。しかし、そのタイミングや強度などを海洋環境にあわせて決定するのは、漁業者の勘と経験に頼っており、収量安定化や養殖事業拡大の課題となっている。

また、那佐湾では数百のカゴでカキ養殖を行っており、生育期間や生育状況により定期的に仕分けしている。「シングルシード生産方式」では、カキの生育状況に合わせてカゴの大きさや入れる個数を管理する必要があり、どのカゴにどんなカキがいくつ入っているかをデータベースで管理しているが、作業時にはこれを紙で印刷し、養殖場で作業内容を記録した後、事務所に戻ってから反映させているの状況だ。

そこで、海陽町と宍喰漁業協同組合(以下、宍喰漁協)、株式会社リブル、国立大学法人徳島大学、KDDI株式会社は、ICTを活用した漁業の安定化と効率化を目指して、「あまべ牡蠣スマート養殖事業」を那佐湾で本年3月1日から開始した。

同事業では、IoTセンサー機器をカキ養殖カゴに取り付けて、カキの生育に大きく関係すると考えられる「水温」「カゴの揺れ」「濁度」の情報を定期的に収集し、クラウド上へ蓄積する。データはグラフ化され、いつでもPCやスマートデバイスで確認できるため、全漁業者が共通した基準でカゴの浮力を判断することができる。

また、漁業者の作業を効率的に管理するため「養殖管理ツール」を導入した。漁業者はスマートデバイス上の「養殖管理ツール」に、各カゴに入っているカキの養殖期間、大きさ、個数などその日の作業内容を入力することで、養殖場で作業日誌を更新することができる。データはクラウド上に保管され、一覧で表示できるため、管理作業の効率化を実現する。漁業者同士での共有や振り返りが可能となり、ノウハウを蓄積していくことで、生産性の向上に貢献する。

これらの作業で蓄積したデータとカキの生育状況との相関を分析して、効率のよいカキ生育ノウハウの確立を目指すとした。

Previous

村田製作所とGoogle、Coral Intelligence搭載の最小AIモジュールを開発

IoT人気記事ランキング|認証速度0.3秒で精度99%のAI顔認証など[3/23-3/29]

Next