ダイキンと日立、化学事業の需要変動に対応可能な生産・販売計画の立案・実行支援ソリューションを運用開始

製造業では、消費者ニーズの多様化や昨今の新型コロナウイルス感染拡大などにより需要が変動しており、生産の遅延や欠品による機会損失、過剰生産などサプライチェーン全体でさまざまな課題を抱えている。なかでも、化学品は需要変動が激しいうえ多品種生産を行うため、製造から販売まで部門間で調整を行い、状況に応じた製造・販売施策を複数パターン検討し、週単位や日単位で実行可能な生産計画を立案し、迅速にアクションに移すことが重要となる。

一方、世界中の製造・販売拠点について、販売価格や販売・生産量、設備稼働率、生産能力、関税など膨大なパラメータを販売先や製品ごとに考慮し、経営視点で重要業績指標(以下、KPI)の最大化に向けた製造・販売施策や実行可能な生産計画を立案することは難しく、人手では膨大な時間と経験・ノウハウが必要である。

ダイキン工業株式会社(以下、ダイキン)と株式会社日立製作所(以下、日立)は、2018年9月よりダイキンのフッ素ゴム・ダイエル(※)を対象に、モノづくりプロセスの革新をめざした新たなソリューションの創生・実用化に向けた協創を進めてきた。

ダイキンが製造から販売を横断した現場の事業計画立案業務のノウハウとニーズを提供する一方で、日立がLumadaの協創アプローチ「NEXPERIENCE」(※)を通じてそのニーズを施策パターンとして具現化し、株式会社日立ソリューションズが有するSCM最適化シミュレーション技術(※)を適用して事業計画の立案・実行を支援するソリューションの実証実験を行った。

その結果、ボトルネック工程の設備稼働率と生産能力向上に伴う人員コストに着目した増産施策や、利益を最大にする調達・生産・販売経路の変更施策など、KPIに寄与する製造・販売施策や、現場制約が加味された実行可能な生産計画を、自動で複数パターン提示することが可能となった。これにより、製造・販売施策のタイムリーな立案と意思決定が可能になるとともに、需給調整や施策立案に携わる担当者は顧客起点のSCM施策や事業計画の検討・実行に注力できる。

そしてこのほど、ダイキンと日立は、SCM最適化シミュレーション技術を適用してダイキンの化学事業において需要変動に迅速に対応する生産・販売計画の立案・実行支援ソリューションの実用化を開始した。

同ソリューションは、複数の製造・販売拠点の需給バランスをもとに、利益、売上、キャッシュフローなどのKPIの最大化に向けて適正化した製造・販売施策シナリオや生産計画を自動で提示し、意思決定の迅速化に貢献するとともに、ウィズ・アフターコロナ時代の急激な需要変化にも対応する。

ダイキンは、フッ素化学製品に関するグローバルの5カ所の製造拠点、9カ所の販売拠点、数百品目を対象に、6月から同ソリューションの本格運用を開始している。

これまでは、どの製品をどの拠点でどれだけ生産し、どこで販売するかといった製造・販売施策を担当者が手作業により立案していたため、多くの時間を要していたが、同ソリューションを導入したことで従来の約60倍のパターン数を短時間に作成することができた。また、それらの定量的なシミュレーション結果に基づいて迅速な合意形成が図れるため、意思決定までに要する時間を約95%短縮できることを確認した。

ダイキンと日立、化学事業の需要変動に対応可能な生産・販売計画の立案・実行支援ソリューションを運用開始
同ソリューションを活用して自動立案した製造・販売施策シナリオの例

※1 ダイエル:耐熱性、耐油性、耐薬品性に優れ、自動車や石油掘削、化学プラント他の過酷環境下でのシール材やホース材料として用いられるフッ素ゴム製品。
※2 NEXPERIENCE:デザイン思考で新サービスを創生するための日立の協創アプローチ。手法、ITツール、空間、人、それらを含む活動。
※3 SCM最適化シミュレーション技術:日立ソリューションズが開発した数理最適化手法を活用し、最適な生産拠点や生産量、販売量、トータルコストなどをシミュレーションする技術。

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