大成建設とモノプラス、汎用型ロボット「temi」を業務用途に使用する病院運用の実証研究を開始

2020年8月18日に大成建設株式会社とモノプラス株式会社による記者会見が開催された。

両社は、大成建設が進めるスマートホスピタル構想を実現させることを目的に、自律走行型多目的ロボット「temi」を使用した実証研究を名古屋大学医学部附属病院で開始したことを発表した。

「BuddyBot」でtemiを業務用途に使用する

モノプラス株式会社 代表取締役社長 秋葉淳一氏
モノプラス株式会社 代表取締役社長 秋葉淳一氏

まず、モノプラスの代表取締役社長である秋葉淳一氏が、今回の実証研究で使用するtemiと新たに開発した「BuddyBot」の詳細について紹介した。

秋葉氏は、「通常、ロボットと聞くと、産業用ロボットと家庭で使用するペットのようなロボットの2つのイメージがされる」とした。

しかし、temiはこの2つのイメージと異なり、様々な用途で使用できる汎用型ロボットとして使えないかと考えているという。汎用型ロボットのメリットは、安価で使用できることと、様々な使用者がいるため短い期間でブラッシュアップされることだ。

これまでのtemiは自律走行が可能であったが、ある特定の場所に移動させるということはできなかった。

今回、汎用型ロボットのtemiを業務用途で使用できるようにするために、「BuddyBot」を開発したという。BuddyBotは、temiを活かすためのアプリケーションだ。

BuddyBotの画面イメージ
BuddyBotの画面イメージ

PCやモバイル端末などでBuddyBotを使用することで、小学校のプログラミング教育で用いられるようなブロックプログラミングのように、業務用のプログラムを作成することができる。高額な産業用ロボットを購入せずに業務用途にロボットを使用することができるようになる。

今回の実証研究では、temiとBuddyBotを組み合わせることで価値を提供するとしている。病院での実証研究を行うことで、医療向けのニーズに合わせたプログラミング用のブロックを作成していくことができる。作成したブロックは、医療向けにベースパッケージとして提供することも考えているという。

病院と介護施設では、必要なロボットの働きに共通する部分も多いだろう。共通する働きを指示するブロックは流用が可能で、それぞれの職場で使用している言葉に合わせるだけで使用できるのではないかとした。

秋葉氏は、「まずは病院や介護施設から実証を行うが、ロボットが人をどう支援するかという視点では、物流センターの中やその他の産業でも同様で、他の産業にもtemiとBuddyBotを広めていきたい」とした。

名古屋大学医学部附属病院での実証研究の詳細

大成建設株式会社 医療施設計画部 兼平健太郎氏
大成建設株式会社 医療施設計画部 兼平健太郎氏

続いて、大成建設の兼平健太郎氏から、同実証研究の詳細に関して説明があった。

同実証研究は、大成建設のスマートホスピタル構想に基づくものだ。

スマートホスピタル構想とは、未来の医療を見据えた病院施設の開発を目的としている。先進技術を活用し、施設運用や物流などの最適化を行うものだという。同実証研究では、スマートホスピタル構想のテーマの中から、外来運用、病棟運用、院内物流のスマート化を目的としている。

近年の高齢化や新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、医療従事者や病院スタッフの慢性的な人手不足が課題となっている。医療業務を効率化することで、こうした課題を解決することが同実証研究の目的だとした。temiを使用することで、現在の機能で病院の業務効率化が図れるかという検証と、医療施設ではどのような機能追加が必要なのかのニーズを探ることを行うという。

同実証研究では、temiの基本性能に加え、モノプラスが開発するBuddyBotなどの動作プログラムを作れるシステムと、大成建設が開発する病院用temiに必要なシステムを使用し研究を行う。

実証研究の内容、まずはICU内で検討を行う。
実証研究の内容、まずはICU内で検討を行う。

2020年8月5日に1台目のtemiを名古屋大学医学部附属病院に導入したという。実証期間は10月までを予定している。

始めは、ICU内にtemiを設置し、看護師と医師のコミュニケーションツールとしての機能と、軽量物の搬送を行うとしている。temiはホームベースと呼ばれる充電ステーションを中心に半径50メートルまでオートマッピングすることができるので、物理的な移動という点ではICU内をtemi1台でカバーできるという。同実証研究では、合計2台のtemiを導入し、業務量も合わせて必要な台数を検討するとしている。

また、今後の活用法としては、病院内で、temiに搭載されているカメラを使用し、マスク着用の有無や面会カードの有無などを識別し声掛けを行ったり、発熱者を特定し指定場所へ誘導を行ったりすることも検討しているとした。

temiだけだと対応できることが制限されてしまうため、病院内のアナウンスなど、様々な機能と連携した活用を検討している。BuddyBotはAndroid上で使用できるため、temiの動作だけに限らず使用することができる。

さらに、temiの自律走行を利用し、入院オリエンテーションをさせたり、感染症病室を巡回し遠隔回診を行ったりすることも考えているという。

両社は、実証研究で結果が出たものから順次、実活用ができるように進めていきたいとしている。

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