IDC、IoT利用企業の割合は前年比で0.1ポイント増加しCOVID-19の影響でIoTプロジェクトが停滞していると発表

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IDC Japan株式会社は、2020年8月から9月にかけて全国の従業員規模100人以上の企業を対象に「IoT利用企業動向調査」と「IoT担当者深堀調査」という2つの定量調査(Webアンケート)を実施しており、今般、国内IoT市場の企業ユーザー動向調査結果を発表した。

IoT利用企業動向調査では、企業のIoT利用率や具体的なユースケースなど市場の概況を把握することを目的としている。回答があった3,674社の内、IDCの定義するIoTの利用企業は248社で、利用率は6.8%だった。IoT利用企業の割合は継続的に増加しており、前年比で0.1ポイント、2015年比で1.9ポイント増加している。

IoT利用企業の多くは、社内業務プロセスの合理化/コスト削減を目的とした「社内用途」のIoTを利用している。一方でIoTを顧客向けの製品/サービスの付加価値創出や新たなビジネスに役立てる「DX用途」を推進する企業も全回答の1.5%の割合を占めるが、新型コロナウイルス感染症(以下、COVID-19)などの影響により、そうした用途の一部のIoTプロジェクトは停滞している可能性もあるとIDCは見ている。

IoT利用企業の多くは短期的には働き方改革や業務プロセス変革など、COVID-19への一次的且つリアクティブな対応を優先するとみられるが、長期的にはCX向上、デジタルビジネスの創造、サプライチェーン強化などを、IoTを含めた多様な技術で推進する傾向が強まると分析している。
IDC、IoT利用企業の割合は前年比で0.1ポイント増加しCOVID-19の影響でIoTプロジェクトが停滞していると発表
一方のIoT担当者深堀調査では、企業の中で自身の業務の1割以上をIoTに充てる「IoT担当者」を対象に調査を行っている。回答があった16,703名の内、1,116名(6.7%)がIoT担当者に該当した。

調査の結果、IoT担当者が所属する企業においてはIoTの取り組みを開始してから4~5年経過していても、その半数以上は未だにPOC(Proof of Concept)以前の取り組みフェーズにあることが判明した。IoTソリューションを提供するベンダーは、そうした企業を本番フェーズに引き上げるべく、なんらかの方策を見出さねばならないとIDCは考えている。

同調査から明らかになったIoT担当者が抱える課題を大きく3つに分類した場合、1つ目にIoT関連人材の不足やIoTを実現する上での技術面における知見が不足しているといった意見が目立っている。IoTを主導する人材の強化/育成を通じ、人材の底上げを早急に進めることが求められる。

2つ目にビジネス現場のIoTに対する理解が不足している、あるいは社内外のIoTに関わる組織間連携が難しいといった回答がみられた。IoTプロジェクトを円滑に進める上での組織間の関係性を最適化する必要があると言える。

3つ目にIoTの収益性が見通せないことや予算不足、経営層の理解不足といった意見も顕著となった。IoTプロジェクト推進に向けたKPI(Key Performance Indicator)/ROI(Return On Investment)など、経営層を中心としたビジョンやマインドセットの転換が重要だとみている。

IDC Japanのコミュニケーションズ シニアマーケットアナリストの鳥巣悠太氏は「IoTを推進する人材とDXを推進する人材の双方には類似したハードスキルが求められており、IoTはDXを実現する上での不可欠な要素として市場に認識されつつある。IoT技術者の育成がDXの普及に向けて必須と考えられる」とみている。

そして「IoTを本番フェーズで利用する企業では、業務プロセスのスピード、データの種類/量、デジタル人材の割合、パートナーの数、デジタルサービスの数、データに対する投資のリターンなどをKPIとして重視する点が特徴的である。IoTの取り組みフェーズに合わせた柔軟なKPIの設定が不可欠になる」と述べている。

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