製造業におけるAIはより現場にマッチした活用に、フィードバックツールとしてのRealWear

本記事は、日本システムウエア株式会社の協力のもと制作しております。

製造業において、AIを活用した取り組みは広がりを見せている。

本稿では、より複雑に、そしてより実用的な広がりを見せる状況を紹介する。

より高度な解析を行う

これまでのAIによる解析といえば、画像認識や時系列データの分析といったものを個別に活用することが主流だったが、いくつかの分析を組み合わせ、より高度な解析を行うようなものも登場してきている。

実際に日本システムウエア株式会社(以下、NSW)が取り組んでいる事例では、品質を判断するような製造の現場で、画像認識の結果を時系列に整理し、その時の設備のセンサーデータと組み合わせて、設備のコンディション判定や劣化予測を総合的に判断するというものがあるという。

これまでの、画像認識によって製品の不良品を判定する方法だけでは、装置に不具合があった場合、不良品が発生してからの発見になってしまう。理想は、設備の異常の予兆を検知することで、異常が発生する前にメンテナンスを行い、不良品の発生を避けることだ。

NSWが取り組む事例では、ほぼリアルタイムに画像認識の結果と設備のセンサーデータを時系列で結びつけている。全ての処理をクラウドで行おうとするとリアルタイム性は失われてしまうので、クラウドで処理する部分とエッジで処理する部分に分けて、できるだけレスポンスが早くなるようにエッジ側に処理を寄せるような取り組みが増えてきているという。

汎用的なAIモデルを予め半導体チップに組み込んで処理を早くするという検証も行なっているところだ。

解析結果を現場で活用する

AIによって解析した結果は、これまでPCなどの画面に表示し確認するという手法が取られてきた。

しかし、工場などの現場で、より実際に即した運用を行うためには、現場の作業者に向けてフィードバックを行う必要がある。

将来的には、工場すべてが自動化するというスマートファクトリーが実現されていくかもしれないが、現状は、まだまだ人手での作業が多いだろう。AIで判定した結果を作業者にフィードバックすることにより、その後の作業に対して改善を加えることができる。

工場という現場の特性を考えたときに、作業者にフィードバックを行う上で、作業の邪魔にならないということが必要だろう。

現場へのフィードバックツールとしての「RealWear」

RealWearは、ヘルメット等に装着し使用する。
RealWearは、ヘルメット等に装着し使用する。

NSWでは、ウェアラブルデバイス「RealWear」の代理販売を行なっている。

RealWearは、完全ハンズフリーで音声のみで操作を行うことができるウェアラブルデバイスだ。防塵・防水仕様を備えている他、ARグラスのように目を覆わない点や、手袋や軍手をしていても操作ができるという点で、工場での使用に適している。実際に様々な企業で導入されているという。

現在の主な利用事例は、Microsoft TeamsやZoomを使用した遠隔支援である。遠隔地が、現場のRealWearで撮影した映像を見ながら現場に対して支援を行うものだ。

また、手順書をデジタル化し表示を行い、作業の証跡を残すという利用方法がある。位置情報やQRコードの読み取りなどで作業履歴を残したり、RealWearに搭載されているカメラを音声による指示で撮影したりすることで、ハンズフリーで作業の証跡を残すことができる。

また、搭載されているマイクから音声で履歴を残すことも可能だ。インターネットがつながっている状態であれば、その場で文字起こしを行い、クラウド上にはメモ形式で保存ができる。

工場に適した特性と、遠隔支援の利用方法を持つRealWearは、現場での人手不足や熟練度のばらつきの解消のために用いられていることが多い。

RealWear×AIの可能性

NSWでは、このRealWearを、AIの解析結果を現場の作業者にフィードバックするために使用することを検討しているという。

作業者にフィードバックを行う目的として、熟練者のノウハウ継承がある。目視で点検を行うような工程は、定性的な判断が必要になる場合がある。

例えば、RealWearに搭載されているカメラで撮影を行い、AIに送ることで判定を行う事ができる。判定結果をRealWearに返すことで現場の作業者の判断を支援することが可能になる。

カメラ以外でもマイクで装置の音を収集し、異常音がしないかをAIで判定するという使用方法を検討しているという。

その他にも、装置に設置したセンサーから振動データを収集し、AIによって分析した故障予測や装置の状態監視の結果をRealWearに送るという検討もしている。作業者が担当している装置の情報を送ったり、RealWearの位置情報から作業者の近くの装置の情報を送ったりすることで、これまで単純な定期点検だったところを、装置の状態を見ながら維持管理する方法に変える事ができるという。

RealWearを使用し、AIを製造業の現場に導入することで、単純作業だけではなく、熟練者の判断が必要となる高度な作業においても支援することが可能になるだろう。
 

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