日立、ブロックチェーン技術によりセキュアな電子契約を実現する「日立電子署名サービス」を開発

現在、新型コロナウイルス感染拡大対策のため、在宅勤務をはじめとしたテレワークの導入が急速に拡大し、多くの企業では場所にとらわれず柔軟に働くためのインフラ環境整備を進めている。しかし、特に国内企業においては、企業間で交わす契約書などの紙の書類への署名・押印業務がテレワークを推進する上で大きな障壁になっているとともに、原本の製本や郵送、印紙購入・貼付け、保管などの多くの時間とコストを要している。

こうした中、代替手段として、デジタル技術を活用した電子署名への関心は高まっている一方で、第三者による改ざんを防ぐなどのセキュリティの確保が課題となっている。

株式会社日立製作所(以下、日立)は、ブロックチェーン(分散型台帳)技術によりセキュアな電子契約を実現する「日立電子署名サービス」を開発した。詳しい特長は以下の通り。

  • ブロックチェーンへの証跡情報の記録によりデータの真正性を向上
  • 同サービスにおいて利用者が文書に署名を行った際に、電子データのハッシュ情報(※1)とタイムスタンプ情報(※2)をブロックチェーン上に記録する。ブロックチェーン上に格納されるデータは改ざん耐性が高く、従来のリレーショナルデータベース(※3)利用時に比べて、データの真正性を高めることができる。

    また、ブロックチェーン基盤には、日立のマネージド型クラウドサービスである「Hitachi Blockchain Service for Hyperledger Fabric」を用いており、日立運用チームによる安定したシステム運用を提供する。なお、同サービスの開発にあたっては、業務テンプレートや開発フレームワークなどの機能群を有する日立独自の「ブロックチェーンシステム開発支援サービス」を用い、迅速化を図った。

  • 他の電子契約サービスとの連係による文書の一元管理が可能
  • 一般的に、企業が電子署名・契約を利用する際、取引先側が利用しているサービスに合わせていくつかの種類の使い分けが必要となるケースがある。同サービスでは、異なる企業間の情報交換を容易に実現するAPI(※4)連携によって他の電子契約サービスと接続して、署名済み文書を同サービスに取り込み、文書の一元管理を行う機能を提供する。接続先サービスについては今後拡充していくとのこと。

  • 現場の声を反映した操作性
  • 相手側の署名捺印が認証不適合な場合の差し戻し、署名の委任、承認フローのカスタマイズなど、地域性に応じた商習慣に合った操作・機能を有している。

  • 生体情報を活用して本人を特定する日立の独自技術と連携したなりすまし防止(オプション)
  • 日立が保有する、指静脈などの生体情報からデータの暗号化に用いる秘密鍵を生成する公開型生体認証基盤(PBI)(※5)とブロックチェーン技術を融合させて、セキュリティ強化を図るオプション機能を開発中だという。医薬・医療、金融や公共機関といった厳密な本人認証が必要とされる分野への適用を想定している。

同サービスにより、企業のテレワークや業務効率化、コスト削減を支援し、ニューノーマル時代における持続可能な新たな働き方の確立に貢献する。

今回日立では、同サービスを2021年3月から本社の調達部門で先行運用を開始した。そのフィードバックを同サービスに反映した上で、同年7月以降、国内企業向けに販売開始し、将来的には北米を中心とする海外企業にも展開する予定としている。また、日立の企業間取引のクラウドサービス「TWX-21」と連携させ、Lumadaソリューションとして同サービスを提供していく予定だ。

※1 ハッシュ情報:データをハッシュ関数で演算して得られる値。
※2 タイムスタンプ情報:電子データがある時刻に確実に存在していたことを証明する電子的な時刻証明書。
※3 リレーショナルデータベース:最も普及しているデータベースの一つで、表形式のデータの集合を互いに関連づけて関係モデルを作ったもの。
※4 API(Application Programming Interface):ソフトウェアの機能や管理するデータを外部プログラムから呼び出して利用するための仕様。
※5 PBI(Public Biometric Infrastructure):指静脈や顔、虹彩などの生体情報を暗号化し登録・照合することで安全かつ確実に本人を特定する日立の独自技術。

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