ドコモ、ミリ波を用いて高速移動中でも安定的な高速5G通信実験に成功

株式会社NTTドコモは、時速90km以上で高速走行する複数の実験用5G通信端末に対し、複数の実験用5G基地局を連携させ、基地局を瞬時に切り替える実証実験にて、安定した高速5G通信に成功したと発表した。

この実証実験は2021年2月20日~3月6日の間、茨城県の自動車走行のテストコースにて実施され、通信端末2台に対して通信の効率として1台当たり4ビット/秒/Hz超を実証したという。これは、ドコモが5Gで商用サービスを提供している28GHz帯の400MHzの帯域幅を利用した場合、下り最大1.6Gbps相当する。今回の実験では、27.6GHz 帯(帯域幅:100MHz)の実験装置を使用している。

ドコモ、ミリ波を用いた安定的な高速5G通信実験に成功

3台の基地局を連携させ、構築した約400mのエリアでの下りリンク通信にて、時速120kmで移動する2台の通信端末に対して、IMT-2020の要求条件である0.8ビット/秒/Hzを超える、通信端末当たり約3ビット/秒/Hzの周波数利用効率を、エリア内で安定的に実現した。

また、時速90kmで移動する2台の通信端末に対して、総務省受託研究開発の目標である、通信端末当たり4ビット/秒/Hzの周波数利用効率を実証した。

ドコモ、ミリ波を用いた安定的な高速5G通信実験に成功

使用された「ミリ波」は高速・大容量の通信ができる性質を持つ一方で、電波が遠くに届きにくく、一つの基地局がカバーできるエリアが狭くなりやすい性質を持つ。そのため、特に高速移動環境では複数基地局の連携によるエリア構築が重要だ。

また、電波を特定の方向に集中して放射する「ビームフォーミング機能」を用いることで、ミリ波を遠くまで届けることができるが、複数の通信端末に向けて電波を発射する際に、互いのビームが干渉し、速度が低下してしまう場合がある。

そのためこの実験では、基地局と通信端末との間の通信の状態を詳細に推定することで、高速移動する通信端末を追従するように基地局の電波の向きを自動で制御する「デジタルビームフォーミング機能」を用いた。

従来のビームフォーミング機能をデジタル化することで、複数の通信端末の同時通信を実現しながら高速移動に追従させ、最適に通信できる基地局を瞬時に選択して切り替えることが可能となった。

今回新たに研究開発した複数基地局の連携技術として、デジタルビームフォーミングの処理を各基地局で行い、その結果を踏まえて信号送信に最適な基地局を決定することで、通信端末が高速移動している時でも品質劣化を抑えながら基地局を高速に切り替える機能を実現した。

そして、電波の反射物などがない環境では、基地局と通信端末との間で直進する電波のみが届くため、通信経路が一つだけになり、複数の信号を同時送信することは困難である。そこで、複数の信号を複数の基地局に分散させて送信する分散 MIMO(Multiple-Input Multiple-Output)と呼ばれる機能を実装し、通信経路を増加させることで、複数信号の同時送信を実証した。

また、この実証実験は、総務省からの委託を受けて実施した「電波資源拡大のための研究開発(JPJ000254)」における「5Gの普及・展開のための基盤技術に関する研究開発」の成果の一部が含まれており、研究開発の目標の通信効率を達成したという。