日本IBM・日立・ソフトバンクなど、厚生労働大臣および経済産業大臣の認可による「医療AIプラットフォーム技術研究組合」を設立

近年、医療が高度化・細分化されたことにより、医療関係者と患者や家族の間だけでなく、先端研究者と医療関係者の間にも大きな知識・情報格差が生じている。また医療関係者は、知識・技術を習得するために従来以上に時間を割く必要がある他、詳細な診療情報を記録するために時間を要するなど、医療関係者の負担が過度に増えていることが社会問題化している。

上記の課題に対応する医療分野のAI技術の活用は、国内外で多くの実例を目にする段階にまで至っているものの、業界共通の基盤技術への取り組みについては、次世代を見据えた共通の接続手順、高度なセキュリティー環境の提供方法、国際標準化の動きへの対応など個々の企業だけでは対応し得ない大きな課題を残している。

そのような中、内閣府戦略的イノベーション創造プログラム(SIP(※))「AIホスピタルによる高度診断・治療システム」課題にて、2020年度から医療AIプラットフォーム(以下、医療AIPF)の社会実装に向けた検討を、日本ユニシス株式会社、株式会社日立製作所、日本アイ・ビー・エム株式会社、ソフトバンク株式会社、三井物産株式会社で構成されるチームが、日本医師会AIホスピタル推進センターと連携を取りながら進めている。

医療AIPFの社会実装を実現する上で、業界共通の基盤技術の研究開発は「オープン&クローズ戦略」にのっとり、オープン領域として多くの企業などが参画して、その研究開発成果を積極的に公開していくことが重要である。

このほど、5社は医療AIサービスのさらなる普及・発展のため、技術研究組合法に基づき、厚生労働大臣および経済産業大臣の認可を得て「医療AIプラットフォーム技術研究組合(以下、HAIP:Healthcare AI Platform Collaborative Innovation Partnership)」を設立した。

技術研究組合とは、複数の企業や大学、独立法人などが協同して試験研究を行うために、技術研究組合法に基づいて主務大臣の認可により設立される非営利共益法人であり、今回設立するHAIPは、医療AIサービスの普及・発展に資する業界共通の基盤技術の研究開発を行う。具体的な試験研究領域は、以下の通り。

  1. 高度で先進的な医療AIサービスを、メニューとして一元的に提供するポータルサイト機能を有するシステム(以下、ポータルシステム)の研究開発
  2. 医療関係者などがポータルシステムを利用する上での本人認証(多段階・多要素認証)、データ転送時の暗号化技術などのセキュリティー領域の研究開発
  3. ポータルシステムと医療AIサービスを接続するための規格であるAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)の研究開発
  4. 1、2および3を共通基盤として医療関係者などが円滑に利用できるよう、5Gを活用した医療AIサービスの実用化に即した機能などの要件を整理するための研究開発
  5. 医療AIサービスの開発ベンダーや研究者向けにデータ提供を仮想環境において実現して、物理的なデータ拡散を防止する技術などの研究開発

HAIPによる研究開発の成果は、誰もが活用できるようにオープン領域として公開することで、医療AIサービスのさらなる普及・発展に貢献し、医療の質の確保や医療関係者の負担の軽減を図る。

なお、技術研究組合は制度上、研究成果を基に株式会社に組織変更することが可能であるため、将来的にはHAIPを株式会社に組織変更して、研究成果の事業化や社会実装を目指すとしている。

※ SIP:内閣府総合科学技術・イノベーション会議が司令塔機能を発揮して、府省の枠や旧来の分野を超えたマネジメントにより、科学技術イノベーション実現のために創設した国家プロジェクト。