IDC、データエコシステム事業者において顧客エンゲージメント最適化に向けたデータ利活用の需要が依然として高いと発表

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IDC Japan株式会社は、国内ベンダーおよび企業の「データエコシステム」市場における取り組み状況の調査結果を発表した。

IDCでは、あらゆる産業の企業が自社のファーストパーティ(1stパーティ)データを、外部のセカンドパーティ(2ndパーティ:協業先の組織)/サードパーティ(3rdパーティ:協業先以外の外部組織)データと掛け合わせ、新たなビジネスモデル/収益モデルを創出すべく形成するプレイヤーの集合体を「データエコシステム」と定義している。

同調査では、データエコシステムに関わるさまざまなプレイヤーの中でも「データ取引/シェアリング基盤」「Data as a Service」「情報銀行」「データ流通推進活動」に関わるベンダーおよび企業に焦点を合わせて調査を行った。
IDC、データエコシステム事業者において顧客エンゲージメント最適化に向けたデータ利活用の需要が依然として高いと発表
まず、IDCが2021年4月に実施した、DXを目的にデータ利活用を進める企業に対するWebサーベイによると、回答者全体の傾向を見ると、2nd/3rdパーティデータを有償で購入または無償で取得する「外部データ活用」の実施割合は回答者全体の3割以上に達している。また、1stパーティデータを有償で販売または無償で提供する「内部データ外販」の実施割合も全体の2割前後存在することが判明した。

産業分野別に見た場合、情報/通信では有償での内部データ外販の先行事例が比較的多いことが分かった(32%)。政府/公共、医療/福祉、教育では、オープンデータなどを中心に無償での内部データ外販が浸透しつつあるとIDCはみている(38%)。また、外部データ活用に最も積極的なのは一般サービスであることが分かった(有償/無償共に43%)。

このように、DXを目的としてデータ利活用を推進する企業においては、外部データ活用や内部データ外販の取り組みはそれほど珍しいものではなくなってきている。今後国内企業のDXが成熟するに伴い、こうした取り組みはさらに広がるとIDCではみている。

データエコシステムに関わる国内ベンダーおよび企業の動向については、以下に示すような3つの傾向が見られることが明らかになった。

1つ目に、顧客エンゲージメント最適化に向けたデータ利活用の需要は依然として高いことが明らかとなった。「クッキーレス時代」に向けたインターネット広告/CRM系事業者の技術革新、大手企業のData as a Service事業者化、企業の情報銀行事業の支援などが広がりつつある。また、海外で先行するオルタナティブデータ活用に対する関心が、国内でも強まっている。

2つ目に、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大の継続が影響し、人材リソース/スキル、ヘルスケア/医療、地方創生/地域ビジネス、産業オペレーション、社会インフラ/公共安全/公共サービスといった特定のドメインに特化したデータ流通に対する期待が高まっている。

3つ目に「データパイプライン(データの収集、保護、品質管理、統合、準備、学習、分析、活用などの各プロセスとそれを支えるテクノロジー、および各プロセスに関わる組織と人の総称)」の整備に向け、社内パイプライン関連ソリューションのワンストップ提供、産業横断パイプラインを実現するための技術開発/ルール整備、データ流通関連ワークリソースの拡充、自社/パートナーに限定したプライベート空間でのデータ流通、プライバシーテックの浸透などに注目が集まっている。

IDC Japan コミュニケーションズのシニアマーケットアナリストである鳥巣悠太氏は「COVID-19拡大の影響により、今後はフィンテック領域をはじめ、HRテック、セールステック、REG(Regulation)テック、Healthテックなど多様なドメインの外部データ活用の需要が高まる。データエコシステムに関わるベンダーは金融業界に限らず、あらゆる産業において「オルタナティブデータ活用」を意識したDXソリューションの提案が不可欠となる」とコメントしている。

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