ソフトバンクが農業AIブレーン「e-kakashi」を強化、完全独立駆動式と低価格化を実現

国内では少子高齢化や過疎化による農業現場での人材不足が深刻化しており、テクノロジーやデータを活用して、農作業の効率化や生産量・品質の向上、技術継承などを行うことへのニーズが高まっている。

ソフトバンク株式会社が2015年から提供している農業AIブレーン「e-kakashi」は、IoTセンサーを活用して田畑やビニールハウスなど屋内外のほ場から収集した環境データを、植物科学の知見を取り入れたAIで分析することで最適な栽培方法を提案し、農業従事者を支援するサービスである。

このほど、ソフトバンクはe-kakashiの機能を拡充し、提供を開始した。

新しいe-kakashiは、端末にソーラーパネルとニッケル水素電池を搭載し、外部電源への接続なしで完全に独立して駆動することができる。発電と充電を繰り返しながら稼働することができるため、電源確保の問題により従来は設置が困難であった露地栽培でも使用できる。また、従来のe-kakashiと同様、ソフトバンクのネットワークに対応した通信モジュールを搭載しているため、収集したデータを直接クラウドサービスに送信することができる。

また、農業IoTソリューションを初めて使う小規模農家から農業指導者などの専門家まで、それぞれのニーズに合った4種類のアプリを提供する。

  • 「e-kakashi Navi」(スマートフォンアプリ)
  • ほ場の環境データが閲覧できる他、収集した環境データを分析し、最適な栽培方法を提案するナビゲーションアプリである。栽培環境の変化をリアルタイムに検知して、病害虫の発生リスクや、収穫時期などを通知するため、人員や資材などの効率的なリソース配備にも役立つ。無料で利用できる。ソフトバンクが農業AIブレーン「e-kakashi」を強化、完全独立駆動式と低価格化を実現

  • 「e-kakashi Analytics」(ウェブアプリ)
  • ほ場の管理や栽培指導を行う農業指導者や研究者、食品・種苗・育種メーカーやその契約農家などに最適なアプリで、設置した複数の端末から収集した環境データや作業記録の一元管理・分析を可能にした。さまざまなデータを一覧表示できる他、利用者やほ場ごとの作業状況、異常値などを簡単に確認することができる。また、収集したデータを基に、高度な栽培分析などを簡単に行える。なお、利用料は月額1万円(税抜)/(100フィールドまで)となっている。ソフトバンクが農業AIブレーン「e-kakashi」を強化、完全独立駆動式と低価格化を実現

  • 「e-kakashi Note」(スマートフォンアプリ)
  • 灌水や施肥などの作業スケジュールを簡単に管理できるアプリである。あらかじめ計画した作業工程を登録することで、作業のリスト化や作業予定日が確認できる。また、複数人で作業状況の共有ができるため、作業の漏れや重複を防ぐことができ、作業管理の効率化を支援する。茎数や葉数などの生育調査、発芽や開花などの生育ステージに関する記録を付けることも可能だ。利用料は無料だ。ソフトバンクが農業AIブレーン「e-kakashi」を強化、完全独立駆動式と低価格化を実現

  • 「e-kakashi Recipe Studio」(ウェブアプリ)
  • 収集した環境データや作業記録を基に、独自の栽培方法を作成することができる。温度と湿度の組み合わせなど複雑な条件設定にも対応しており、e-kakashi Naviと連携させることで、栽培レシピに基づくナビゲーションが可能となる。また、各利用者や指導者が持つ栽培ノウハウを電子マニュアル化できるため、栽培技術の継承にも役立つ。利用料は無料だ。ソフトバンクが農業AIブレーン「e-kakashi」を強化、完全独立駆動式と低価格化を実現

さらに、これまで提供していた温湿度や日射量、CO2濃度、土壌温度、土壌体積含水率、土壌EC(電気伝導度)などが計測できるセンサーに加え、今回新たに温湿度センサー(ラジエーションシールド付き)と水深センサーを追加した。センサーが増えたことにより、幅広い農作物の栽培に活用できます。センサーは、端末1台に最大4個まで接続可能だ。

加えて、東京エレクトロン デバイス株式会社の端末(ゲートウェイ)を採用したことなどにより、9万9,800円(税抜)という価格を実現した。なお、接続料は1契約あたり980円(税抜)/月、クラウド利用料は端末1台あたり3,980円(税抜)/月となっており、農作物や栽培方法によっては、端末に加えて温湿度やCO2(二酸化炭素)濃度などを計測するセンサーの購入が必要となる。

今回のリニューアルを通して、より多くの農業法人や農業指導者・研究者、食品・種苗・育種メーカー、メーカーの契約農家などの農業従事者への普及を図り、農業現場の課題解決を支援することを目指す。