NTT Com、データ流通基盤「GAIA-X」に対応した国際データ流通プラットフォームの日欧連携共同トライアルを開始

IoTやAI、クラウドが普及したデジタル社会でデータ提供者の権利を保護するため、欧州では、データ提供者がデータ開示範囲を制限しデータ利用履歴を追跡できる仕組みを備えたデータ流通基盤「GAIA-X」が、2022年4月に提供開始される予定である。

GAIA-Xとは、2019年10月にドイツ政府・フランス政府が発表した、セキュリティとデータ主権(※1)を保護しつつ、データ流通を支援するためのインフラ構想である。欧州の企業や行政、機関、市民の権利を守るためのデータ保護や透明性、信頼性の担保、相互運用性のあるデータ流通プラットフォームの社会実装を目指すものであり、欧州以外の市場参加者にも参加を呼びかけている。

今後日本企業が欧州企業と取引する際、GAIA-Xへの準拠を求められる可能性がある。各企業のシステムを個別にGAIA-Xに対応させるには、GAIA-Xを構成する技術標準「IDS」(※2)の仕様に精通した技術者の確保や多くの時間とコストを伴うシステム改修などが求められる。

NTTコミュニケーションズ株式会社(以下、NTT Com)は、2021年4月に、IDSのコア技術「IDSコネクター」との相互接続を実現するプラットフォームのプロトタイプを開発することに成功している。

今般、この成果をもとに、IDSと企業間の安全なデータ流通を実現するNTT Comのトラストデータ基盤「withTrust」を連携させるセキュアな国際データ流通プラットフォームのプロトタイプを新たに開発し、日欧のパートナー企業・団体と連携した共同トライアルを2021年10月~2022年3月の期間、実施する。

NTT Comが主査を務めるRRI(ロボット革命・産業IoTイニシアティブ協議会)WG1 グローバルデータ流通管理基盤検討サブWG(SWG8)において、脱炭素・資源循環のための製造データを企業間で共有するユースケースを想定し、国際データ流通に求められる要件を定義した。

その要件にもとづきNTT Comは、IDS・OPC UA(※3)・withTrustを連携させて企業間で安全にデータを共有できるトライアル環境を、日本国内および欧州域内のクラウド上に構築した。同トライアル環境に、国内外のパートナー企業・団体の機器やシステムを接続して日欧間でデータ流通させることで、国際データ流通プラットフォームの利便性や機能性、実用性を検証する。

また、GAIA-Xに準拠する欧州産業界の複数のデータスペース(オランダ Smart Connected Supplier Network、ドイツ Catena-Xなど)を同トライアル環境で相互接続する実験も行う。

さらに、製造時CO2排出量などを国や業界による商習慣や法律の違いを超えて円滑に伝達できるように共通データモデルを開発して日欧間で安全にデータ流通させる実験により実用性を検証し、株式会社Empress Software Japanなどと協力し「OPC UA」コンパニオン情報モデルとしてOPC Foundationに提案する。

併せて、同トライアルに参画を希望する新たなパートナー企業・団体を募集する。同トライアルの成果をもとに、パートナー企業・団体と協力しながら、GAIA-Xに準拠する欧州のデータスペースと日本の企業がデータを共有するための課題を抽出して機能要件を具体化し、その機能要件を実装した国際間データ流通プラットフォームの商用版を2022年度上期に提供開始予定としている。

※1 データ主権:データの開示範囲や利用用途などをデータ提供者の意思で決めることができる権利。
※2 IDS:International Data Spaces Association(IDSA)が定めている技術仕様の体系。NTTグループは、IDSAのメンバーである。
※3 OPC UA:OPC Foundationが開発・維持を行う、安全で信頼性あるデータ交換を目的とした相互運用を行うための標準規格。