DNP、生産や人員計画の最適化などの「組合せ最適化問題」を高速で解くソフトウェアを開発

人々の暮らしや企業活動などでデジタル化・ネットワーク化が進み、より複雑で大量のデータを高速に処理するニーズが増加している。例えば、交通の渋滞解消や経路最適化、企業の生産計画や人員配置の最適化、投資のポートフォリオ分析といった課題に対して、膨大な選択肢から最適な解を抽出する「組合せ最適化」を行うことが有効とされている。

この「組合せ最適化問題」は、課題の規模や選択肢の数などによって、最終的な解の候補が指数関数的に増加するため、コンピューターで処理する際は非常に高い計算能力が必要となる。近年、さまざまな企業が「組合せ最適化問題」に対応するハードウェアや量子コンピューティングの技術・方法などを開発しているが、専用コンピューターの導入・運用などには、膨大な設備投資や人的負荷が必要となる。

大日本印刷株式会社(以下、DNP)は、GPU(Graphics Processing Unit)搭載の従来のパソコンを使用し、組合せ最適化問題を高速で処理する「DNPアニーリング・ソフトウェア」を開発した。

同ソフトウェアには、アルゴリズムが異なる3つの演算手法(シミュレーテッドアニーリング、パラレルテンパリング、量子モンテカルロ)を搭載しており、課題に応じて手法を使い分けながら最適解を求めることができる。また、3つの手法を同時に用いて最適解を求めることも可能で、企業が抱える多様な課題に対応する。

アニーリング(annealing)は、金属を加熱した後、徐々に冷却して安定した状態にする「焼きなまし」という金属加工の工程を指す言葉で、組合せ最適化問題では、各種条件を変化させながら、最も安定した状態である最適解を探索することを意味する。

DNPはすでに、同ソフトウェアを印刷工程の予定の自動作成に活用しており、従来の方法と比べて約10倍の高速化を実現したという。従来、夕方から翌朝にかけて時間がかかっていた印刷工程の予定表作成が約1時間に短縮でき、急な予定変更にも対応が可能になった。

また、同ソフトウェアは、量子コンピューターやスーパーコンピューターといった専用ハードウェアではなく、パソコンで運用できるため、企業の既存のシステムやプログラムに替えて導入することができる。

さらに、組合せ最適化問題の演算処理には、入力する分析データの整備や、導き出した解に基づいて最適化していく各種システムやアプリとの調整作業などが必要になる。DNPは、こうした一連の作業について支援するAI技術やコンサルティングなども提供していく。

今後DNPは、同ソフトウェアを自社内で活用するほか、企業・団体等からのデータ処理を受託して、ソフトウェアの運用ノウハウの蓄積や精度向上を図るとともに、2022年度内に同ソフトウェアを販売するなどの事業化を目指すとした。