ソニー、独自のLPWA「ELTRES」に対応した無線実験装置が宇宙での信号受信に成功

ソニーグループ株式会社(以下、ソニー)は、「ELTRES(エルトレス)」という、「長距離安定通信」、「高速移動体通信」、「低消費電力」といった特長を持つ、IoT向けに独自開発した低消費電力広域(LPWA)通信規格を提供している。ELTRESは、地上において20mWの送信電力で見通し100km以上の伝送が可能であり、日本国内では一部の山岳地帯や海上でも運用が開始されている。

一方で、受信局の設置が困難な山岳地帯や水平線などの海上においては、地形や波浪により電波が遮られる場合がある。そのため、上空の軌道上を周回し、地上から完全な見通しを確保できる人工衛星の活用が期待されている。

そこでソニーは、ELTRESに対応した独自の衛星無線実験装置を、国際宇宙ステーション(以下、ISS)日本実験棟「きぼう」の船外実験プラットフォームに設置し、地上のIoTデバイスから送出された電波を同実験装置で受信することに成功した。

今回発表された実験装置は、ELTRESに対応した無線基地局を小型・省電力化し、宇宙環境に耐えられるよう新たに開発された。また、地球を高速周回する低軌道衛星においても、受信安定性の確保と受信可能な端末数の最大化ができるよう、専用の信号処理アルゴリズムを実装している。

今回の実験では、ELTRESの「長距離安定通信」と「高速移動体通信」の特長を生かし、地上から送出された電波を、上空400kmの軌道上を高速移動するISS側で高精度に受信することができた。この結果により、場所の制約を受けることなく通信が行えるということを実証した。

今後は、ELTRESが組みこまれたIoTデバイスを用いた、宇宙地上間の受信実験を様々な環境下で行った後、通信品質の向上などを目的とした実験も計画しているという。また、これらの実験は2022年3月まで継続し、さらなる解析および評価を実施する予定だ。