CASEから見る車の進化とモビリティサービスのトレンド

現在、自動車業界のあちらこちらで使われる「CASE」という言葉は、もともとメルセデス・ベンツが2016年に「パリモーターショー2016」で発表した考えである。

「CASE」と呼ばれる新しい領域で技術革新が進む中、クルマの概念は大きく変わろうとしている。「CASE」とは何か、その概要や背景などと併せ、自動車メーカーなどの動きなどについて見ていく。

CASEとは

「CASE」 とは、Connected(つながる)、Autonomous(自動運転)、Shared & Service(シェアリング&サービス)、Electric(電動化)それぞれの頭文字をとった造語で、クルマの進化の方向性を示すコンセプトである。

2016年のパリモーターショーでダイムラーAGのCEOディッター・ツェッチェ氏が、中長期戦略の柱として提唱した。

MaaSとは

国土交通省日本版MaaSの推進

国土交通省の定義によると、MaaS(マース:Mobility as a Service)とは、地域住民や旅行者一人一人のトリップ単位での移動ニーズに対応して、複数の公共交通やそれ以外の移動サービスを最適に組み合わせて検索・予約・決済等を一括で行うサービスであり、観光や医療等の目的地における交通以外のサービス等との連携により、移動の利便性向上や地域の課題解決にも資する重要な手段となるものである。

モビリティ分野に関わる日本の課題

日本は、少子高齢化や都市部への人口集中をはじめとした社会構造の変化を背景に、将来に向けて「解決すべき社会課題」や「経済的な価値の創出に向けた課題」に取り組まなければならない

官民 ITS 構想・ロードマップ 2020 をもとにアールジーンが作成
官民 ITS 構想・ロードマップ 2020 をもとにアールジーンが作成

顕在化する社会課題

移動の自由の確保

高齢化によって自家用車による移動が困難になる者に対する代替手段が求められる一方、鉄道やバス等の公共交通サービスの減少・廃止が相次ぎ、日常生活を送る上で移動の自由が限定。

地域活性化

人口減少により自立した地域社会を維持することが難しくなってきており、特に、地方部においては生活インフラが減少し、存続が危ぶまれる集落や地域が存在。

交通事故削減

交通事故は減少傾向にあるものの、高齢者ドライバーによる運転操作ミスによる事故が社会問題に。

移動の効率化

都市部への人口流入や、ネット通販などの e コマース市場の拡大による物流需要増加等に伴い、渋滞や混雑による社会的損失が発生。日本社会の持続的発展にとって、ヒトの広域移動の効率化や物流の効率化が課題。

環境負荷低減

運輸部門からの二酸化炭素排出量は低減しているが、2030 年の削減目標達成に向けてさらなる改善が必要。

人材不足解消

物流需要の増加・少子高齢化に伴い、トラックやタクシー、バスのドライバー不足が深刻化。人流・物流事業者の収益性が低下する中、安全運行の重い責任と厳しい労働条件が課され、一層人材が集まらず事業の継続が困難に。

経済的価値創出

生活利便性向上

渋滞や混雑に伴う移動時間・通勤時間の伸長により、生活時間が制約を受ける。移動は人の暮らしを支えるものであり、多様な地域や人々のニーズに応じたモビリティサービスが求められている。

産業競争力の強化

MaaS の登場等により、日本経済の大きな柱である自動車産業における従来の付加価値構造が変化しつつあり、国際的な産業競争力の維持・向上の観点から、新たな対応・取組が求められている。

日本の都市は大きく「郊外・過疎地域」「自家用車中心 中規模都市」「公共交通普及 中規模都市」「大規模都市」に分類でき、それぞれ課題の傾向が異なる

官民 ITS 構想・ロードマップ 2020 をもとにアールジーンが作成
官民 ITS 構想・ロードマップ 2020 をもとにアールジーンが作成

「郊外・過疎地域」課題の傾向

高齢者を中心とした住民の移動の自由の確保と地域活性化

「自家用車中心 中規模都市」課題の傾向

自家用車による移動が中心の都市部では、移動の自由確保に加えて、移動の効率化と生活利便性向上

「公共交通普及 中規模都市」課題の傾向

移動の効率化と生活利便性向上

「大規模都市」課題の傾向

人口が集中することにより公共交通機関の混雑等が発生、移動時間の短縮による移動の効率化や移動時間の有効活用による生活利便性向上

C:Connected(つながる)

クルマの「つながる」歴史

  • 1990年ごろ:GPS式カーナビ
    これまで地磁気センサや車速パルスにより位置を計測していたが、GPS式の登場により現在地の測定精度が格段と上がった
  • 1993年ごろ:ATIS
    Advanced Traffic Information Services。警視庁が主体となっていて、ラジオやテレビ、スマホ、カーナビなどを通じて道路交通情報を配信
  • 1996年:VICS
    Vehicle Information and Communication System。渋滞や交通規制などの道路交通情報を、FM多重放送やビーコンを使ってリアルタイムにカーナビに配信
  • 2001年:ETC
    Electronic Toll Collection System有料道路を利用する際に料金所で停止せず料金支払いが可能な自動料金収受システム
  • 2002年:テレマティクス
    テレコミュニケーション(電気通信)とインフォマティクス(情報処理)から作られた造語。カーナビなどを含む自動車の様々な機器と通信することで、様々な情報を管理したり、サービスが利用できる。代表的なサービス「TOYOTA G-BOOK」「HONDA インターナビ」「NISSAN カーウィングス」
  • 2014年:APPLE CarPlay/Google Android Auto
    自分のスマートフォンを自動車と接続して、スマホで使っていた機能やアプリを車載システムでもそのまま利用できる。カーナビアプリや通話、メッセージサービスなどのほか、ドアのロックやエンジン始動も対応開始。
  • 2015年:スマホ連携外付アクセサリー、OBD2/シガーソケットタイプ
    シガーソケットから給電をして、GPS、ジャイロセンサー、加速度センサーなどを搭載し、車両の位置や運転状況を管理。後付けが容易。

自動車メーカーのコネクテッドサービス

国内主要メーカーのコネクテッドサービスには、TOYOTA T-Connect、HONDA CONNECT、NISSAN CONNECT、MAZDA コネクティッドサービス、などがあるが、つながることを前提とした、安心・安全、快適で便利なサービスがいくつも提供されている。なお、車種によって利用できるサービス、料金が異なる。

  • 緊急通報
    事故等による車の異常を検知すると、発生場所や状況を自動で通報
  • 車の見守り
    車のアラーム検知をメール通知したり車の追跡、警備員駆付け手配
  • 運転の見守り
    車の運転状況で異常がああった場合は察知してエージェントが声掛け
  • デジタルキー
    リモートで車の開閉確認、ロック、エンジン始動、エアコン起動など
  • 遠隔によるメンテンナンス案内
    各種オイルの状況が確認できたりオンラインでメンテナンス管理
  • オペレータ接続
    オペレータと直接話して情報の検索や行き先設定を依頼
  • 最新地図更新
    ナビの地図が常に最新状態に更新
  • 高精度なナビ
    リアルタイム走行情報やVICS等の外部情報を用いて最適ルートを提案
  • 音声対話サービス
    自然な対話でカーナビゲーションなどを操作

トヨタのモビリティサービス・プラットフォーム

トヨタのモビリティサービス・プラットフォーム
出典:TOYOTA公式サイト

各社コネクテッドサービスを提供しているのは上記の通りだが、トヨタはプラットフォームも提供している。

トヨタ自動車とトヨタコネクティッドによるモビリティサービス・プラットフォーム(MSPF)は、モビリティサービス向けの様々な機能を提供するオープンプラットフォームである。

世界中のコネクティッドカーから車両ビッグデータを集約し、これらを活用した車両管理や認証機能などのAPIが提供される。

シェアリングサービス事業者や保険会社、自治体などのサービス事業者は、車両情報と連携したカーシェアやライドシェアといったサービスのほか、テレマティクス保険など、様々なサービスを提供することが可能だ。

コネクテッドから発展したサービス

Uber

Uber(ライドシェア)車両の位置情報が常にオンラインで管理されることで、利用したい乗客との間で需給マッチングする

Cariot(フレクト)

車両動態管理サービス。車両位置、危険運転検知のほか配送計画や運転日報・月報など配送業向けのクラウド機能がある。車両の現在の状態を把握したり、稼働率等のレポートにより業務を最適化する。

GO

タクシー配車アプリ。Japan TaxiとMOVが統合して誕生。乗車位置と降車位置を指定、乗車後はクレジットカードで自動支払いができる。

タフ・見守るクルマの保険プラス(あいおいニッセイ同和損保)

電池内蔵の通信車載機をダッシュボード等に設置。スマホとBluetooth接続をすると、安全運転スコアに応じて保険料割引される。

SmartDrive Families(スマートドライブ)

シガーソケットに車載デバイスを設置。ドライバーの場所、運転診断スコア、運転の詳細情報を家族がいつでも確認可能。

A:Autonomous(自動運転)

自動運転レベルの定義

自動運転車は、自動運転レベルに応じて0~5に区分される。現在、実用化されているのは自動運転レベル3。

レベル3は、特定の走行環境条件下において、自動運行装置が運転操作の全部を代替する状態である。ただし、自動運行装置が正常に作動しない場合は、システムの介入要求に適切に対応が必要。

国土交通省 自動運転車両の呼称 https://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/01asv/resourse/data/kosho.pdf  を参考にアールジーンが作成
国土交通省 自動運転車両の呼称 を参考にアールジーンが作成
  • レベル0:自動運転を実現する運転自動化技術が何もない状態。
  • レベル1(運転支援車):アクセル・ブレーキ操作またはハンドル操作のどちらかが、部分的に自動化された状態。
  • レベル2(運転支援車):アクセル・ブレーキ操作およびハンドル操作の両方が、部分的に自動化された状態。
  • レベル3(条件付自動運転車 ※限定領域):特定の走行環境条件を満たす限定された領域において、自動運行装置が運転操作の全部を代替する状態。
  • レベル4(自動運転車 ※限定領域)):特定の走行環境条件を満たす限定された領域において、自動運行装置が運転操作の全部を代替する状態。
  • レベル5(完全自動運転車):自動運行装置が運転操作の全部を代替する状態。

自動運転による社会的インパクト

自動運転システムによって、大きく3つのことが実現されると言われている。

1. 人間よりも安全で円滑な運転

  • 安全性が向上して事故が削減し、とくに高齢者の事故削減につながると期待
  • 自動運転車による交通経路効率化で渋滞緩和
  • 不要な加減速の低減により運転エネルギー効率向上

2. 運転者負担減

  • クルマが自動で走るため運転者の負荷軽減、自由時間確保
  • 産業でのドライバー不足解消
  • 交通弱者の移動手段の確保
  • 過疎地域での移動手段の確保

産業規模・波及性が高い汎用な技術の確立

  • 自動車関連産業国際競争力強化
  • ベンチャー企業の創出
  • 運輸・物流産業の効率化

自動車を運転するということ

ヒトによる自動車運転は、認識、判断、操作の繰り返しである。自動運転となった場合、自動車自身が認識、判断、操作を繰り返す必要があり、技量もヒト以上に求められる。

自動車を運転するということ

自動運転の際、さまざまな物体を認識するための技術

単眼カメラ型画像センサー

2次元画像をもとに対象物の形状を認識。立体構造物の認識には向いていない。DBに登録された形状以外は認識できず、距離もつかめない。

ステレオカメラ

左右のレンズで奥行をつかみ立体的に構造物を認識。~50mほどの近距離での測定が可能。

超音波センサー/ソナーセンサー

数mの近距離の物体との距離を測定でき、バンパーなどに取り付けられ、衝突のリスク検知などにつかわれる。低コスト。

中距離レーダー

ミリ波帯の電波を利用して約150mほどの距離の対象物を認識。対象物との距離や方向や速度を測定。カメラよりも天候の影響を受けにくい。

長距離レーダー

中距離レーダーよりも測定距離が250mと長いが、その分視野角が狭い(中距離レーダーが45度に対し長距離レーダーは約30度)

LiDAR

レーダーが電波を利用して測定するのに対し、LiDARはレーザー光を使って測定し、高い精度で対象物の位置や形状を検出できる。10m程度の短距離のものから200mを超えるもの、視野角も360°のものも多く出てきている。

GPS

GPS衛星から発信される電波に、衛星自身の位置(軌道)や、電波を発信した時刻をGPSレシーバーは受信、電波の発信時刻と受信時刻の差から、衛星とレシーバーの距離を算出して位置を特定

ADAS(Advanced Driver-Assistance Systems,先進運転支援システム)

ADAS(Advanced Driver-Assistance Systems,先進運転支援システム)とは、自動車が周囲の情報を把握し、ドライバーへ的確に表示や警告を行ったり、ドライバーに代わって運転操作を制御するなど、事故を未然に防いだり運転の負荷を軽減する機能の総称である。

CASE

ACC Adaptive Cruise Control System

車間距離を一定に保ちつつ、定速走行を車が自動で行ってくれる装置。
車間距離を一定に保つためのセンサーとCPUが車に搭載されていて、これによって、前を走るクルマとの車間距離を一定に保つ「追従走行」ができる。アクセル操作だけではなく、ブレーキ操作も車が自動で行ってくれる。

AEBS Advanced Emergency Braking System(衝突被害軽減制動制御装置)

追突事故の被害を軽減または回避する安全装備。
車の前部に取り付けられたセンサーが前方の車や障害物を検知し、衝突の危険が高まると警報としてドライバーに音や警告灯で回避行動を促す。ドライバーが回避行動を行わない場合、ドライバーに代わり自律自動ブレーキを作動させる。

BSM Blind Spot Monitoring(死角モニタリング)

運転席側、助手席側、後方含む車外に位置する他の自動車を検出する機能。
自動車の運転手が走行中に車線変更する場合、死角に入った側面または後方の自動車への衝突を防ぐため、運転手に、視覚的、聴覚的、振動的に警報を発する。

LDW Lane Departure Warning(車線逸脱警報)

ドライバーが無意識のうちに車線をはみ出しそうになったとき、ドライバーに警告し、正しい位置に戻ることを促す機能。
車の前部に取り付けられた光学式カメラセンサーは、道路上の白線(黄線)を認識し、車線をはみ出しそうになると、音や警告灯などによってドライバーに知らせる。警報だけでなくハンドル操作を自動化する場合LKAS (Lane Keeping Assist System) となる。

NV/PD Night Vision/Pedestrian Detection(ナイトビジョン/歩行者検知)

夜間走行中、前方の歩行者を赤外線カメラ等で検知し、その存在等を運転者に情報提供する。
運転者への情報提供方法として、赤外線カメラの映像をそのまま或いは一定の処理を施して表示する方法、音声やアイコン的な表示による方法などがある。

DM Driver Monitoring(ドライバーモニタリング)

ドライバーの異常を検知し、ドライバーに代わって自動車を停止させる機能。
ドライバーの覚醒、眠気、注意散漫、過緊張、脇見等の生理、心理状態や行動状態を、生理・生体活動、運転行動、車両挙動等で検知。

RCTA Rear Cross Traffic Alert(リヤクロストラフィックアラート)

駐車スペースなどからバックで出るときに、後方を横切るクルマや人などを検知すると、表示と音で警告を促す機能。
自動車が動き続け危険を察知した場合は、被害を軽減するための自動ブレーキを作動させる。

APA Advanced Parking Assist(高度駐車支援システム)

駐車したいスペースの横に停車し、開始スイッチを押すと、周囲を監視しながら、ステアリング・アクセル・ブレーキ操作をアシストして駐車をしてくれる。
区画線で区切られた駐車場での縦列駐車・出庫、並列駐車だけでなく、事前に駐車位置を登録することで、区画線のない駐車場や隣接車両がない環境下での駐車操作もアシストできる。

国土交通省、先進運転支援システムへの過信に対する警告動画を公開

先進運転支援システムは、故障していない場合でも、使用する環境や条件によっては作動しないことがある。

使用中、突然機能が停止することも考えられ、もし何らかの事故を起こした場合、安全運転の責任は運転者にあるという警告を発信している。

自動運転システムの市場化・サービス実現のシナリオ

国土交通省が発表した「官民ITS構想・ロードマップ2018」では、ITS・自動運転に係る政府全体の戦略である「官民ITS構想・ロードマップ」 (IT総合戦略本部決定)において、高度な自動運転を見据えた市場化・サービス化に係るシナリオと目標を設定。

自家用車、物流サービス、移動サービスに分けて、高度自動運転の実現に向けた2025年までのシナリオを策定している。

自動運転システムの市場化・サービス実現のシナリオ
出典:内閣官房情報通信技術(IT)総合戦略室作成 :自動運転システムの市場化・サービス実現のシナリオ

下記では、このロードマップに沿った実証実験事例を紹介する。

2020年〜:国土交通省 国内初、遠隔監視・操作型の自動運行装置(レベル3)認可を受け実証実験

経済産業省・国土交通省では、これまで福井県永平寺町において、遠隔型自動運転システムによる自動運転車の実証実験を進めてきた。

2020年12月より、遠隔にいる1名の運転手が3台の自動運転車を常時監視・操作する形(レベル2)で試験運行を開始。

その後、更なる車両の高度化等を進め、当該自動運転車に搭載する遠隔型自動運転システムについて、国内で初めて、遠隔監視・操作型の自動運行装置(レベル3)※として認可を受け、本格運行を2021年3月25日(木曜日)より開始した。

ヤマハ製電動カートを産総研が改造し、 自動運転機能を追加
ヤマハ製電動カートを産総研が改造し、自動運転機能を追加。出典:経産省 福井県永平寺町における無人自動運転移動サービスの概要
走行環境条件
      1. 道路状況及び地理的状況
      (道路区間)
      ・福井県吉田郡永平寺参ろーど:京福電気鉄道永平寺線の廃線跡地
      ・町道永平寺参ろーどの南側一部区間:永平寺町荒谷~志比(門前)間の約約2km、他6km
      (道路環境)
      ・電磁誘導線とRFIDによる走行経路
      2. 環境条件
      (気象状況)
      ・周辺の歩行者等を検知できない強い雨や降雪による悪天候、濃霧、夜間等でないこと
      (交通状況)
      ・緊急自動車が走路に存在しないこと

      3. 走行状況
      (自車の速度)
      ・自車の自動運行装置による運行速度は、12km/h以下であること
      (自車の走行状況)
      ・自車が電磁誘導線上にあり、車両が検知可能な磁気が存在すること
      ・路面が凍結するなど不安定な状態でないこと

2020年〜:滋賀県大津市など 中型自動運転バスの実証実験

中型自動運転バスによる公共移動サービスの事業化に向けた検証を進めるため、中型自動運転バスを2台開発するとともに、中型自動運転バスによる実証実験を行う下記の5地域のバス運行事業者を選定。

京阪バス株式会社(滋賀県大津市)、神姫バス株式会社(兵庫県三田市)、西日本鉄道株式会社(福岡県北九州市、苅田町)、茨城交通株式会社(日立市)、神奈川中央交通株式会社(神奈川県横浜市)。

2020年度は上記の5事業者、5カ所、1カ所3~6ヶ月の期間で実証を実施。中型自動運転バスの技術面での検証に加え、実際に乗客に乗車をしてもらい事業面での検証を行う。

中型自動運転バスの実証実験の概要
出典:国道交通省:中型自動運転バスの実証実験の概要

バスは、ハンドルやアクセル、ブレーキなどの運転操作を自動でコントロールして運転し、安全のため、運転席には運転手が乗車し、運転手の判断で、必要に応じて手動での運転に切り換えられる。

説明員も同乗し、自動運転の説明を実施。車内には、運転席の様子や、障害物などを映し出したモニターも設置され、自動運転の様子を見ることができる。

自動運転による事故

上記実証実験の際、ガードレールとの接触事故が起きている。

茨城県日立市ひたちBRT路線の大甕(おおみか)駅付近で、2020年12月14日午前9時52分ごろ、約30km/hの速度で自動走行中に、当該地点は直進区間であったが、ハンドルが右に急旋回。

運転手が速やかにブレーキ及びハンドル操作による介入をしたものの、間に合わずガードレールへ接触。一般乗客は乗車しておらず、運転手含めた乗員3名にもけがはなかった。

事故の要因については、下記のことが考えられる。

走行前に自動運転システムを設定する際、位置推定を行うための情報(車両の位置や方向に関わる情報)を取得する二つの機器(GNSSと磁気マーカー式)の再起動が必要であるところ、一つの機器の再起動を行っていなかった。

再起動を行っていなかった機器で車両の位置や方向に関する情報を取得できず、情報が更新されなかった。

事案発生地点で位置推定手法の切り替えが生じた際に、更新される前の車両の位置や方向に関する情報が使用され、それに基づき車両制御が行われ、ハンドルが誤って急旋回した。

2021年〜:高速道路におけるトラックの後続車無人隊列走行技術を実現

トラックドライバーの不足や高齢化、燃費の改善など物流業界が直面する課題の解決に向けて、国土交通省・経済産業省は豊田通商に「トラックの隊列走行の社会実装に向けた実証」プロジェクトを委託した。

車両技術の開発を行うとともに、新東名高速道路の長泉沼津IC~浜松いなさIC(約140km)にて、後続車無人システムによる実証実験を実施し、2021年2月22日に、新東名高速道路の遠州森町PA ~浜松SA(約15km)において、トラックの後続車無人隊列走行技術を実現した。

今回実現したトラックの後続車無人隊列走行技術は、3台の大型トラックが、時速80kmで車間距離約9mの車群を組んで走行するもので、安全確保の観点から、後続車の助手席には経験を積んだ保安要員が乗車している。

https://youtu.be/cdLg6QbErms

2021年〜:HONDA、世界初の自動運転レベル3型式認定取得、3月に販売開始

国土交通省は、自動運転レベル3の市場化に向けて道路運送車両法の一部を2020年4月1日に改正施行、自動運転レベル3の実用化に必要な自動運行装置が保安基準の対象装置として追加した。

ホンダはこの自動運転レベル3に求められる国土交通省の型式指定を取得し、高速道路渋滞時など一定の条件下で、システムがドライバーに代わって運転操作を行うことが可能となる。

認可を取得した自動運行装置(Traffic Jam Pilot:トラフィック・ジャム・パイロット)を搭載した「LEGEND:レジェンド」を2021年3月に発売開始した。

S:Shared & Service(シェアリング/サービス)

個人や企業が保有する「資産」が、サービスとして「共有」「利用」されることにより、収益などの便益を得られるしくみをシェアリングエコノミーというが、クルマに関連したシェアリングには大きく2つある。カーシェアリングと、ライドシェアリングだ。

カーシェアリング

カーシェアリングとは、登録を行った会員間で特定の自動車を共同使用するサービスのことである。

自動車を借りるという面ではレンタカーと近い存在であるが、一般にレンタカーよりもごく短時間の利用を想定しており、利用者にとってはレンタカーよりも便利で安価になるように設定されていることが多い。

主要サービスとしては、タイムズモビリティのタイムズカー、三井不動産のcareco、ホンダグループのEveryGO、オリックス自動車のORIX CarShare、アース・カーのearthcar、DeNA SOMPO MobilityのAnycaなどがある。

ライドシェア

ライドシェアとは、文字通り、Ride(乗ること)をShare(共有)することを意味し、いわば「相乗り」のことである。

カーシェアリングはクルマ本体を貸し借りする「モノのシェア」であるのに対して、ライドシェアは乗ることをシェアする「移動のシェア」である。

ライドシェアの大きく「配車型(TNC (Transportation Network Company)」と「相乗り(カープール)型」に分かれる。

配車型(TNC (Transportation Network Company)

登録されたドライバーとライダーのマッチングをスマートフォンアプリを介して行い、乗車・決済までを行うサービスのことをいう。

特徴としては、事業としての側面が大きく、利用者が希望する場所へドライバーが送り届けることが前提である。登録しているドライバーは実費以上の収益を得ることを目的としている。

代表的なサービスとしては、Uber、Lyft、DiDiなどがある。

Lyftは、米国中心にライドシェアサービスを展開。利用料金がUBERよりも安め(ピーク時、ピークエリアでUberほど料金が上がらない)である。DiDIは、中国国内ユーザー6億人弱/ドライバー数千人を抱えているが、中国データ保護規則違反のため、中国サイバースペース管理局(CAC)より DiDi関連アプリがストアからDL停止中。

日本ではソフトバンクが出資してDiDiモビリティジャパンを設立し、配車アプリを展開中。

相乗り(カープール)型

ドライバーと利用者のマッチングをスマートフォンアプリやWebサイトを介して行い、ドライバーの目的地と利用者の目的地のマッチングを行うものである。

特徴としては、ソーシャルサービスの側面が大きく、登録しているドライバーは「ガソリン代などの実費」以外の利益を原則受取らない。

代表的なサービスとしては、Bla Bla Car、nottecoなどがある。

Bla Bla Carは、ヨーロッパを中心に展開。ドライバーが同じ行き先への同乗者を募集、同乗者は乗車距離をベースとした料金を支払う(ガソリン代をシェアするという価格設定なので安い)。ドライバーは、サービス使用料を運営に支払う。

E:Electric(電動化)

国内の次世代自動車の年間販売台数は右肩あがりとなっているが、政府は、2035年までに新車販売を電気自動車(EV)などの電動車へと転換、世界に先駆けて脱炭素社会を実現すると発表した。

日本の次世代自動車の年間販売台数推移
日本の次世代自動車の年間販売台数推移。出典:国土交通省・経産省「EV/PHV普及の現状について」

政府目標の「50年の温暖化ガス排出量の実質ゼロ」を達成するにはEVの拡大が欠かせない。小型で高性能な蓄電池の開発・量産化や、世界的な争奪戦となっている半導体の確保が課題である。

バイデン政権は、自動車業界に対して30年までに新車販売の40%をEVにするという目標設定に働き掛けており、米自動車大手3社(GM・クライスラー・フォード)は新車販売に占める電気自動車(EV)の比率を2030年までに40-50%にすることを目指すと表明した。

電気自動車の種類と特徴

ハイブリッド(HV)

ハイブリッドは、エンジンとモーターを組み合わせ、その両方、またはそれぞれを走行状況によって使い分けて走行する。走行中に余った動力を利用して充電を行い、モーターは燃費をよくするための補助的な役割。

  • メイン動力 エンジン
  • 燃料供給  ガソリン
  • 充電    できない
  • メリット  EV走行時はガソリンを消費しないので、通常のガソリン車より航続距離が長い

プラグインハイブリット(PHV)

プラグインハイブリッドは、ハイブリッドの基本的な機構が活用されている。家庭用電源からも直接充電ができ、エンジンは走行だけでなく発電にも活用されており、バッテリーだけで走行できる距離を伸ばしている。エネルギー密度の高いバッテリーが使用されているためハイブリッドよりも高価。

  • メイン動力 モーター
  • 燃料供給  電気・ガソリン
  • 充電    できる
  • メリット  充電ができるので、維持費が比較的安い
          発電しながら走ることができるので、HV車よりも航続距離が長い

電気自動車(EV)

電気自動車(EV)は、モーターだけで走行する。エンジンは搭載されていないので燃料供給は外部からの充電のみとなる。走行距離を延ばすためにHV同様ブレーキの動力を回生しバッテリーに充電するなどの機構が搭載されている。維持費は電気代のみでガソリンよりも安い。

  • メイン動力 モーター
  • 燃料供給  電気
  • 充電    できる
  • メリット  維持費が安い
  • デメリット 走行距離が短い ※走行距離を延ばすためには、大きいバッテリー装備が必要だがその分高価

燃料電池車(FCV/FCEV)

水素燃料電池車(FCV/FCEV:Fuel Cell Electric Vehicle)は、水素を燃料として発電を行い、その電気でモーターを駆動し走行を行う。排出されるのが水だけなので環境に良いとされているが水素ステーションの普及率や車両代がネックで現在は普及率が低い。

  • メイン動力 モーター
  • 燃料供給  水素
  • 充電    できない
  • メリット  水素が燃料となっているため排出されるのは水。二酸化炭素はゼロ
  • デメリット 水素を供給する水素ステーションの普及率
          車両が高い
参考:ホンダ、FCV生産中止

水素を燃料とする燃料電池車(FCV)「クラリティフューエルセル」の生産を2021で中止した。

電気自動車(EV)に注力しながら、米GMとも協力してFCVの開発は継続し、新たな車種投入も検討している。FCVは16年に発売、価格は783万円と比較的高額で、水素の供給拠点も少なかったことで販売は低迷。日本と米国で販売し、世界累計台数は約1900台にとどまった。

FCVはホンダのほか、韓国・現代自動車やトヨタ自動車も手がけている。トヨタは20年12月、新型のFCV「ミライ」を投入した。

ガソリンスタンドに比べると、水素ステーションはまだまだ普及が少ない。

  • ガソリンスタンド:29,637(2019年12月)
  • 充電スポット:18,270(2020年 3月)
  • 水素ステーション:154(2021年 8月)

他業界からのEVへの参入

阿里巴巴集団(アリババグループ)

智己汽車科技(IM Motors)

上阿里巴巴集団と上海汽車集団らで合弁会社「智己汽車科技(IM Motors) 」を設立。

上海モーターショーで量産電気自動車(EV)モデルである「IM L7」の予約注文の受け付けを開始を発表。AIと人間の共存により、AIがその時々のユーザーのニーズを感知して最適な乗車体験を提供する車を目指している。

百度(バイドゥ)

百度と浙江吉利控股集団が電気自動車メーカー「集度汽車(ジードゥ)」を共同設立。

5年間で77億ドルを投資する予定で、販売時期は未定。吉利のオープンソースEVプラットフォームを利用してEVを開発。若者をターゲットとしたコミュニケーションロボットのような自動車を開発を目指す。約3000人の内500人はソフトウェアエンジニアである。

滴滴出行(ディディ)

滴滴出行(ディディ)

滴滴出行と比亜迪(BYD)が配車サービス専用の電気自動車「D1」を発表した。

滴滴が主導して設計を行い比亜迪が製造。配車サービスでの使い勝手を優先し、運転手を監視するシステム、利用者との応対が簡単にできる機能、音声や画像を解析する仕組みなどを搭載。「レベル2」相当の運転システムである。

台湾鴻海精密工業(ホンハイ) 

鴻海精密工業、電気自動車のオープンプラットフォームを展開。電気自動車の基本構造をアライアンス間で共有し、製品化を加速している。

メルセデスの「MEA」、現代の「E-GMP」など世界の自動車メーカーは自前のEV専用プラットフォームベースで開発したEVを市販済みだが、鴻海のものはオープンプラットフォームである。

ソニー

VISION-S

ソニーはCES2020で、モビリティやセンサー技術を結集したコンセプトEVモデル『VISION-S』を発表。CES2021でも行動実験の様子などを公開した。

オーストリア、マグナシュタイアのEVプラットフォームに自社製品及び大手サプライヤーから調達して開発。フロントパネルに全面液晶を装着したり360°サラウンドなどエンターテイメント性も特徴である。発売時期などは未定/未公表。

日本電産

日本電産ではモータをはじめ、電動パワーステアリングシステム、センシング用のカメラモジュールやミリ波レーダーユニットなど様々な自動車部品の製造にかかわっている。

これらのパーツを載せる自動車(車台)のプラットフォームの開発に着手。プラットフォームを活用すると、ソフト側を手掛ける企業もEV車の製造販売の敷居が下がる。

出光興産

タジマEVに出光興産が出資し「出光タジマEV」を設立。新型車両は2021年10月に発表し、2022年の上市を予定。

超小型EVの開発・販売以外に、車載ソーラー、次世代バッテリーの採用、自動運転開発、グリーンスローモビリティ開発、サブスクリプション/カーシェアモデルの展開、MaaSに関するデジタルプラットフォームの構築、リサイクルシステムの開発を進めることを表明している。

帝人

帝人は、豪AEV社とLS-EV軽量化された(Low Speed Electric Vehicle:低速EV)LS-EVのプロトタイプを共同開発。

車体の主要構成部である窓やドアに、軽量で耐衝撃性に優れるポリカーボ ネート樹脂「パンライト」を使用。無人走行に対応している。太陽電池搭載のLS-EV向けルーフ装備。


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