第5回 IoT/M2M展 レポート その2

先日東京ビックサイトで行われたIoT/M2M展のレポート第二回目だ。

株式会社ガイア・システム・ソリューション

ガイア・システム・ソリューション(以下ガイア)のブースでは、ディスプレイに対する視聴者のエンゲージメント(Engagement)注を測るという技術を出展しており、IoT機器への応用例を参考出品していた。

注:エンゲージメント:ここでは画面に対する被測定者の執着や注意を払う態度を指す

デモは、視聴者がディスプレイに表示される動画を見ているとき、画面に対して注意を払わなくなる(画面から目をそらす等)と動画が止まり、再び画面に注意を払う(画面を見る)と動画が再開するというものである。視聴者のディスプレイ画面に対するエンゲージメントの測定は、ディスプレイの上部につけられたRaspberry Piとそのカメラモジュールのみで行われていた。

IoT/M2M展 GAIA

「エンゲージメント」測定のキーテクノロジーは、2012年にスタートした米国スタンフォード大学の学生ベンチャー企業Sension社が開発したFace TrackingおよびGaze Trackingテクノロジーである。これは、顔パーツの位置や動きを3Dで検出する技術と、黒目(瞳孔)と白目(強膜)の動きから視線の向き・動きを検出する技術を内包したソフトウェアIPで、機械学習の応用と独自の数式アルゴリズムを用い、少ない演算量とメモリ使用量で高精度の認識を実現するというものである。Mac OS X、 Windows、 iOS、 Android、 Linux等、様々なOS上で動作する上に、「軽いソフトウェアエンジン」であることが特長となっている。今回はIoT/M2M展での参考出品ということで、IoTとして使うことができるほど、「軽くて小さい」ことをデモするためにRaspberry Piを用いたとのことである。

筆者も体験したが、まずディスプレイ画面を見ていると別の画面に顔の表示が現れ、筆者の顔を認識した。認識した後は、筆者が普通にディスプレイの動画を見ていると動画はそのまま続いていくが、横を向いたり下を向いたり、目線をそらすと画面は停止した。もう一度画面を見ると動画がスタートした。展示会場の中であるため筆者の後ろを人が歩いていてもそれほど影響はなかった。別画面の表示はデモ用なので動作には必須ではないとのことである。

また、エンゲージメントを使った応用例として、eラーニング等のオンライン教育システムにおける受講者のエンゲージメントを測定するシステムを展示していた。
ガイアによると、今回の展示デモはガイアからの製品提案のみではなく、このようなシステムを展示することで、IoTに興味のある方々からのアイディアを募集するためでもあるとのことである。ソフトウェアエンジンの「使い方を考えてください」という意図があり、様々な「予想もしない」業界の方からの引き合いがあったとのことだ。

【関連リンク】
ガイア・システム・ソリューション

イーソル株式会社

イーソル株式会社(以下イーソル)のブースでは同社および関係会社の事業全てを展示していた。ここでは、農業のICT化をうたったAGRInkサーバについて聞いた。AGRInkサーバは農業環境測定用として開発され、標準で内蔵されている温度・湿度・照度測定センサ以外にオプションで、溶液pH・溶液電気伝導度(EC)・土壌水分などを測定する無線/有線センサやIPカメラなどの取付けができる。

IoT/M2M展 esol

また、無線センサにより広範囲な敷地でも複数の離れたスポットの測定データ取得が可能としている。本体は、水や埃、農薬、高温など屋内外の過酷な環境下での使用を想定した防水・防塵設計となっている。電源はACアダプタ以外に、ソーラーパネルが利用でき、電源を引くことのできない屋外での稼働も実現している。

IoT/M2M展 esol
ホームページより

測定データは、無線LANや3G通信回線を使用してクラウドサーバや遠隔地のサーバへの蓄積が可能であり、通信切断時に備え、本体搭載のストレージへのデータ保存もできるため、測定データの欠落を最小限に抑制することができる。さらに、環境測定装置のセンサ値を予め設定することで、接続した外部機器の電源ON/OFFやメールの自動送信が可能としている。測定データはAGRInkサーバから自社クラウドに集積される。農業用のAGRInkサーバの価格は1台10万円以下と設定されている。イーソルによれば、同様の他の機器では約10倍の価格となっているため、一般の農家では購入できない。その分軽い仕様となっているものの、屋外設置のための防水・防塵設計がなされている。

さらに、AGRInkサーバは様々な地理情報システム(GIS)に対応しているため、複数地点の計測データを一元的に管理でき、広域の環境モニタリングが可能となっている。データ送受信には、通信距離20km以上(見透し距離)の実績がある長距離無線モジュールを採用している。これにより、従来の3Gなどの公衆回線を使用せずに長距離でのデータ通信が可能となっている。

AGRInkサーバに接続できるGISには警戒水位や警戒雨量を捉えた際に、防災組織や近隣住民に対してアラートを発信する機能があり、豪雨や老朽化などによるため池(貯水池)の決壊・冠水・土砂崩れ等災害が発生しやすい地点をモニタリングすることで防災や減災に役立てることができる。近年大雨による洪水等の災害が増えている中、新たな水害に対する防災・減災用として使用するというものである。イーソルは組込みソフトウェア受託開発に実績のある会社だが、過酷な環境で使われる車載プリンタやハンディターミナル等のハードウェア開発も行っており、ハードウェア開発の実績が、AGRInkサーバの開発に役に立っている。

自然環境に設置されることが多いIoT機器では耐環境性能もその重要な要素だ。

【関連リンク】
eSOL

Previous

サイレックス・テクノロジー、 「IoTワイヤレス開発キット for RX600/RL78シリーズ」発売

オプトデータサイエンスラボとポッカサッポロ、ビッグデータを活用した豆腐適正生産量の予測モデルを開発

Next